異世界彼女と冒険者

スマイルグッド

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第一章 旅立ち

第四話 一狩り行こうぜ!

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 買っていく物は、主に日持ちのよい干し肉、ガリパン(フランスパン)と水、それからC級回復薬とC級解毒剤、その他各種細かい物を買っていく。
 その手慣れてたように見えるフィアの作業を見ていたため、ぼくは冒険は何回くらい経験しているのか聞いてみた。

 「ん、旅に出たのは一回だけ。それも貴方を探すための間だけで出立したその日に見つけた。だから一日程度。」

 冒険者になったのは昨日のことで、ここより西の小さな町バオニスで登録したそうだ。
 もっと熟練の冒険者は、油断せずにアイテムBOXを買って、常に身軽でいることを心掛けるらしい。
 ちなみにアイテムBOXは高い。どのくらいかというとぼくに鉄装備をフルセットで買えるくらいたかいそうだ。なら、先に装備を買おうということで節約。
 ここでお金の話だが、一円=一エオルと換算。相場自体も日本の物とそうは変わらない。あとは、収入と支出が全然違うくらい。
 主に一般市民で月収5~7万だそうだ。相場が日本と変わらないと考えると、結構生活はきつい。
 病気とかはあんまりないらしいが教会へ行けばだいたいは治るという。お金があれば、だが。
 日本と相場は同じなのに保険が存在しない分、治療費はすごく高い。
 
 さらにフィアは小さい頃に父親が死に、母も先月病気で息を引き取ったので、もう身内はいないと告げられた。
 そんなことをしゃべっているときも無表情なのは、多分自分の中でもう折り合いをつけたからなんだろう。自分ならズルズル引きずってるだろうなぁと思い、素直にフィアには凄いと思った。

 と、話は戻るが剣は一万エオルのものを買った。最初だし、まず自分に何が向いてるかを調べるのに高い剣はいらないと思うし、まず買えないから。

 ぼくたちは武器だけを揃え、街の外へと繰り出す。


 ***


 一日目はまず、戦闘になれることから始めるとのことだった。
 確かに現代っ子のぼくは生き物を自分の手で殺したことがないので、ありがたい申し出だった。実際にやってみて、もし一瞬でもためらったりしたらその間にぼくがやられてしまうかも知れない。そんなのはゴメンだ。

 神山 彩恣かみや さいし

 肉体ー筋力 15
   ー耐久性DEF 15

 精神力MP 
  ー攻撃魔法 なし
  ー補助魔法 なし
  ー精神魔法 なし

 名声 0
 
 モラル値 0
 
 称号 《選定者》

 職業〔ニート〕
 
 フィア
 
 肉体ー筋力 10
   ー耐久性DEF 10

 精神力MP 60
  ー攻撃魔法 「アイスランス」
  ー補助魔法 「フロストバリア」
  ー精神魔法 なし

 名声 3
 
 モラル値 10
 
 称号 《選定者の共》

 職業〔魔術師ウィザード

《選定者》成長制限解除リミットブレイク。レベル制限がなくなる
《選定者の共》各職業に合わせて成長補正をかけれる




 称号はこんな感じの付与効果をそれぞれ持っているらしい。
 なお、ステータスカードにある空欄をタッチしてあらかじめ一個セットしておかないと意味はないらしい。称号の重複効果は受けられないらしい、がその分レアな称号ともなると、その効果はハンパないとのこと。
 だからつけてる間はMAXレベルに到達しても成長し続けるけど、称号を切り替えるともう一回《選定者》をセットするまでレベルは元に戻りはしないが上がりもしないというわけだ。
 まあ、今はこれしかないからこれずっとつけとくけど。
 ちなみに魔法も同様であらかじめセットしたものしか使えない。戦闘中にどちらも入れ替えれるが、時間がかかるのであまりしないそう。
 
 と不意にフィアがぼくを手で制した。

 「ん。いた。剣を構えて。一角ラビットが一匹茂みにいるからそれを狩る」

 ぼくの手にぐっと力がこもるのがわかる。初めて命を奪うことに緊張や恐怖がぼくの中を支配している。
 やっぱりゲームみたいな世界って思ってても最初は緊張するし、恐い。

 「落ち着いて。誰だって最初は緊張する。けどそれは危ない。だから、やるって決めたら絶対最後まで剣を振り抜いて。今回私は危なくなるまでなるべく手を出さないから」

 じゃあ、頑張って。とぼくを見送るフィア。今ぼくが着ているのは、学校のブレザーだ。流石に上着とマフラーに手袋は脱いでるけど、それでも戦闘に適した動きやすい格好でも、しっかりと守ってくれそうな防具でもなんでもない。

 刺されば痛いし、死ぬ。
 当然の言葉が頭を何度も行き来する。
 大丈夫、大丈夫だ。ぼくは何度も心に言い聞かす。
 ここでためらってはいけない、先に進めなくなる。
 よし、もう大丈夫だ。

 ぼくは、ヤル殺す


 ぼくは隠れていた茂みから一気に飛び出す。
 相手がうさぎならこそこそいってもぼくじゃすぐに気付かれると思っての行動だ。
 向こうも気づいた。その鋭利で尖った角を突きつけるようにぼくの方へ向けている。
 声を出した。ありったけ出すことでぼくは戦闘以外のことを考えられないようにした。
 ぼくの振り下ろした剣が一角ラビット向けて放たれる。
 かわされた!一角ラビットは右へ跳んだ。ぼくは地面に刺さった剣を切り返してもう一度振る。
 一角ラビットはそれを角で受け止めた。硬い物を切ったときの硬質な音と共に手に衝撃が走る。
 今度は一角ラビットが身構える。足に力を込め、一気に尖った角をぼくに刺しに来た。
 ぼくは剣の切っ先を下に、左手を上に持ち上げ角を軸に逆袈裟に構えて軌道を反らす。
 再び一角ラビットの方を振り向く。
 そしてただひたすらに一直線に突っ込んできたところを身体を右へその軌道から反らし、手を返して横向きに振りきった。

 一角ラビットは真っ二つに切り裂かれ息絶えた。

 ぼくの魂真の一撃を喰らって。
 その時ぼくを支配したのは、命を奪った恐怖や勝負が終わった開放感などではない。

 紛れもない達成感がそこにはあったのだ。

 勝った、生きてるんだ。
 ぼくは、少し嬉しかった。

 頭の中でファンファーレがなる。
 ステータスカードを見るとレベルアップしていた。
 ステータスは筋力が少々上がったといったところだ。敏捷性等もすべて身体を使う動きは筋力の数値に依存するから、さっきよりもっと動きは良くなるはずだ。
 そんなに時間はたってないのに疲れてしまった体を地面に預けてぼくは思いっ切り寝転がる。


 「勝ったどぉぉぉっぉぉ!」

 そう叫ばずにはいられなかった。




 ***




 その後も狩りは続いた。フィアはぼくを褒めてくれた。不器用な褒め言葉に、ぼくは一気にやる気ボルテージが上がり、断然燃えた(萌えた)。
 狩りはフィアの魔法を組み入れてさっきよりより安全に、スピーディーに行われた。

 ぼくはレベルがこの一回の狩りで8まで上がった。
 フィアは9まで上がる。ぼくの方が下なのは昨日ぼくを助けるため、三匹ほど倒したからだ。

 なお、称号をぼくは新しく手に入れた。新たにセットして効果を確認してみる。

 神山 彩恣かみや さいし

 肉体ー筋力 60
   ー耐久性DEF 45

 精神力MP 30
  ー攻撃魔法 なし 
  ー補助魔法 なし
  ー精神魔法 なし

 名声 6
 
 モラル値 +17
 
 称号 《兎狩りの狂人》

 職業〔ニート〕

 《兎狩りの狂人》ラビット系モンスターに与えるダメージ5%増し


  フィア
 
 肉体ー筋力 19
   ー耐久性DEF 20

 精神力MP 80
  ー攻撃魔法 「アイスランス」
  ー補助魔法 「フロストバリア」
  ー精神魔法 なし

 名声 12
 
 モラル値 +25
 
 称号 《選定者の共》

 職業〔魔術師ウィザード



 フィアは成長補正がかかってるから酷使したステータスほど上昇するそう。現在、アイスランスとフロストバリアはMP6消費らしいから十発以上回復無しで打てる。
 ぼくの方は職業に片手剣士が出ている。街に戻ったら転職準備をしなければ。
 やっぱりいつまでもニートじゃね?格好がつかないしね。

 まあ、しばらくぼくは魔法の方は無縁かな。


 一角ラビットは倒すと加工済みの肉と毛皮、それからきれいな状態の角一本と欠けた角に変わった。
 改めて思うけどゲームの世界みたいだ。上位世界っていってたけど。

 また、ドロップアイテムは結構な量になった。本気でこれはアイテムBOXは必要だと思いはじめた。今日の食事分をここからしょっ引いて、残りを商人に売り払う。そこから得たお金で装備を着々と増やしていく計画だ。
 今日の稼ぎは三千エオルとなった。

 しかし、支出はまだ続く。宿だ。
 これはフィアの申し出で同じ部屋に泊まることになった。男女同じ部屋にいるのはどうかと思い伝えたが。

 「節約して一刻も早く、他の契約者を出し抜く。まずは、旅に必要な装備を整えるまでは狭いベッドでも我慢する」

 そういって、ベッドに二人で入る。もちろんのことながらシングルベッドに二人で入るのだ。結構狭い。
 だから、体が触れ合うのも仕方ないし、いい香りを匂ってしまうのも仕方がないのだ。
 フィアは直ぐに寝息をたてた。寝顔は残念ながら、フィアは壁側を向いてるため確認できない。
 心臓の音が聞こえる。ぼくのものだ。バクバクいっている。
 静寂な夜はいつまでも来なかった。
 ぼくは悟る。

 寝れるわけないじゃん・・・。
 
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