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第一章 旅立ち
第十七話 街に巡る戦禍
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サイ達が襲われるその頃よりも、六時間ほど前。
フィアとクリアはようやく出発準備を整え終わる頃だった。
報告書を届け、そのまま休むことなく買い物に行き、必要な物だけを揃えおわる。
(早くいかなきゃ、サイが心配・・・いろんな意味で)
フィアは、サイをシリーに任せた。しかし、本当にそれでよかったのだろうか?と思っている。 サイのことを信用していないわけじゃないが、不安になるというものだろう。
なにせ、冒険者でしかも男が、女の子と一つ屋根の下にいるのだ。いつ間違いが起きてもおかしくはない。
しかし、自分の時はそんな事起こらなかった、今思い出すと少し悲しいので考えない事にしておく。
それはそうと更に、魔物もでる。それも決まってナーガクルーばかりだ。
フィアは知らないが、サイが下剋上を得ていなければ当然敵わぬ敵なのだ。なにせ、あいつらは近距離も遠距離もどちらでも攻撃することができる厄介なやつらだ。
もし見つかって、仮にサイがうまくいって戦えたとしても、シリーを守りながらは当然無茶だ。
つまり、見つかれば終わりなのだ。
実際には、そんな心配は無用だったのだが、この時のフィアが知る由もない。
フィアは駆け足で急ぐ、その途中ギルドを通りかかるとなにやら騒がしくなっている一角があった。
急いではいるが、同時にギルドにも用はあったので、フィアは立ち寄る事にする。
するとそこには、ギルドの二階から、冒険者に向かって何かを演説していたのか、シンシアがその美しい顔を険しい表情にしながら話していた。
「それでは準備ができ次第、これより緊急クエストを開始します!参加者は先も言った通り、決して期待を裏切らないだけの報酬を約束しましょう!」
それを聞いた冒険者たちは一斉に沸き立ち、各々の準備を開始し始めたのか、皆引き締めた表情で去っていく。
アイリスの街の町長兼、ギルドマスターたるシンシアは、これから森へと向かう支度をしなければならない。
それは、決して近くはないとはいえ、この街の近辺ともいうべき場所で一つの自分が管理する村が消えていたのだ。それもたった一週間程度の内に。
その責任を強くシンシアは感じている。自分の頼れるべき精鋭部隊も今は、王都のコロシアム【バナジリオ】にいてしまっている。帰ってくるのは、どう早く見積もっても最低一日はかかる。
しかし、それではもう遅いとシンシアは痛感している。
だからこその、この緊急クエストなのだ。
この街は、それなりの実力を持った冒険者が集まる。それは、代々継いできているこの街の経済の中心ともいうべき法のおかげでもある。
冒険者の法とも呼ぶべきその法律で、この街は世界でもトップクラスの武力を誇るほか財力も他の都市や街と比べて突出している。
よって、災害時の対応も、主力となる精鋭部隊がいなくとも容易にする事が出来る。
さらに言うと、腕に覚えのある血気盛んな者も多いので、こぞってこう言うイベントには参加してくれるのだ。
なので士気も自然と高くなる。
(これなら森の異常事態は大丈夫そう・・。取り敢えず、いつ頃に森に到着予定かを聞いておかないと)
フィアは、森を出る前、サイからこのような事を頼まれていた。
確かに何か有事の際に、援軍の到着時間は時間を計算する上での目標となりえるので、聞いておかなければならない。
フィアもそのことは十分に分かっているので、どれだけ急いでいても忘れたりはしなかった。
シンシアの元に少し急ぎ目の駆け足で向かう。
シンシアも駆けつけて来たフィアに気づいた様で、声をかけた。
「フィアさん。この度は調査の件、ありがとうございました。」
「ん、仕事だから。それよりも向こうにまだサイと村の子が一人残ってる。援軍の到着時刻はいつ頃?」
かなり立場を考えない物言いだが、これが彼女の素だ。
まあ、シンシアも冒険者の街の長をしてるだけあってそこらの理解はしているつもりだった。
冒険者には言葉ではなく、もたらしてくる商品と力しか求めていない彼女は、それを問題とはせず簡潔に答えを返す。
「援軍の到着見込みは明後日の夜あたりになります。しかしなぜサイさんと村の子が残っているのでしょう?」
「それは単純に、乗れなかったからと言うのもあるけど、サイがもう少し調査する必要があるっていって残る事にしたから」
「大丈夫なのですか?」
「わからない。でもサイなら大丈夫と思うけど今から急いで戻る」
早く合流してサイが戦技を使えれば、サイはナーガクルー程度には負けないであろう事はもう既に実戦で確認済みだ。
「そうですね。それがいいでしょう、万が一の事もあると思いますのでコレを」
そういってシンシアは綺麗な宝石を渡した。
フィアは受け取り見回して見るが、全然なんの役に立つ宝石か分からなかった。
「それは迅雷石と呼ばれる稀少な宝石です。宝石を胸にしまっておき、後は念じるだけで筋力を一時的に向上してくれます」
「ん、ありがとう。」
「しかし気をつけて下さい。これは長く使えばそれだけ反動も大きくなります、それに使い続けている間も、長くなりすぎるとドンドン体が動かし辛くなっていきます。戦闘時間のペース配分にはお気をつけて。」
「わかった。」
それだけを言うと、シンシアも忙しいのか、またギルドの奥に入っていってしまった。
(もう、用事は全部済んだ。急がなくちゃ)
フィアはそのまま、クリアに跨ると街を直ぐに出て、一気に爆走した。
フィアは今とても焦っていると同時にこんな事も思っていた。
せめてサイに会う前に、髪と目の充血位は治しておきたいと。
フィアはつくづく、もう乗らないことを誓うのだった。
フィアとクリアはようやく出発準備を整え終わる頃だった。
報告書を届け、そのまま休むことなく買い物に行き、必要な物だけを揃えおわる。
(早くいかなきゃ、サイが心配・・・いろんな意味で)
フィアは、サイをシリーに任せた。しかし、本当にそれでよかったのだろうか?と思っている。 サイのことを信用していないわけじゃないが、不安になるというものだろう。
なにせ、冒険者でしかも男が、女の子と一つ屋根の下にいるのだ。いつ間違いが起きてもおかしくはない。
しかし、自分の時はそんな事起こらなかった、今思い出すと少し悲しいので考えない事にしておく。
それはそうと更に、魔物もでる。それも決まってナーガクルーばかりだ。
フィアは知らないが、サイが下剋上を得ていなければ当然敵わぬ敵なのだ。なにせ、あいつらは近距離も遠距離もどちらでも攻撃することができる厄介なやつらだ。
もし見つかって、仮にサイがうまくいって戦えたとしても、シリーを守りながらは当然無茶だ。
つまり、見つかれば終わりなのだ。
実際には、そんな心配は無用だったのだが、この時のフィアが知る由もない。
フィアは駆け足で急ぐ、その途中ギルドを通りかかるとなにやら騒がしくなっている一角があった。
急いではいるが、同時にギルドにも用はあったので、フィアは立ち寄る事にする。
するとそこには、ギルドの二階から、冒険者に向かって何かを演説していたのか、シンシアがその美しい顔を険しい表情にしながら話していた。
「それでは準備ができ次第、これより緊急クエストを開始します!参加者は先も言った通り、決して期待を裏切らないだけの報酬を約束しましょう!」
それを聞いた冒険者たちは一斉に沸き立ち、各々の準備を開始し始めたのか、皆引き締めた表情で去っていく。
アイリスの街の町長兼、ギルドマスターたるシンシアは、これから森へと向かう支度をしなければならない。
それは、決して近くはないとはいえ、この街の近辺ともいうべき場所で一つの自分が管理する村が消えていたのだ。それもたった一週間程度の内に。
その責任を強くシンシアは感じている。自分の頼れるべき精鋭部隊も今は、王都のコロシアム【バナジリオ】にいてしまっている。帰ってくるのは、どう早く見積もっても最低一日はかかる。
しかし、それではもう遅いとシンシアは痛感している。
だからこその、この緊急クエストなのだ。
この街は、それなりの実力を持った冒険者が集まる。それは、代々継いできているこの街の経済の中心ともいうべき法のおかげでもある。
冒険者の法とも呼ぶべきその法律で、この街は世界でもトップクラスの武力を誇るほか財力も他の都市や街と比べて突出している。
よって、災害時の対応も、主力となる精鋭部隊がいなくとも容易にする事が出来る。
さらに言うと、腕に覚えのある血気盛んな者も多いので、こぞってこう言うイベントには参加してくれるのだ。
なので士気も自然と高くなる。
(これなら森の異常事態は大丈夫そう・・。取り敢えず、いつ頃に森に到着予定かを聞いておかないと)
フィアは、森を出る前、サイからこのような事を頼まれていた。
確かに何か有事の際に、援軍の到着時間は時間を計算する上での目標となりえるので、聞いておかなければならない。
フィアもそのことは十分に分かっているので、どれだけ急いでいても忘れたりはしなかった。
シンシアの元に少し急ぎ目の駆け足で向かう。
シンシアも駆けつけて来たフィアに気づいた様で、声をかけた。
「フィアさん。この度は調査の件、ありがとうございました。」
「ん、仕事だから。それよりも向こうにまだサイと村の子が一人残ってる。援軍の到着時刻はいつ頃?」
かなり立場を考えない物言いだが、これが彼女の素だ。
まあ、シンシアも冒険者の街の長をしてるだけあってそこらの理解はしているつもりだった。
冒険者には言葉ではなく、もたらしてくる商品と力しか求めていない彼女は、それを問題とはせず簡潔に答えを返す。
「援軍の到着見込みは明後日の夜あたりになります。しかしなぜサイさんと村の子が残っているのでしょう?」
「それは単純に、乗れなかったからと言うのもあるけど、サイがもう少し調査する必要があるっていって残る事にしたから」
「大丈夫なのですか?」
「わからない。でもサイなら大丈夫と思うけど今から急いで戻る」
早く合流してサイが戦技を使えれば、サイはナーガクルー程度には負けないであろう事はもう既に実戦で確認済みだ。
「そうですね。それがいいでしょう、万が一の事もあると思いますのでコレを」
そういってシンシアは綺麗な宝石を渡した。
フィアは受け取り見回して見るが、全然なんの役に立つ宝石か分からなかった。
「それは迅雷石と呼ばれる稀少な宝石です。宝石を胸にしまっておき、後は念じるだけで筋力を一時的に向上してくれます」
「ん、ありがとう。」
「しかし気をつけて下さい。これは長く使えばそれだけ反動も大きくなります、それに使い続けている間も、長くなりすぎるとドンドン体が動かし辛くなっていきます。戦闘時間のペース配分にはお気をつけて。」
「わかった。」
それだけを言うと、シンシアも忙しいのか、またギルドの奥に入っていってしまった。
(もう、用事は全部済んだ。急がなくちゃ)
フィアはそのまま、クリアに跨ると街を直ぐに出て、一気に爆走した。
フィアは今とても焦っていると同時にこんな事も思っていた。
せめてサイに会う前に、髪と目の充血位は治しておきたいと。
フィアはつくづく、もう乗らないことを誓うのだった。
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