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まずは、出来ることから1つずつ。

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 俺の母親は外国の貴族の娘だ。
 今いる国、カルーナ王国は軍事・経済ともに強国で、5大国と呼ばれる1つだ。それと並ぶ5大国の1つ、アルライト皇国の有力貴族の娘と、カルーナ王国の公爵との婚姻が20年前に成立した。バリバリの政略結婚だな。
 王族同士の結婚のほかに、有力な家臣同士を結ばせて交流を深めましょうなんてのも、この世界の外交としてはよくある話なのだ。

「どうも、カルーナ王国は前世でいう西洋系、アルライト皇国はアジア系っぽいんだよな。」

 俺の容姿は整っているのだけど、ちょっと周囲と違う感じだ。周りはもっと彫りが深くて濃い。前世日本人の俺としては、今のアジア系の要素を引いたイケメンの方が落ち着くし嬉しいのだけど……。

「この国の服はあんまり似合わないな。」

 なんていうか、原色のはっきりとした赤とか紫とか青、緑、黒。さらに蛍光色っぽいのも多い。

「日本人に似合うのは、ニュアンスカラーだ。」

 前世ではモテたかったし、妹にも教えられて、おしゃれ理論とかもかじっていた。それによると、日本人の肌に調和するのは、はっきりした色より中間色、純色に灰色を混ぜたような柔らか味のある色だ。

「あとはデザインも、こっちのはハイブランドでハイファッションって感じなんだよな。」

 俺だと服に着られる感じだ。なで肩に肩パットもりもりでカチカチってしたスーツ着せてる感じか。まあ、ダサいわ。

「次の休暇は王都まで出て、仕立て屋めぐりだ。センスのある奴を見つけて、服を作る!」


 今の俺、平均以上の能力は十分あるし、身分はものすごく高い。何も起きなければ順風満帆だろうが、ゲームの通りに進むなら、このままじゃ駄目だ。

「今までの素行から俺の評価は微妙だ。発言力と存在感を増すために、今より出来る奴になったと周囲に思わせたい。」

 考え方としては、服装を変えるのと同じ視点が使えると思う。
 アジア系寄りらしい俺は周囲ほどゴツくないし、残念なことに背も低めだ。身長についてはまだ伸びて欲しいが、成長に期待して状況が好転するとは信じていられない。
 こっちの主要武器はバスターソードみたいな剣。かなりデカいし重いから、細かく動きを制御出来ない。パワーでは他の奴に負けてしまう。身体に合った武器が必要だ。

「魔法についても、王国と皇国じゃ、大分理論が違うって聞いたことがある。」

 皇国から書籍を取り寄せるか。
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