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社の章ー秘密の欠片ー
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「カイ……、!」
侑兄が声を掛けたその時、ちさがトコトコとカイ兄の傍に行く。そして、カイ兄の右手を握った。カイ兄はビクッと肩を揺らし、「あ……ちさ……」と我に返る。
「わたし、こうしてるから……怖くないよ……」
「ちさ……!」
カイ兄は潤んだ目を自身の細い指で拭う。「ありがとうございます」と礼を言うと、侑兄を見て弱々しく、でも微笑んだ。
「行きましょう、侑兄さん」
テープを押し上げて皆で村に入る。ザアッと前から風が吹いた。砂埃が舞い、咄嗟に目を瞑る。
落ち着いたころ目を開けたそこには―――何も無かった。短い雑草が斑に生えているだけの広い空間。右を見ても左を見ても奥に森が在るだけ。
ただ、小さく石段があり、その上に鳥居? のようなものが見えた。「あそこは神社だったんだ」と俺の目線を追ったらしい侑兄が説明する。
ゆっくりと、まるで散歩をするような歩き方で侑兄は足を踏み出した。その後をカイ兄と、手を繋いだちさ。そして俺と慶弥が並んで続く。
「ここは役場で、あの場所に道場があった。武道が盛んな村でな……」
歩きながら侑兄が指を差していく。なんだか実際に村の風景が見えて来そうなくらいリアルだった。……いやリアルだったんだろうけど。
侑兄が声を掛けたその時、ちさがトコトコとカイ兄の傍に行く。そして、カイ兄の右手を握った。カイ兄はビクッと肩を揺らし、「あ……ちさ……」と我に返る。
「わたし、こうしてるから……怖くないよ……」
「ちさ……!」
カイ兄は潤んだ目を自身の細い指で拭う。「ありがとうございます」と礼を言うと、侑兄を見て弱々しく、でも微笑んだ。
「行きましょう、侑兄さん」
テープを押し上げて皆で村に入る。ザアッと前から風が吹いた。砂埃が舞い、咄嗟に目を瞑る。
落ち着いたころ目を開けたそこには―――何も無かった。短い雑草が斑に生えているだけの広い空間。右を見ても左を見ても奥に森が在るだけ。
ただ、小さく石段があり、その上に鳥居? のようなものが見えた。「あそこは神社だったんだ」と俺の目線を追ったらしい侑兄が説明する。
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