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社の章ー秘密の欠片ー
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侑兄の鍵を握る手が止まる。助手席のカイ兄の肩がビクッと揺れたのを俺は見逃さなかった。
――……何だ?
空気が張り詰める。横に目を走らせると、同様に異変に気付いたらしいちさと視線がかち合った。その向こうの慶弥は体を強ばらせて下を向いている。
「それは……不明だ」
侑兄は固い口調で言うとアクセルを踏み車を動かす。俺は視線を鋭くして皆を観察した。
そうして緊迫した雰囲気の中、無言で俺達5人は帰路に着く。生まれ故郷を後にして。
「明らか変だったな」
数時間かけ自宅に戻り、出前を取った。食事後各々風呂に入り自室に戻る。暗い窓を眺めながら俺は言った。
ここは俺の部屋だが、またもちさが居る。こいつも誰かと話がしたかったらしい。並んでベッドに腰かけている。「うん……お兄ちゃんたちって隠し事下手だよね……バカ正直」とちさが呟いた。確かにな、と俺は鼻で嗤う。
「あれで誤魔化せるって思ってんだから、大人も大した事ねーよなマジで」
「でも……わたし、誤魔化されるよ」
俺はちさを横目で見る。ちさの横顔は相変わらずぼんやりしてるが、声ははっきりしていた。
――……何だ?
空気が張り詰める。横に目を走らせると、同様に異変に気付いたらしいちさと視線がかち合った。その向こうの慶弥は体を強ばらせて下を向いている。
「それは……不明だ」
侑兄は固い口調で言うとアクセルを踏み車を動かす。俺は視線を鋭くして皆を観察した。
そうして緊迫した雰囲気の中、無言で俺達5人は帰路に着く。生まれ故郷を後にして。
「明らか変だったな」
数時間かけ自宅に戻り、出前を取った。食事後各々風呂に入り自室に戻る。暗い窓を眺めながら俺は言った。
ここは俺の部屋だが、またもちさが居る。こいつも誰かと話がしたかったらしい。並んでベッドに腰かけている。「うん……お兄ちゃんたちって隠し事下手だよね……バカ正直」とちさが呟いた。確かにな、と俺は鼻で嗤う。
「あれで誤魔化せるって思ってんだから、大人も大した事ねーよなマジで」
「でも……わたし、誤魔化されるよ」
俺はちさを横目で見る。ちさの横顔は相変わらずぼんやりしてるが、声ははっきりしていた。
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