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3 婚約の儀
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神殿の奥、冷たい石の祭壇に二人は立っていた。
この国では、婚姻の1年前に婚約の儀を行うしきたりがある。婚約をする2人だけで、神殿の聖女の前で誓いの言葉を述べ、神に感謝するという儀式となる。
今日はリリエルとラズヴェルの婚約の儀。
白い正装を纏ったリリエルの頬は緊張と不安に紅く染まり、隣に立つラズは静かに、けれどどこか硬直したような姿勢で息を整えていた。
「これより、婚約の儀を執り行います」
婚約の儀には、参列者はいない。
婚約を結ぶ者達と聖女、神職者のみで厳かに行われる。
聖女の声が響いたとき、神殿の天蓋から淡い金の光が降りてくる。
「ラズヴェル・エイリとリリエル・セイランは、神のお導きにより縁を結び、末永く寄り添い続けるよう、互いの手を取り、誓いの言葉を述べよ。」
「・・・、」
ラズヴェルが誓いの言葉を述べようとした瞬間、静寂が破られる。
神殿の入り口から、急ぎ足で神官が駆け込んできた。
「緊急の報せです! セイラン家の次女ミレイア様が、王都近郊で馬車の事故に遭われたとのこと……!」
「なに……?」
ラズがつぶやき、振り返る。
その顔が、明らかに変わった。
(・・・ミレイアが?!)
ミレイアが事故に遭った事実に、リリエルも動揺していた。
青ざめ、息を詰め、パニックに陥りそうになっていた。
ふと、隣にいるラズの顔を見ると、
表情を無くしたラズは、すでに扉に向かって駆け出していた。
「待って、ラズ様……!」
神殿の外、陽光のなかを駆けてゆくラズの姿は、まるで魂ごと、ミレイアを追っていくかのようだった。
リリエルの足が止まる。
立ち尽くしたまま、風の音を聞く。
(私もミレイアを心配しているのに・・・)
我を失い、走り去っていくラズの背を見て
涙が溢れて止まらない。
空はあんなにも青いのに
胸の中は、真冬のように冷たかった。
ラズ様の心には、ミレイアがいる。
彼の本当の気持ちは、きっとずっと──
リリエルは、膝の力が抜けそうになるのを必死に耐え、震える手を握りしめた。
「……神さま……」
誓うはずの言葉が空を切る。
小さな声が、石畳に落ちた。
胸が痛くて、苦しくて、息をするのがやっとだった。
この国では、婚姻の1年前に婚約の儀を行うしきたりがある。婚約をする2人だけで、神殿の聖女の前で誓いの言葉を述べ、神に感謝するという儀式となる。
今日はリリエルとラズヴェルの婚約の儀。
白い正装を纏ったリリエルの頬は緊張と不安に紅く染まり、隣に立つラズは静かに、けれどどこか硬直したような姿勢で息を整えていた。
「これより、婚約の儀を執り行います」
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「・・・、」
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「緊急の報せです! セイラン家の次女ミレイア様が、王都近郊で馬車の事故に遭われたとのこと……!」
「なに……?」
ラズがつぶやき、振り返る。
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(・・・ミレイアが?!)
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青ざめ、息を詰め、パニックに陥りそうになっていた。
ふと、隣にいるラズの顔を見ると、
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「待って、ラズ様……!」
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リリエルの足が止まる。
立ち尽くしたまま、風の音を聞く。
(私もミレイアを心配しているのに・・・)
我を失い、走り去っていくラズの背を見て
涙が溢れて止まらない。
空はあんなにも青いのに
胸の中は、真冬のように冷たかった。
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リリエルは、膝の力が抜けそうになるのを必死に耐え、震える手を握りしめた。
「……神さま……」
誓うはずの言葉が空を切る。
小さな声が、石畳に落ちた。
胸が痛くて、苦しくて、息をするのがやっとだった。
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