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――――その時。
彼女たちの後ろに広がる暗がりからぬっとアンデッドが現れた。
不快な呻き声を上げながら、腐った腕がメリッサを掴んだ。
「なっ」
驚いた彼女にアンデッドが襲いかかる。
しかし俺がメリッサを助けに行くよりも早く、ミレイの淡いブロンズの髪が目の前を横切った。
「メリッサちゃん‼」
「馬鹿っ」
ミレイがメリッサに覆い被さり、アンデッドの標的がミレイへと移る。
「……っ、いた」
ミレイの右肩口にアンデッドが噛み付いたあと、俺の斧がアンデッドの頭部を砕き割った。
俺たち三人の視線が交わり、ミレイの肩へと流れていった。
「……そ、そんな」
メリッサの表情が絶望に染まった。
アンデッドの体液が自身の体内に入り込むだけで、その人間もアンデッドとなる。
つまり、アンデッドは噛んだり引っ掻いたりしただけで感染させられるほどに強い感染力を持った生命体なのである。
そして今、ミレイの肩口にはアンデッドに噛まれた傷口があった。
てらてらと粘り気のある唾液とミレイの真っ赤な鮮血が混ざり不気味に光を反射していた。
さらに奥に人影らしきものを目にした俺は、口を開こうとしていたミレイを手振りで制した。
人差し指を唇に当て、静かにするように意思を伝えた。
二人が小さく頷いたのを確認し、俺は奥に目を凝らした。
結論から言うと人影らしきものはアンデッドだった。
彼らはぞろぞろと従業員用出入り口から出てきていた。
その数はざっと五十体ほど。
ミレイの手当ても早急にしなくてはならない上に、手負いの彼女と精神的ショックを受けているメリッサを抱えてこの数のアンデッドを捌くのは不可能であると判断した。
「ちっ。……ひとまず、逃げるぞ」
俺の言葉に二人が同時に首を縦に振る。
メリッサがミレイを支え、俺が二人を護衛する形で俺たちはモールの一階にある正面入口を目指した。
寄ってくる敵を薙ぎ倒しながら、止まったままのエスカレーターを下っていく。
正面入口には外からの陽光が入ってきていた。
日向と日陰の境界線でミレイの足が止まった。
「私は……行けない……」
「どうしてそんなことを言うわけ⁉」
メリッサの悲痛な叫びが耳に残る。
暗がりの向こうにはアンデッドの大群が待ち構えている。
一階にくるまでにモール内にいたほとんどのアンデッドを引き連れてしまったのだろう。
「お願い、メリッサちゃん。私をここに置いて逃げて」
「嫌よ、あたしたちは二人で逃げるの。そうでしょう? そうだって言って」
ぼろぼろとメリッサの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちてくる。
ミレイはそっと顔を伏せた。
もうこれ以上話し合うことはない、とでも言うみたいに。
「もう時間がない。どうする」
俺は彼女たちに選択を任せることにした。
こればかりは外野が口を出すことではないし、実際に俺とクレオが同じ状況に陥ったとしたら口を挟まれたくはないと思うだろう。
そっと視線を外に向けると、外の陽射しの中にクレオの姿を見つけた。
日の光が彼の銀髪をきらきらと輝かせている。
自身の愛車にもたれかかり、葉っぱを蒸すクレオの姿に少しばかり見惚れた。
優雅に視線をこちらに投げたクレオと視線が合う。
どきりと自分の大きな鼓動を確認した。
どうやらクレオの方も俺の存在に気がついたようであった。
待ちくたびれたと言いたげな仕草で、こちらへ向かってくるのが見えた。
まずい、と反射的に俺がそう思ったのと同じタイミングでミレイも行動を起こしていた。
彼女たちの後ろに広がる暗がりからぬっとアンデッドが現れた。
不快な呻き声を上げながら、腐った腕がメリッサを掴んだ。
「なっ」
驚いた彼女にアンデッドが襲いかかる。
しかし俺がメリッサを助けに行くよりも早く、ミレイの淡いブロンズの髪が目の前を横切った。
「メリッサちゃん‼」
「馬鹿っ」
ミレイがメリッサに覆い被さり、アンデッドの標的がミレイへと移る。
「……っ、いた」
ミレイの右肩口にアンデッドが噛み付いたあと、俺の斧がアンデッドの頭部を砕き割った。
俺たち三人の視線が交わり、ミレイの肩へと流れていった。
「……そ、そんな」
メリッサの表情が絶望に染まった。
アンデッドの体液が自身の体内に入り込むだけで、その人間もアンデッドとなる。
つまり、アンデッドは噛んだり引っ掻いたりしただけで感染させられるほどに強い感染力を持った生命体なのである。
そして今、ミレイの肩口にはアンデッドに噛まれた傷口があった。
てらてらと粘り気のある唾液とミレイの真っ赤な鮮血が混ざり不気味に光を反射していた。
さらに奥に人影らしきものを目にした俺は、口を開こうとしていたミレイを手振りで制した。
人差し指を唇に当て、静かにするように意思を伝えた。
二人が小さく頷いたのを確認し、俺は奥に目を凝らした。
結論から言うと人影らしきものはアンデッドだった。
彼らはぞろぞろと従業員用出入り口から出てきていた。
その数はざっと五十体ほど。
ミレイの手当ても早急にしなくてはならない上に、手負いの彼女と精神的ショックを受けているメリッサを抱えてこの数のアンデッドを捌くのは不可能であると判断した。
「ちっ。……ひとまず、逃げるぞ」
俺の言葉に二人が同時に首を縦に振る。
メリッサがミレイを支え、俺が二人を護衛する形で俺たちはモールの一階にある正面入口を目指した。
寄ってくる敵を薙ぎ倒しながら、止まったままのエスカレーターを下っていく。
正面入口には外からの陽光が入ってきていた。
日向と日陰の境界線でミレイの足が止まった。
「私は……行けない……」
「どうしてそんなことを言うわけ⁉」
メリッサの悲痛な叫びが耳に残る。
暗がりの向こうにはアンデッドの大群が待ち構えている。
一階にくるまでにモール内にいたほとんどのアンデッドを引き連れてしまったのだろう。
「お願い、メリッサちゃん。私をここに置いて逃げて」
「嫌よ、あたしたちは二人で逃げるの。そうでしょう? そうだって言って」
ぼろぼろとメリッサの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちてくる。
ミレイはそっと顔を伏せた。
もうこれ以上話し合うことはない、とでも言うみたいに。
「もう時間がない。どうする」
俺は彼女たちに選択を任せることにした。
こればかりは外野が口を出すことではないし、実際に俺とクレオが同じ状況に陥ったとしたら口を挟まれたくはないと思うだろう。
そっと視線を外に向けると、外の陽射しの中にクレオの姿を見つけた。
日の光が彼の銀髪をきらきらと輝かせている。
自身の愛車にもたれかかり、葉っぱを蒸すクレオの姿に少しばかり見惚れた。
優雅に視線をこちらに投げたクレオと視線が合う。
どきりと自分の大きな鼓動を確認した。
どうやらクレオの方も俺の存在に気がついたようであった。
待ちくたびれたと言いたげな仕草で、こちらへ向かってくるのが見えた。
まずい、と反射的に俺がそう思ったのと同じタイミングでミレイも行動を起こしていた。
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