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第3章
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今日、十六歳を迎える大吾は緊張していた。
先ほど、隣の家に住む幼馴染みの雪が大吾の家に誕生日を祝いに来ると連絡があったからだ。
そわそわと夕食の支度を手伝う大吾の様子に、母である恵美子は微笑んだ。
「ふふふ、相変わらず大吾は雪くんのことが大好きなのね」
母親の言葉に大吾の肩が強ばる。
「別に、そんなんじゃねえ」
そのとき、黒川家の玄関のチャイムが鳴った。
高校に入学してから、大きくなった身体を素早く動かして、大吾は扉を開けた。
「あ、大吾くん」
そこにいたのは、自分より六歳年上の雪だった。
「どうぞ」
大吾の勉強を見るために普段から黒川家に出入りしている雪は、勝手知ったる様子で中に入っていた。
「お邪魔します」
「雪くん、今日は大吾のためにありがとう」
「いえ、大吾くんは僕の弟みたいなものですから」
そんな些細な会話にも、大吾の心はツキンと小さな音を立てる。
「早く食べようぜ」
「おじさんは?」
「それがね、今日は遅くなるみたいなの。だから雪くんが来てくれて本当に嬉しいのよ?」
「恵美子おばさんの手料理を逃すなんて、おじさんも残念ですね。ね、大吾くん?」
「……かもな」
ささやかに誕生日の夜は過ぎていき、大吾は照れながらも素直に喜んでいた。
そんな中、雪は綺麗にラッピングされた薄っぺらい何かを取り出した。
「はい、大吾くん」
戸惑いながらもそれを受け取る。
「これは?」
「誕生日プレゼントだよ。最近出来た遊園地のチケットが二枚入ってるから、誰か女の子とでも行ってきなよ」
「あら良かったわね、大吾。この前行きたいって言ってた場所じゃない。雪くんは気も利くのねぇ」
「大吾くんも、もうお年頃ですからね」
母親と雪のにこやかな会話を大吾は聞いていなかった。
手の中にある遊園地のチケットを見て、大吾は勇気を振り絞った。
好きな人を誘うために、ありったけの勇気を。
「俺、雪と行きたい」
大吾の言葉に雪は、目を瞬いた。
「え?僕と?」
二人の様子に何かを感じ取った恵美子は、母親らしくそっとその場を立ち去った。
それを横目で見送った大吾は、続ける。
「雪は嫌か?」
チケットを持つ手は震え、耳も真っ赤に染まっていた。
それに気づいた雪は、大吾の手に自分の手を添える。
「嫌じゃないよ。でも、僕なんかでいいの?好きな子とか、」
「好きな子なんていないから」
怒鳴りこそしなかったものの、雪の言葉を遮った大吾の声は不機嫌そうだった。
先ほど、隣の家に住む幼馴染みの雪が大吾の家に誕生日を祝いに来ると連絡があったからだ。
そわそわと夕食の支度を手伝う大吾の様子に、母である恵美子は微笑んだ。
「ふふふ、相変わらず大吾は雪くんのことが大好きなのね」
母親の言葉に大吾の肩が強ばる。
「別に、そんなんじゃねえ」
そのとき、黒川家の玄関のチャイムが鳴った。
高校に入学してから、大きくなった身体を素早く動かして、大吾は扉を開けた。
「あ、大吾くん」
そこにいたのは、自分より六歳年上の雪だった。
「どうぞ」
大吾の勉強を見るために普段から黒川家に出入りしている雪は、勝手知ったる様子で中に入っていた。
「お邪魔します」
「雪くん、今日は大吾のためにありがとう」
「いえ、大吾くんは僕の弟みたいなものですから」
そんな些細な会話にも、大吾の心はツキンと小さな音を立てる。
「早く食べようぜ」
「おじさんは?」
「それがね、今日は遅くなるみたいなの。だから雪くんが来てくれて本当に嬉しいのよ?」
「恵美子おばさんの手料理を逃すなんて、おじさんも残念ですね。ね、大吾くん?」
「……かもな」
ささやかに誕生日の夜は過ぎていき、大吾は照れながらも素直に喜んでいた。
そんな中、雪は綺麗にラッピングされた薄っぺらい何かを取り出した。
「はい、大吾くん」
戸惑いながらもそれを受け取る。
「これは?」
「誕生日プレゼントだよ。最近出来た遊園地のチケットが二枚入ってるから、誰か女の子とでも行ってきなよ」
「あら良かったわね、大吾。この前行きたいって言ってた場所じゃない。雪くんは気も利くのねぇ」
「大吾くんも、もうお年頃ですからね」
母親と雪のにこやかな会話を大吾は聞いていなかった。
手の中にある遊園地のチケットを見て、大吾は勇気を振り絞った。
好きな人を誘うために、ありったけの勇気を。
「俺、雪と行きたい」
大吾の言葉に雪は、目を瞬いた。
「え?僕と?」
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それを横目で見送った大吾は、続ける。
「雪は嫌か?」
チケットを持つ手は震え、耳も真っ赤に染まっていた。
それに気づいた雪は、大吾の手に自分の手を添える。
「嫌じゃないよ。でも、僕なんかでいいの?好きな子とか、」
「好きな子なんていないから」
怒鳴りこそしなかったものの、雪の言葉を遮った大吾の声は不機嫌そうだった。
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