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第六話
初戦!
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榛名がヴァルハラに来てようやく二年の月日が流れた。榛名の手元には四十枚のカードの姿があった。仲間集めの最中、カードには三種類あることに気付く。
仲間にした際、その仲間が生前に持っていた潜在能力によって、カード自身に能力が付与される。
ゲームのルールの範囲の中で使える効果らしく、単純に駒を進める将棋やチェスとは違い、戦略において戦い方が大幅に変わる。それが分かり、榛名は長い廊下を歩きながら、これからの戦いに向けて頭の中でシミュレーションをしていた。これが単純な○✕ゲームなら、複数の攻略方法を考えれば済む話だが、ことはそう簡単にはいかない。相手の持ち手が分からない、それが一対一の戦いで厄介なことの一つだった。
「安心して、榛名くん。だってあんなにゲームが強かったんだよ、何とかなるって」
とうの愛歌は何を期待してそんなことを言ったのか、榛名は聞いてるだけでため息しか口から出なかった。
「だから、お前は勉強ができないんだな。簡単な魔術だって、覚えるのが苦手だったし……」
「むう、また馬鹿にしてえ。いい、物事なんて長い時間かければ覚えるものなんだよ」
「それだと色んなことで効率が悪いだろ!」
そんな言い争いをしていると、二年前にオーディンにあった場所に着いた。白銀の扉を開けると、二年前と同様、すでに榛名たち以外のメンバーがいた。
「遅かったのう、まあ制限時間には間に合っているか……。よし、これより『セカンドラグナロク』を開催する! すでに対戦カードは決めてある。お主たち、自分のポケットを確認してみよ」
この場にいる全員がオーディンに言われた通り、各々自分の服やズボンに手を突っ込み確かめ始めた。榛名も、胸ポケットに手を突っ込んでみると、何もなかったはずのポケットに何か入っている感触があった。それを手で掴みだしてみると、一枚のカードがあった。
カードには数字の1が刻まれていた。
「カードに数字が刻まれてあるだろう。今見ている数字と同じ数字のやつと対戦することになる。そして、数字が小さいものからバトルを始めてもらうぞ」
「なるほどな、つまり俺からだな」
「これは運がいいのか、悪いのかな? アンタの対戦相手は私よ」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、榛名は後ろを振り返った。そこには、1の数字が刻まれたカードを見せびらかすように持ったイオルの姿があった。
「知り合いだからって手は抜かないから。こっちにだって叶えたい願いがあるんだから」
「それは俺も同じだ。勝負に手加減って言葉はない」
『――□□□□』
聞いたことない言葉が部屋中に響き渡る。オーディンが小さな口を開いて何か唱えていた。言葉が止まると同時に、王室の真ん中に、四角い盤石が姿を見せた。以前、セカンドラグナロクのルールを愛歌に教えてもらった時に使ったものと同じものだ。
「各々、ラグナロクのルールは分かっているか?」
神の言葉に二人は頷いた。
「それでは、位置についてもらおうか」
「ああ」
「わかっているわ」
四角い盤石に榛名は近づくと、目の前には泣き顔ではないやる気に満ちた自信満々の顔をしたイオルがいた。
仲間にした際、その仲間が生前に持っていた潜在能力によって、カード自身に能力が付与される。
ゲームのルールの範囲の中で使える効果らしく、単純に駒を進める将棋やチェスとは違い、戦略において戦い方が大幅に変わる。それが分かり、榛名は長い廊下を歩きながら、これからの戦いに向けて頭の中でシミュレーションをしていた。これが単純な○✕ゲームなら、複数の攻略方法を考えれば済む話だが、ことはそう簡単にはいかない。相手の持ち手が分からない、それが一対一の戦いで厄介なことの一つだった。
「安心して、榛名くん。だってあんなにゲームが強かったんだよ、何とかなるって」
とうの愛歌は何を期待してそんなことを言ったのか、榛名は聞いてるだけでため息しか口から出なかった。
「だから、お前は勉強ができないんだな。簡単な魔術だって、覚えるのが苦手だったし……」
「むう、また馬鹿にしてえ。いい、物事なんて長い時間かければ覚えるものなんだよ」
「それだと色んなことで効率が悪いだろ!」
そんな言い争いをしていると、二年前にオーディンにあった場所に着いた。白銀の扉を開けると、二年前と同様、すでに榛名たち以外のメンバーがいた。
「遅かったのう、まあ制限時間には間に合っているか……。よし、これより『セカンドラグナロク』を開催する! すでに対戦カードは決めてある。お主たち、自分のポケットを確認してみよ」
この場にいる全員がオーディンに言われた通り、各々自分の服やズボンに手を突っ込み確かめ始めた。榛名も、胸ポケットに手を突っ込んでみると、何もなかったはずのポケットに何か入っている感触があった。それを手で掴みだしてみると、一枚のカードがあった。
カードには数字の1が刻まれていた。
「カードに数字が刻まれてあるだろう。今見ている数字と同じ数字のやつと対戦することになる。そして、数字が小さいものからバトルを始めてもらうぞ」
「なるほどな、つまり俺からだな」
「これは運がいいのか、悪いのかな? アンタの対戦相手は私よ」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、榛名は後ろを振り返った。そこには、1の数字が刻まれたカードを見せびらかすように持ったイオルの姿があった。
「知り合いだからって手は抜かないから。こっちにだって叶えたい願いがあるんだから」
「それは俺も同じだ。勝負に手加減って言葉はない」
『――□□□□』
聞いたことない言葉が部屋中に響き渡る。オーディンが小さな口を開いて何か唱えていた。言葉が止まると同時に、王室の真ん中に、四角い盤石が姿を見せた。以前、セカンドラグナロクのルールを愛歌に教えてもらった時に使ったものと同じものだ。
「各々、ラグナロクのルールは分かっているか?」
神の言葉に二人は頷いた。
「それでは、位置についてもらおうか」
「ああ」
「わかっているわ」
四角い盤石に榛名は近づくと、目の前には泣き顔ではないやる気に満ちた自信満々の顔をしたイオルがいた。
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