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1章 機械国家の永久炉――【仕掛けられる『皇帝』への罠】
蒸気都市――《ビフトロ》
しおりを挟む波が穏やかな内に一行はグランヴァーレの領地内である港に到着する。
「うーん、キモチイイ! この空気を肌で感じると、ビフトロに帰ってきたって感じがする」
まず先に、心、未来、トゥーリの女性3人が船から降りる。
その後ろに、ガゼル、ローグの2人が荷物を両手に降りる。
さらにさらに、その後ろからまるで特殊部隊の隊員かのようなゴリゴリの武装をした。――バカ2人が小銃を手に道中をクリアリングしながら目標地点へと向かう。
「……未来さん。失礼な事を聞きますが、あの2人はバカなんですか?」
「はい、バカです。でも、一見ふざけているような見た目や言動でも、実はこの場の誰よりも瞬時に対応出来うる力はありますよ。例え……特殊部隊の格好をしたコスプレヤーでも」
船を後にして、港の内部へと向かう。
その道中で、黒、ハートを除く全員がある違和感に気付く。
船を降りてから、ここまで誰一人として作業員や漁業関係者とも出会っていない。
その事に、ローグとガゼルが警戒心を先程よりも強くさせる。
――が、遅かった。
ローグ、ガゼルの目前で一人の男が立ち上がる。
まるで、最初からその場に居たかのような。不思議な感覚が、2人を呑みこむ。
ローグ、ガゼルが《退避》と言う選択をするよりも先に、男が動く。
両手で、2人を突き飛ばしてハートのクルーザーに叩き付ける。
クルーザーがぐしゃぐしゃに曲がり、2人がクルーザーから逃れるよりも先に天高く飛び上がった男が2人まとめてクルーザー諸とも海中へと沈める。
「――ローグ!! ガゼル!!」
トゥーリが海へと走る。だが、その足は走り出した途端に止まる。
霧の中からトゥーリの喉に突き付けられた刃物が、トゥーリに降伏を促す。
渋々、両手を挙げたトゥーリの目の前で、全身ずぶ濡れのローグとガゼルの2人が地面に投げられる。
次々に霧の中から人が現れ、銃や刃物をトゥーリ、ローグ、ガゼル、未来、心へと向ける。
「……強い」
トゥーリの発言を聞いていたのか、心が彼らの正体を告げる。
濃い濃霧の中を動き、対象を拘束する事に特化した鎮圧部隊――《霧の軍団》――
そのリーダにして、王の世代の1人が全員の前に姿を現した。
100キロは超えている大きなお腹に、まんまるな顔が特徴的で優しい声音と顔立ちの青年を見て、心は思わず走り出した。
「ルーちゃんッ!! 会いたかったよぉ~」
「こッ、心ッちゃん!! ……黒くんとのメールで話は聞いてたけど……本当に、心ちゃんなの??」
ルシウスへと抱き着いた心に触れて、ルシウスは涙を滲ませる。
2年ぶりの熱い抱擁の後に、2人は唇を交わす。
全身を使って嬉しさを表現する心を見て、未来は釣られて涙ぐむ。
ルシウス・L・ビフトロと雨城心か約2年の月日を経て、再会を果たした――
突然の来訪に、霧の軍団の者達が警戒態勢から手加減せずに対応した事に謝罪しつつ、両者は握手する。
その瞬間を誰もが祝う中で、黒とハートはある目標地点に到達する。
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