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第2章 女の園に毒花が咲いた。
7-◇
しおりを挟むそれからゆっくりと彼女の右腕に手をかけたかと思うと、次の瞬間、嫌な音が鳴った。
ぼきり。
「……っぁぁあぁあ!」
痛みに叫ぶ白雪と有り得ない方向に曲がっている彼女の右腕。
李麗は白雪の腕を折ったのだ。
そこでようやく、私も甘美な夢から目覚めた。
「何をしているんだ!」
私が激昂を飛ばすも、李麗の耳には届いていない。
彼はそのまま白雪の口を手で抑え、鼻も隠し、暴れる四肢を押さえつけ、馬乗りになった。
それから、空いている片手を彼女の首に回し、そのまま絞めたのだ。
一瞬の躊躇の後、私は李麗を引き摺り下ろし、その横頬を思いっきり殴り飛ばした。
彼の瞳はどこまでも仄暗く、そして白雪への執着心に塗れていた。
李麗をひとしきり殴ったあと、私は寝台の上で四肢を投げ出している白雪のもとへ駆け寄った。
それから自らの上着を彼女に被せ、その身体をそっと抱き寄せた。
割れ物を扱うかのように、優しくそして慎重に。
情けなくも手が震えているのは、彼女が今にも壊れてしまいそうであったからだ。
先程までの加虐心も欲望も嘘のように消え去り、ただ今は彼女を守りたいという気持ちだけが私を突き動かしている。
意識を朦朧とさせながら白雪は私の名前を呼ぶ。
「……李凌……」
「大丈夫か?」
私が顔を覗き込むと、白雪は少しだけ怯えた様子を見せた。
彼女は震える唇を何とか動かし、こう言った。
「え、えぇ。……でも、どうしてここに?」
薄い青色の瞳からは彼女の真意を窺い知ることは出来なかった。
しかしそれでも、このまま彼女をここに置いておく訳にはいかなかった。
何より、私は白雪を取り戻す為にここに来たのだ。
「一緒に、逃げよう」
私の言葉を聞いた彼女はほろほろと涙を零し始めた。
それから儚げな笑みを浮かべ、こくんと頷いたのだった。
「……私はずっと、ずっと、待っていたのよ。李凌、貴方だけを」
白雪の言葉に李麗が唖然と口を開いているのが見えた。
だがそんなことは最早どうでもよいことであった。
私は彼女を今度はしっかりと抱き締め、それから抱え上げた。
兎に角今は、この場所を離れなければ。
李麗が正気を取り戻す前に。
白雪、君のことは私が守るよ。
あの時守れなかった誓いの分まで。
2人で共にまっさらな人生を歩んでいこう。
私と君はきっと運命で結ばれているのだから。
そう、どこまでも一緒に……。
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