63 / 71
社の章ー秘密の欠片ー
14
しおりを挟む
「慶弥の母親……透子さんが崖から転落して亡くなったからだと思う。火事ではなく、その数年前にな」
そうだったのか……だから、登山で危なかったちさと重ねたのか。
悪いことを聞いてしまった俺は慶弥に小さく「ごめん」と謝る。慶弥は「明日は嵐だな」と苦笑いを浮かべた。なんだとコラ。俺が謝るのがそんなレアかよ。まぁレアだけど。
「それで……もうひとつのお前の問いだが」
侑兄は俺をチラッと見た。眼鏡の奥のその目が昏くて、俺の心臓がまたドクンと鳴る。侑兄は鳥居の方向を指し示した。
「『あそこ』に着いてから説明する」
侑兄が持っていたバッグからペットボトルを取り出すと各々水分を摂る。曇り空だが夏なので皆汗をかいていた。タオルで首筋を拭いつつ神社に向かう。歩いてみると村は意外と広かった。
「足元気を付けろよ。崩れるかもしれないからな」
石段を上る侑兄は、下段にいる俺達に注意を促す。確かに古いし火事でだろう、所々が黒ずんでいる。俺はなるべく前を行く侑兄にくっついて行った。
割と長い階段を上りきり、鳥居を潜った先には、石畳と――何だ? アレ……なんか石で区切った部分が……
「あそこには、池があったんだ。もう枯れてるけどな」
そうだったのか……だから、登山で危なかったちさと重ねたのか。
悪いことを聞いてしまった俺は慶弥に小さく「ごめん」と謝る。慶弥は「明日は嵐だな」と苦笑いを浮かべた。なんだとコラ。俺が謝るのがそんなレアかよ。まぁレアだけど。
「それで……もうひとつのお前の問いだが」
侑兄は俺をチラッと見た。眼鏡の奥のその目が昏くて、俺の心臓がまたドクンと鳴る。侑兄は鳥居の方向を指し示した。
「『あそこ』に着いてから説明する」
侑兄が持っていたバッグからペットボトルを取り出すと各々水分を摂る。曇り空だが夏なので皆汗をかいていた。タオルで首筋を拭いつつ神社に向かう。歩いてみると村は意外と広かった。
「足元気を付けろよ。崩れるかもしれないからな」
石段を上る侑兄は、下段にいる俺達に注意を促す。確かに古いし火事でだろう、所々が黒ずんでいる。俺はなるべく前を行く侑兄にくっついて行った。
割と長い階段を上りきり、鳥居を潜った先には、石畳と――何だ? アレ……なんか石で区切った部分が……
「あそこには、池があったんだ。もう枯れてるけどな」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる