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第1章 白と黒が交わり、
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自分の身に感じるこの痛みも、目の前の綺麗な顔をして絶望している男も、その全てが可笑しくて、可笑しくて。
気がつけば、私は涙を零しながら笑っていた。
「あははっ! そうよ、貴方は最初から殺されるためにここへ来たに他ならないのよ。それを自ら死に場所として、望み通りのこのこ死んであげるとは、馬鹿な男ね!」
李麗は、狂ったように笑う私を奇異なものを見るような目をして見つめた。
それから、殴っていた自分の手に視線をやると、そこに付着していた私の血をぼんやりと眺める。
「……まだ……まだ、俺がこの戦で死ぬと決まったわけじゃない」
不意に、彼は私の唇を奪った。
そこに自分の命があることを証明したいとでも言うかのように。
重なり合った唇同士が離れ、目が合った漆黒の瞳には不安が映し出されていた。
「あら、貴方は死ぬわよ」
私は言った。
そして、再び言い直す。
「いいえ、死ぬつもりなのよ」
彼の瞳から感情が消えていくのが分かった。
それでも、私の言葉は紡がれる。
もっと、もっと、絶望の奈落へ。
私は彼を貶めたくてしょうがなかった。
この端正な顔をした、漆黒の男を。
そのくせ、本当の絶望を知らない、無知で無垢な、この男を。
「だから、貴方は私のようなしがない娼婦に自分の過去を話したのよ。憐れんでもらいたかったのかしら? それとも、最期に自分の生きた証を誰かの心にでも残したかったのかしら?」
「……いや、そんなつもりでは」
心の奥に眠る、彼の仄暗い欲望を引き摺り出したい。
その絶望の先でも、彼はまだ幸せになろうと思えるのかしらね。
私は、自分の中に巣食う卑しい情動に身を任せた。
誰かに不幸を自慢したいと思ったのは、久しぶりの感覚だった。
「ふざけないで。こっちは死に物狂いで生きているのよ。外見だけは綺麗に着飾って、それでも醜く必死に泥を食って“生きる”ってことをやってのけているのよ。お金で買われ、男たちに股を広げ、それがどんなに惨めなことなのか、そっち側の貴方には決して分からないわ。ましてや、貴方みたいに自分の過去に酔い痴れて、地に足をつけて生きてすらいない人が、悲劇の主人公を気取っているなんてね。貴方が私の生き方にケチをつける権利はないわ」
そう言い終わったと同時に、私は頭を勢いよく殴られ、そのまま意識を手放した。
その瞬間、李麗の綺麗な瞳から完全に光が消え失せ、暗く濁った黒に染まったのを私は見逃さなかった。
……そう、それでいいわ。
私は満足気に口角を上げた。
気がつけば、私は涙を零しながら笑っていた。
「あははっ! そうよ、貴方は最初から殺されるためにここへ来たに他ならないのよ。それを自ら死に場所として、望み通りのこのこ死んであげるとは、馬鹿な男ね!」
李麗は、狂ったように笑う私を奇異なものを見るような目をして見つめた。
それから、殴っていた自分の手に視線をやると、そこに付着していた私の血をぼんやりと眺める。
「……まだ……まだ、俺がこの戦で死ぬと決まったわけじゃない」
不意に、彼は私の唇を奪った。
そこに自分の命があることを証明したいとでも言うかのように。
重なり合った唇同士が離れ、目が合った漆黒の瞳には不安が映し出されていた。
「あら、貴方は死ぬわよ」
私は言った。
そして、再び言い直す。
「いいえ、死ぬつもりなのよ」
彼の瞳から感情が消えていくのが分かった。
それでも、私の言葉は紡がれる。
もっと、もっと、絶望の奈落へ。
私は彼を貶めたくてしょうがなかった。
この端正な顔をした、漆黒の男を。
そのくせ、本当の絶望を知らない、無知で無垢な、この男を。
「だから、貴方は私のようなしがない娼婦に自分の過去を話したのよ。憐れんでもらいたかったのかしら? それとも、最期に自分の生きた証を誰かの心にでも残したかったのかしら?」
「……いや、そんなつもりでは」
心の奥に眠る、彼の仄暗い欲望を引き摺り出したい。
その絶望の先でも、彼はまだ幸せになろうと思えるのかしらね。
私は、自分の中に巣食う卑しい情動に身を任せた。
誰かに不幸を自慢したいと思ったのは、久しぶりの感覚だった。
「ふざけないで。こっちは死に物狂いで生きているのよ。外見だけは綺麗に着飾って、それでも醜く必死に泥を食って“生きる”ってことをやってのけているのよ。お金で買われ、男たちに股を広げ、それがどんなに惨めなことなのか、そっち側の貴方には決して分からないわ。ましてや、貴方みたいに自分の過去に酔い痴れて、地に足をつけて生きてすらいない人が、悲劇の主人公を気取っているなんてね。貴方が私の生き方にケチをつける権利はないわ」
そう言い終わったと同時に、私は頭を勢いよく殴られ、そのまま意識を手放した。
その瞬間、李麗の綺麗な瞳から完全に光が消え失せ、暗く濁った黒に染まったのを私は見逃さなかった。
……そう、それでいいわ。
私は満足気に口角を上げた。
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