Be The Ace! ~転生チートで世界征服!?~ アルファポリス用

荒波

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異世界地球編

5歳~9歳 魔法陣研究その2

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 イツキはマギーチェスキーの弟子になって3年、苦難の日々だった。
  英語を苦手としていたイツキは、師匠の持っていた本をすべて読んだ。
  しかし、資料の中にはイツキが目的とする魔力を集める魔法陣はどこにもなかった。
  それでもあきらめきれないイツキは、覚えている英単語を手当たりしだいに試していった。
  魔法陣を描くために紙とインクを大量に購入してもらった。
  途中でリンゴやぶどう、梨が召喚されるというハプニングもあった。
  果物はいい方で、油やガソリンが出てきたときは火事になる前にろうそくの灯を消し魔法の明かりで研究を続けなければならなかった。
  そんな中で見つけた英単語が≪focus≫。
  その英単語の魔法陣を作って発動させてみると部屋の中が暗くなり魔法陣の上に光の球が浮かんでいた。
  光じゃなく魔力を集めてほしいとイツキは思った。
  次の英単語の魔法陣を用意しているときにイツキはひらめいた。

 (単語を書き足せばいいんじゃないか?)

  次に試したのは≪focus magic power≫。
  だがこれは正常に作動しなかった。
  集めるべきなのは力ではなくエネルギーだったからだ。
  その次に試したのが≪focus magic energy≫。
  これを使うと周りの魔力が減ったことが感じられた。
  その分、魔法陣の上には魔力の固まりができていた。
  この魔力の固まりを魔法で活用できれば必殺技が完成する。
  そう思って試してみたが、魔力の塊はイツキの魔法とうまく混ざらなかった。
  どうにも集めた魔力の固まりに命令をしなければならないようだった。
  その頃、ドゥクスがどうやったのかは知らないが、人間の国から人英辞典を輸入してくれた。
  人英辞典は今は使われていない古代文明の言葉の辞典だったらしい。
  それが来てからというもの、人間が使っている文字は師匠しかわからないため少し手間取ったが研究は非常に捗った。
  その結果、≪focus≫を使わなくてもよいのではないかという話になった。
  魔力の固まりを作ってそれを利用するのではなく、周りの魔力を直接使おうということだ。
  その結果できたのが次の英文だ。

≪All circumjacent magic energy is forced to be consumed by the next magic and ≫

 ピリオドが無いので正確には文ではないが、最後に≪and≫を加えることで魔法陣を循環させて大量の魔力を閉じ込めることを意図している。
  そして、≪force≫で無理やり周囲のエネルギーを使うことを想定している。
  しかし、この英文を使ってもエネルギーをためるだけで、攻撃するための魔法陣が必要だった。
  だが、想像できているのは非殺傷設定と魔力エネルギー砲だということだけ。
  というわけで攻撃するための魔法陣にこの2つを加えた。

≪Active denial setup≫
 ≪Magic energy bombardment≫

 それぞれ非殺傷設定と魔力エネルギー砲だ。
  しかし、これを入れても一番内側の円が埋まるくらいしかない。

 (お困りですか?)

  急に女の声がしてイツキはびっくりした。

 (ストタナです。お久しぶりです。覚えていらっしゃいますか?)
 (覚えてるよ。前は急に会話を切ったな)
 (すいません、長時間の念話は禁止されてるんですよ)
 (どうだか、それで今日は何だ?)
 (どうでもいい情報を持ってきました)
 (帰れ!)
 (ああ、待ってください。魔法陣の文字についての情報ですよ。埋まらなくて困ってないですか?)
 (……とりあえず聞くだけ聞いておこうか)
 (はい。樹さんが再現しようとしている魔法陣には主に2つの言葉が入っています。1つは信仰の対象で風のWIND、魔法のMAGIC、星のSTAR、精神のSPIRIT、以上の4つですね。もう1つは簡単な呪文です。風は空に、星は天に、不屈の心はこの胸に、この手に魔法を、というものですね。英語で言うとTHE WIND IN THE SKY. THE STAR IN THE HEAVEN. THE INDOMITABLE SPIRIT IN MY HEART. THE MAGIC IN MY HANDS.となります。不屈はINDOMITABLEですよ。ここテストに出ますからね。ではまた。)
 (おい、ちょっと。なんて奴だ!)

  とりあえず貰った情報は有益に使っておこう。
  ということで、魔法陣の2周目にWIND MAGIC STAR SPIRITの4単語を上下左右に配置した。
  3週目は呪文の言葉で1周させる。
  ついでに4週目に2周目と同じ4単語を斜め上と斜め下に配置。
  5週目は3週目の呪文を2連続させて完成だ。



  後日、イツキはドゥクスから研究成果を見せるように言われた。
  場所はクレピドの町の空いている港。
  海に向かって撃てば被害はないだろうというドゥクス氏の考えだ。
  港に立つとイツキは深呼吸をした。
  ようやく先端の重さに振り回されなくなった杖を両手で構える。
  そして巨大な魔力エネルギー吸収魔法陣を展開した。
  この魔法陣は最初の英文だけだった物に≪Magic energy absorption≫魔法エネルギー吸収の文字を6つほど追加したものだ。
  そのためエネルギー吸収が予想以上に早い。
  次は攻撃用の魔法陣を海方向に展開する。
  と同時に、もう一つの研究成果、リング状魔法陣を杖の周りに展開する。
  周囲から吸収したエネルギーでイツキの周囲はキラキラ輝いていた。
  イツキは振り上げた杖で魔法陣を叩いた。

 「ブレイカー!」

  ドドドという音とともに極太の光の束が海を割った。
  光の束はそのまま水平線まで海面を裂き続け消えていった。
  その光の流れを見届けると、イツキは膝をつき杖で体を支えた。

 「……すばらしい。イツキちゃんよくやってくれた」

  ドゥクスから称賛の言葉をかけられる。

 「ありがとうございます。これもひとえに閣下のご尽力と師匠の研究のたまものです」
 「謙遜することはない。しがない魔法陣研究をここまでにしたのは君なのだからね。今日は疲れているようだし、今後のことについては明日話そう」

  そう言われてイツキはドゥクスの部下に屋敷へと運ばれていき、いつも寝泊まりしている客間で横になった。
  翌朝、ドゥクスはイツキの師匠マギーチェスキーを連れて客間へやってきた。

 「元気そうで何よりだ。昨日のデモンストレーションで魔法陣研究も1段落ついたと思う。そこで2人には魔法陣の研究書を書いてもらいたい。どうかな?」
 「魔法陣研究者として名が残ることは光栄の極み。喜んで研究書作成を行いましょう」
 「師匠が是というものを弟子が否と言えないでしょう。微力を尽くします」

  その日から研究書作成は始まった。
  まずは前文だ。
  2人で1つの文章を作ることも考えたが、色々難航しそうだったので2つの前文を作ることになった。
  人間が魔法陣を使うことについては師匠が言及するはずだと思い、魔法が得意な人向けの前文を目指した。
  まず、魔法陣が紙の上でしか存在できないとは考えないこと。
  手のひらの上、足元、自分の正面に展開することを想像し為すことを目指すこと。
  魔法陣を大きく複雑にすれば魔法の威力が増大すること。
  同様に、複数の魔法陣を重ねることでも魔法の威力が増大すること。
  慣れるために最初は簡単な魔法陣から試していくこと。
  そこで出てくる魔法の威力がどんなに小さくても学ぶことを諦めないこと。
  慣れてきたらオリジナルの魔法陣を作ってみること。
  その際は安全に配慮すること。
  そして、自分の最高の魔法はこの書には書かないこと。
  それを求めるならば自己研鑽を怠らないこと。
  最後に魔法の基礎を教えてくれた祖父、金のかかる師弟を援助してくれたドゥクス、魔法陣を教えてもらった師匠、不本意ながら死神ストナタへの謝意を述べて私の方の前文は終了だ。

  書き終わったら師匠が書き終わるのを待って前文を見せあった。
  師匠の前文は魔法陣で生活が豊かになるというものだった。
  小さな火を起こす魔法陣は火打石の代わりになることから、その上で火種を作れば煮炊きが便利になること。
  不本意ながら紙に描くことになったが、ガラス玉に光を発生させる魔法陣を描き電球の様にしたことを例に挙げ破壊のみが魔法陣の意義ではないとしていた。
  また内容にも触れており、最初の方は簡単な魔法陣、最後の方は難しい魔法陣となるように考えられていた。
  最後の謝意では、心ならずも捕虜となり心配をかけたと師匠の師匠の名前が最初に来ていた。
  次にドゥクス、最後に私だ。

 「師匠、私の作った電球を自分のことのように書くのは止めてください。これだけですよ」

  イツキは自分の研究成果について、師匠に書かれることが少しうれしかった。

 「うむ。しかし、あれを書かないとしたか。一番執着していたと思うんだがのう」

  確かに執着していたことは認めざるを得ない。
  ただし、記録するかどうかは別の問題だ。

 「だからですよ。簡単に真似されては困ります」
 「そうかそうか。しかし、伝える者がいないというのは辛いことじゃぞ。わしもお前が来るまでは漠然とした絶望を感じておったものじゃ」
 「では、私が師匠として弟子にでも伝えましょう。さすがに不特定多数に知られるのは怖いですからね」
 「それがよかろう。ではこれを整理するかのう」

  研究室であった師匠の部屋には無数の魔法陣が散乱していた。

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