冒険者ギルド受付の癒し枠~ネコ娘は追放系主人公が気になるようです

八華

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ネコ娘、大先輩に褒められる

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 ツキノワさんのパーティーには斥候の狼獣人、プートルさんがいるので移動が楽だった。多くの冒険者が雑魚狩りしていることもあり、短時間でボス前までたどり着けた。

 最下層に降りると、ルイスの腹巻を身に着けた。今回もらったのは、可愛いパステルイエローの水玉柄だ。

「それじゃあ、再戦といくか」

 最奥でボスモンスターのリッチと戦闘を開始する。

 ベテランA級冒険者パーティーでの戦闘は、安定感がすごかった。
 物理攻撃はツキノワさんが完璧に防ぐ。敵が魔法の呪文を詠唱しだすと、プートルさんが短剣術で妨害した。敵はたびたび援軍モンスターを召喚したが、2人の魔法使いによって簡単に焼き払われてしまう。
 アタイは、ただひたすらボスを殴っているだけでよかった。

「まさかダンジョンのボスをサンドバッグみたいに叩ける日が来るとはね」

 リッチは速度が遅いので、思う存分連続技を決めることができた。

 気分よくボスを殴る蹴るし続ける。
 手ごたえとして、敵の生命力が3分の1を切ったくらいだった。リッチの瞳が妖しく光った。

「何だ!?」

 背筋にゾワリとしたものを感じる。

「まずい、状態異常……」

 プートルさんが叫ぶ。
 頭がぐらぐらして、乗り物酔いしたみたいになった。わけもわからず不安な気分で、吐き気までする。
 でも……

「お腹があったかいし、何とかなるよ……」

 腹巻をしたお腹がぽかぽかと暖かい。それを意識すると、気分が落ち着いた。

「すげーな。この腹巻、状態異常回復効果つきか」

 ツキノワさんが驚いたように言う。他のメンバーも回復していた。

「よし! このまま倒しきるぞ」

 その後は順調に、ボス討伐が完了した。


 地上に戻って、ギルド職員にボスの魔石とドロップ品を渡す。

「ドロップは、自動製氷つき冷蔵庫……ですか」
「ああ」

 みんなガッカリしている。冷蔵庫、良い物に見えるけど、人の手でも作成可能な魔道具なので、あまり高値にならないのだ。

「なんだい、ガックリして。ビールを冷やすのに良いアイテムじゃないか」

 後ろからメリーに肩を抱かれた。
 振り返るとササミもいる。

「うぷ……。かき氷のシロップの酒だけで酔えるかと挑戦したっスが、無理でした」

 ササミの腹はまん丸に膨れていた。コイツ、アホだな。

「悪いな、エルザ。今回はレアドロップが出るのと大差ない収入になっちまった」

 ツキノワさんに声をかけられる。

「いえ。貴重な経験をさせてもらいました。ありがとうございます」

 アタイはツキノワさんに元気よく礼を言って頭を下げた。地元の超エライ先輩だからなぁ。

「はは……。お前なら弟子にとってもいいぞ。その気になったら連絡をくれ」

 ツキノワさんはそう言うと、アタイの返事は求めず、軽く手を振って去っていった。

 メリーとササミがアタイの方を見ながら目を丸くしている。

「マジか……。すげぇじゃん、エルザ」

 誘われたアタイより、メリーの方が興奮している様子だった。

「いやでも、アタイだけ弟子入りなんてしたら、メリーとササミと一緒の活動ができなくなるし」

 A級に上がるには冒険者ギルドの審査に通ればいいだけだが、たいていはボス討伐経験で決まる。ボス討伐の経験を積むには、どっかのA級パーティーに入れてもらう必要があり、弟子入り制度が一般化していた。でも、3人で同じところに弟子入りは無理だ。一度パーティーを解体することになる。

「……そんなに気にしなくてもいいぞ? 知り合いの姐さんのパーティーか、後輩のところに混ざればいいだけだし」

 アザレア大姐さんからのネットワークで、冒険者の知り合いは多い。メリーもササミも能力が高くて引く手あまただろうし、今のパーティーに固執はしないか。

「まあ、アンタがA級の修行に出たくない理由は、アタシたちのためだけじゃないだろ」

 メリーがニヤニヤしながらアタイに詰め寄る。

「旅の空のA級パーティーに入ったら、ルイスに会えなくなるっスからね」

 逆サイドからササミも攻め寄せてきた。

「お前ら、からかうんじゃないよっ」

 図星を指されたアタイは頬をぷくりと膨らませた。


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