はちゃめちゃな世界で君と。

高殿アカリ

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School Days

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怯える彼の目に果たして私の姿はどう写っていただろうか。

人知れない森の奥に作った罠にはまってしまった自分の未来をどう想像しただろうか。

動物に食われるか、はたまた野垂れ死ぬか。
私にはどうだっていいことだった。

こうして、私は彼との楽園を手に入れるために罠を作ることを覚えた。

「ゴードン、私がこの国を出たいと言ったら一緒についてきてくれますか?」

私の問いに彼は満面の笑顔で答えた。

「あぁ、いいぞ。そうだ、俺の母さんと妹も一緒でもいいか?」
「構いません。ゴードンの大事な人は私にとっても大切な人ですから」

私もまた心から幸せな笑顔を彼に向けたのだった。
 

そして、現在の彼もまた私の隣に並んで立っている。
あの日の約束を果たそうとしているのである。

「ひと仕事終わったなぁ」
「えぇ」

ゴードンは気持ちよさそうな伸びをして、玄関先のカウチで寝ている。
私は隣に座り、彼の鼓動を感じていた。

ふと、身を起こしたゴードンが何の気無しに私に話しかけた。

「ずっと気になってたことがあるんだが、クレオはアンデッドたちの頭を刺すとき何考えてるんだ?」

私は笑って答えた。

「秘密ですよ。……そうですねぇ、貴方の答えを教えてもらえるなら私も教えます」
「俺は家を守る気持ちでやってる。ここが俺らのホームだからな」

胸を張ってそう言ったゴードンに温かい気持ちが込み上げてくる。

「それなら私もあなたと同じ気持ちです。貴方と私の家を、この小さな箱庭を、私は守りたいと思っています」

そっとゴードンの短髪に指を滑り込ませた。
耳を少し赤くさせ照れている様子ではあるが、決して私を拒絶したりはしない。

「そ、そうか」

うろうろと視線を彷徨わせる彼がおかしくて、可愛くて、愛おしくて。
図体のでかい大人であるはずなのに、そう思ってしまう。

私は彼の顔の輪郭を指の腹で確認していく。
ひとつずつ、間違いがないように、ゴードンがここにいると確認するように。

それが思いもよらぬ行動だったのか、ゴードンの身体がぴしりと固まる。
それから、彼は唇をひと舐めして私を見つめた。

そこにはもう恥じらいも照れた様子も見て取れなかった。
彼の大きな手が私の頬を包み、そのまま彼は顔を近づけ、そっと私の唇を啄んだ。

「あの日のお返しだ」

にやりと意地悪く笑ったゴードンに私の鼓動は一度だけ大きく高鳴った。

小さな秘密基地で果たした約束を私たちは未だ違えていなかった。
願わくば、これから先もずっとささやかで幸福な毎日が続きますように。

 
――――しかし、私たちが信じた未来を共に目にすることは叶わないのである。
空には暗雲が垂れ込め始めていた。
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