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ゲームスタート?
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一年が過ぎた。
妹とゲームヒロインが学園に入学してくる。
今日は入学式と始業式、クラス替えがあった。
クラスは1年ごとに一部入れ替えになる。成績順のA~Dクラスで、1年間で成績を伸ばした者が上に、下げた者は下に移動する。
「緊張するな。」
俺はBからAクラスに上がった。クラスの8割は元のままだから、新参者として教室に馴染まないといけない。
Aクラスは一番優秀な生徒が集まっていて、第一王子をはじめ、ゲームの攻略キャラクタは全員Aクラスだ。
「カルロス王子と同じクラスになれて光栄です。今後とも宜しくお願いします。」
ホームルームの後、俺は早速教室で王子に挨拶に行った。
ゲーム中では1番人気、最高スペックチート野郎のカルーナ王国第一王子カルロス様だ。
「ラヴェンナ・ルクソールか。1年で随分と成長したようだな。今後も期待している。」
目の前で見る王子はイケメンオーラとカリスマオーラですごいことになっている。イメージはライオンだ。金髪に青い目で整った顔なんだけど、綺麗というより凛々しい感じ。前世でいうジャ●ーズアイドルよりちょっとアスリート寄りで、男から見ても格好いいと思う。
「ありがとうございます。王子の、王国の役に立てるよう、精進してまいります。」
俺が深々と頭を下げると、王子は少し困ったように微笑んだ。
「堅苦しい挨拶は終わりだ。この学園の中では身分の差はない。平等に学べという方針だ。俺にとっても、王太子としての荷を忘れられる貴重な場所だ。気軽に級友として接してくれ。」
「はい。宜しくお願いします。」
学園内平等の設定はゲームでも強調されてたな。だから平民のヒロインが王子に近付けたんだ。この言い方だと王子は周りと平等ルールが結構気に入っているみたいだな。とはいえ、本当に王子に馴れ馴れしくしたら、周りの貴族が黙ってないんだろうけど。……いや、俺の家、公爵家だから、まあ大丈夫か?
「まだ表情が硬いな。社交界で最近美しいと評判のルクソール家嫡子と、じっくり話してみたいと思っていたのだが。なあ、ヒューゴ。」
「ええ。こうして見ると本当に可愛らしい方ですね。」
王子の言葉に、もう一人の攻略対象、現騎士団長の息子のヒューゴが返事をする。
……何か、会話の内容、おかしくないか?
「以前は少し険のある様子でしたが、最近は花が咲いたように綺麗になられましたね。」
攻略対象その3、宰相息子のアルマンも会話に入ってきた。
「いえ、王子や皆様方のような麗しい方々に褒めていただくところは何も……。」
男が可愛いって褒められても嬉しくはねーよ。まあ、俺が可愛くなったのは事実だけど。
1年前、俺は自分の容姿を良く見せるために、服装などから見直していった。王都の仕立て屋でセンスのある職人を見つけて、念入りに打ち合わせをして、俺に似合うのは柔らかい温かみのある色ということになった。縫製について俺はさっぱりだったが、腕の良い仕立て師に試行錯誤させた結果、俺に合う柔らかそうな服が出来上がっていった。
そう。俺に似合うのは柔らかくてふわっとした可愛らしい感じなのだ。そうなりたいというより、それが一番似合うのだ!
これでも、当初の狙い通り好感度は上がっている。夜会で声を掛けられることも増えたし、女性にもモテているのだ。
女の人って、可愛い男も好きだからな。マッチョでなきゃ嫌だっていうのも一部にはいるけど、逆に今の俺みたいなのがいいっていう人も結構いる。
だから、これはこれで成功しているのだ。一部、余計な男の好意がついてきただけで。
まあ、それでも嫌われるよりはいいか。特に、第一王子には好印象でいてもらいたい。
俺は軽く微笑んで、王子との会話を続けようとしたのだけれど、その時……、
「カルロス様。教室にいらしたのですね、お会いしたかったですわ。」
「エリカ? なんでここに。」
1学年下の妹が、突然教室にやってきた。
「カルロス様にお会いしたくて参りましたの。学園に入学されてからは、寮に入られて、ますますお会いできなくなっていましたから。」
妹は王子に会いたさに上級生のクラスまで来てしまったらしい。だが、
「下級生が上級生のクラスに勝手に乗り込むのは関心できない。戻りなさい。」
王子達に何か言われる前に、俺は妹を叱りつけた。
しかし、妹はちらりと俺にキツイ眼差しを向けた後、さらに王子に言い募った。
「私は王子の婚約者。一緒に居るのは、当然ですわ。」
「エリカ……!」
妹はヒロインが王子にまとわりつくって怒るキャラのはずなんだが、妹自身も身勝手に王子に付きまとってるとは。
「申し訳ありません、王子。妹は実家で甘やかされて育ってしまい……。後できつく言い含めておきます。」
「お兄様にどうこう言われる筋合いはありませんわ。」
妹は俺のことを完全に下に見ているからな。だが、そういうのが透けて見える態度を、好きな男の前でするのはどうかと思うぞ。
「構わないよ。エリカ、久しぶりだな。」
王子はそう言ってエリカに微笑むが、目 は 笑 っ て い な い 。
……これじゃあ、王子がヒロインと恋に落ちなくても、妹は愛想をつかされて婚約破棄されるかもしれないな。
案外、ゲームでもヒロインとの恋なんて関係なく、鬱陶しい妹を婚約破棄し、さらに、それについて騒ぎ立てるだろう無能な公爵家を潰したっていうのが真相だったりして。
有り得るな。怖ぇ……。
妹とゲームヒロインが学園に入学してくる。
今日は入学式と始業式、クラス替えがあった。
クラスは1年ごとに一部入れ替えになる。成績順のA~Dクラスで、1年間で成績を伸ばした者が上に、下げた者は下に移動する。
「緊張するな。」
俺はBからAクラスに上がった。クラスの8割は元のままだから、新参者として教室に馴染まないといけない。
Aクラスは一番優秀な生徒が集まっていて、第一王子をはじめ、ゲームの攻略キャラクタは全員Aクラスだ。
「カルロス王子と同じクラスになれて光栄です。今後とも宜しくお願いします。」
ホームルームの後、俺は早速教室で王子に挨拶に行った。
ゲーム中では1番人気、最高スペックチート野郎のカルーナ王国第一王子カルロス様だ。
「ラヴェンナ・ルクソールか。1年で随分と成長したようだな。今後も期待している。」
目の前で見る王子はイケメンオーラとカリスマオーラですごいことになっている。イメージはライオンだ。金髪に青い目で整った顔なんだけど、綺麗というより凛々しい感じ。前世でいうジャ●ーズアイドルよりちょっとアスリート寄りで、男から見ても格好いいと思う。
「ありがとうございます。王子の、王国の役に立てるよう、精進してまいります。」
俺が深々と頭を下げると、王子は少し困ったように微笑んだ。
「堅苦しい挨拶は終わりだ。この学園の中では身分の差はない。平等に学べという方針だ。俺にとっても、王太子としての荷を忘れられる貴重な場所だ。気軽に級友として接してくれ。」
「はい。宜しくお願いします。」
学園内平等の設定はゲームでも強調されてたな。だから平民のヒロインが王子に近付けたんだ。この言い方だと王子は周りと平等ルールが結構気に入っているみたいだな。とはいえ、本当に王子に馴れ馴れしくしたら、周りの貴族が黙ってないんだろうけど。……いや、俺の家、公爵家だから、まあ大丈夫か?
「まだ表情が硬いな。社交界で最近美しいと評判のルクソール家嫡子と、じっくり話してみたいと思っていたのだが。なあ、ヒューゴ。」
「ええ。こうして見ると本当に可愛らしい方ですね。」
王子の言葉に、もう一人の攻略対象、現騎士団長の息子のヒューゴが返事をする。
……何か、会話の内容、おかしくないか?
「以前は少し険のある様子でしたが、最近は花が咲いたように綺麗になられましたね。」
攻略対象その3、宰相息子のアルマンも会話に入ってきた。
「いえ、王子や皆様方のような麗しい方々に褒めていただくところは何も……。」
男が可愛いって褒められても嬉しくはねーよ。まあ、俺が可愛くなったのは事実だけど。
1年前、俺は自分の容姿を良く見せるために、服装などから見直していった。王都の仕立て屋でセンスのある職人を見つけて、念入りに打ち合わせをして、俺に似合うのは柔らかい温かみのある色ということになった。縫製について俺はさっぱりだったが、腕の良い仕立て師に試行錯誤させた結果、俺に合う柔らかそうな服が出来上がっていった。
そう。俺に似合うのは柔らかくてふわっとした可愛らしい感じなのだ。そうなりたいというより、それが一番似合うのだ!
これでも、当初の狙い通り好感度は上がっている。夜会で声を掛けられることも増えたし、女性にもモテているのだ。
女の人って、可愛い男も好きだからな。マッチョでなきゃ嫌だっていうのも一部にはいるけど、逆に今の俺みたいなのがいいっていう人も結構いる。
だから、これはこれで成功しているのだ。一部、余計な男の好意がついてきただけで。
まあ、それでも嫌われるよりはいいか。特に、第一王子には好印象でいてもらいたい。
俺は軽く微笑んで、王子との会話を続けようとしたのだけれど、その時……、
「カルロス様。教室にいらしたのですね、お会いしたかったですわ。」
「エリカ? なんでここに。」
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「カルロス様にお会いしたくて参りましたの。学園に入学されてからは、寮に入られて、ますますお会いできなくなっていましたから。」
妹は王子に会いたさに上級生のクラスまで来てしまったらしい。だが、
「下級生が上級生のクラスに勝手に乗り込むのは関心できない。戻りなさい。」
王子達に何か言われる前に、俺は妹を叱りつけた。
しかし、妹はちらりと俺にキツイ眼差しを向けた後、さらに王子に言い募った。
「私は王子の婚約者。一緒に居るのは、当然ですわ。」
「エリカ……!」
妹はヒロインが王子にまとわりつくって怒るキャラのはずなんだが、妹自身も身勝手に王子に付きまとってるとは。
「申し訳ありません、王子。妹は実家で甘やかされて育ってしまい……。後できつく言い含めておきます。」
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妹は俺のことを完全に下に見ているからな。だが、そういうのが透けて見える態度を、好きな男の前でするのはどうかと思うぞ。
「構わないよ。エリカ、久しぶりだな。」
王子はそう言ってエリカに微笑むが、目 は 笑 っ て い な い 。
……これじゃあ、王子がヒロインと恋に落ちなくても、妹は愛想をつかされて婚約破棄されるかもしれないな。
案外、ゲームでもヒロインとの恋なんて関係なく、鬱陶しい妹を婚約破棄し、さらに、それについて騒ぎ立てるだろう無能な公爵家を潰したっていうのが真相だったりして。
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