【完結】祈りの果て、君を想う

とっくり

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2 視線の先

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「……なぜだろうな。」


ラズはぽつりと呟いた。リリエルの部屋の窓辺に立ち、目線は遠く庭を歩くミレイアの姿を目で追っていた。

リリエルはその視線の意味を、なんとなく理解してしまった。けれど、気づかぬふりをする。それが、最も穏やかでいられる方法だった。


「……何が?」


「いや、こんな風に、君とこうして向き合うたび……ああ、自分はいい婚約者になれているのかって、考えるんだ。」


リリエルは笑みを浮かべたが、その心には小さな痛みが走っていた。


「ラズ様は優しいわ。私にはもったいないくらいです。」


「そうか?」


ラズは目を細めて笑ったが、その笑みはどこか曇っていた。


メイドを呼び、お茶の準備をするよう指示をする。テーブルが整うまでの間、ラズは窓辺からずっと庭園を眺めていた。

沈黙。外では小鳥のさえずりが響いている。どこまでも平和で、どこまでも残酷な春。

ラズとのお茶会の後、リリエルは物思いに耽っていた。対面の空いた席を見つめながら、窓辺に立つラズの視線の先にあったものを考える。

気持ちがどんどん沈んでいくのがわかり、このままではいけないと、中断していた刺繍の続きをしようとリリエルは立ち上がった。

ふと窓の外へと意識が向き、景色を見ようと窓辺に立つと、ラズとミレイアの姿が見えた。

二人は深刻な表情で話している。
一定の距離は保たれている。

当然、2階から見ているリリエルには会話の中身は聞こえない。
そのため、余計に胸騒ぎが押し寄せてくるのだった。




「……こんなふうに話すのも、久しぶりね。」

「そうだな。……変わらないな、君は。
いや、むしろ──」

「ラズ、もうやめて」


ミレイアの声には、普段の明るさがなかった。

「あなたの婚約者は、お姉様。
いくらお互いに惹かれ合っていても…
もうすぐ、2人は婚約の儀があるでしょう?!お姉様を裏切れないわ。」


その言葉に、ラズは拳を握りしめ、俯いた。

「・・・わかっている。けれど、心が従わないんだ」


2人の会話はわからないが、お互いに熱の籠った瞳で見つめ合う様子を見ていたリリエルは、呼吸がうまくできなくなり、その場でしゃがみ込んでしまった。



ー2人は惹かれ合っているー





もうすぐ婚約の儀がある…


ーこの気持ちのまま、神様に誓っても
良いのでしょうかー


「リリエル様」


侍女が心配そうに、リリエルの背をさする。

「大丈夫。なんでも無いわ。」


先程まで晴れていた空に雲がかかり
今にも雨が降り出しそうな天気に変わっていた。

まるでリリエルの心を現しているようだった。

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