Be The Ace! ~転生チートで世界征服!?~ アルファポリス用

荒波

文字の大きさ
35 / 76
異世界地球編

10歳 パース滞在

しおりを挟む
 ポートヘッドランドへ到達した一行は11日間の航海を経てパースへ到着する。
 それまでの日々はいつもどおりだ。
 朝起きて朝食、コーヒータイム、ラジオ体操、ストレッチ、ランニング、昼食、ランニング、ストレッチ、夕食、就寝とパターンになっている。
 魔王国本土沿岸を移動するので、毎日新聞が届けられる。
 新聞を読むために、コーヒータイムが伸びた。
 しかし、わかったこともある。
 魔王国というのはオーストラリア大陸を支配している国家で、ニュージーランドや東南アジア、オセアニアや日本、サハリン、千島列島は同盟国もしくは属国という扱いになっているということだ。
 アウィスの家は魔王国の属国である日本のソルフィリア領の統治を魔王に認められているということになる。
 漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)と同じような意味だ。
 また、新聞を読んでいてきな臭さを感じるのはインドシナ半島からマレー半島へ避難する難民がいるということだ。
 つまり、人間の支配がもうそこまで来ているということに他ならないと記事では書いていた。
 マレー半島には獣人の国家があるらしく、そこと魔王国は同盟関係にあるらしいので、救援要請があれば出兵せざるを得ないとも書いていた。
 まあ、マレー半島は入り口が細いので、陸上戦で防壁を固められたら容易には突破できないだろう。
 また船についても、製造スピードがどれくらいかはわからないが、海賊を倒したことから少数しか所有してないと希望的観測をする。
 つまり、当分の間はマレー半島の獣人の国は安泰ということだ。
 ただ、経済欄にインドシナ半島で採れる黒砂糖、米、コーヒーは値上がりすると書かれていた。

「コーヒーを値上がりさせるとは、人間め!許さん!一人残らず殲滅してやる!」

 とイツキが言ったとか言わないとか……。
 それから面白い記事もあった。
 上司になってほしい人ランキングでヴェパル提督が3位に入っていた。
 ちなみに1位は魔王様、2位が筆頭将軍のロンガ様、他の人は知らないが、演劇集団の団長さんやサッカーチームの監督さんが選ばれているらしい。

(サッカーってあるんだ。魔王様発信なのかな?)

 そんなことをイツキは思った。
 そんな東南アジア情勢や面白い記事を見て過ごしていたら、パースに着く寸前となっていた。
 パースの港に到着する前日に、ブリーフィングが行われた。

「パースから魔王城までは鉄道で移動することになります。鉄道の乗り場へは埠頭から規制線が引かれますので徒歩で移動することになります。飛行魔法は使わないようにお願いします。騎獣については機関車の後ろ2両を確保しましたので、そこでローテーションして休憩をとってください。一部の人は私と同じ1等車に乗ることになります。海賊船での先行を基準に選んでいますので、乗れなかったと不満を言うことがないようにお願いします。以上です」

 そんなヴェパル提督の言葉があった。

「1等車か、どんな所なんだろう?」

 部屋に戻るとアウィスがそんなことを言っていた。

「兵を乗せて運ぶんだ。こことそれほど変わりはないだろう」

 アモルが答える。

「全く夢のない話ね。もうちょっと夢はないの?」
「過大な夢は身を滅ぼすだけだ」

 そんな事を話していると、提督がやってきた。

「内密にお話が合ってきました」
「提督が直接足を運ばれるなんて、どのようなご用件でしょうか?」

 こういうときの対応は母ウルラに任せてある。

「イツキさんとアウィスさん、ウェントゥスさんとアモルさんは下船の時、私と艦長の後ろについてきてほしいの」
「それは……提督の指示であれば従いますが、一体どうしてでしょうか?」
「勲章の序列の問題です。一番上が私で二番目に艦長とイツキさん達4人。その後に二十数名で一等車に乗りこみます。預けてある荷物はありますか?今のうちに取ってこさせますが」
「わたしは手に持つだけです」
「私も」
「私もです」
「私もだ」
「よかったです。では下船の際は手荷物を持って甲板に集合でお願いします」

 そう言って提督は帰って行った。

「私は一人だけ3等なのね……」

 ウルラの機嫌はなかなか良くならなかった。
 翌朝、パースに着くと入港の鐘が鳴らされた。

「ではおかあさん。また魔王城で会いましょう」
「ええ、その時は苦労話をたっぷりしてあげるわ」

 そう言ってイツキはウルラと別れた。
 甲板には提督と艦長と思われる方、他二十人位と作業している兵士さんがいた。

「提督、おはようございます」
「おはようございます『杖持ち』さん。では、艦長の後ろにお願いしますね」

 と言われたので、艦長と思われる男の人の後ろに着く。
 順番は年齢順でアモル、アウィス、ウェス、イツキだ。

「タラップ固定しました」
「下船開始します」

 先導の兵士さんが一人タラップを降りると、提督から降りていく。
 提督はいつもの水槽には入っておらず、飛行魔法を使っていた。
 ただし、超低空でこすれないか心配になるぐらいだった。
 提督に続いてみんな降りていく。
 埠頭には多くの人か詰め掛けていた。
 船に家族が乗っている人もいるだろう。
 魔王国の旗を振っている人もいた。
 記者の人もいるのか時々フラッシュがたかれる。
 下りて200メートルも歩くと駅があった。
 レンガ造りの東京駅を思わせるような建物だった。
 中に入ると正面に改札口があった。
 もちろん自動改札ではない。
 そこをフリーパスで通ると、左のほうに進んでいく。
 いちばん奥が1等車らしい。
 中に入ると、片側通路式の寝台車でスライドドアが付いている。
 部屋の入り口には名前が張られており、1部屋に4人寝ることがわかった。
 提督は一番後ろの展望室で、船長と2人で過ごすらしい。
 ちなみに提督と船長が付き合っているということはなく、ビジネスライクな関係らしい。
 イツキ達は展望室の隣になった。
 4人一緒だ。
 中に入ると船のなかよりも明らかに豪華な木製の2段ベッド。
 天井も高く翼をもつ人にも十分に配慮された設計になっている。
 各自自分のベッドを決めると、下のベッドに座った。
 入って右下がアウィス、右上がイツキ、左下にアモル、左上にウェスとなった。
 部屋を見回して、アウィスは誇らしげに言う。

「ほらね。豪華になったでしょ」
「誤差の範囲内だ」
「確かに3段ベッドから2段ベッドに進化したけど、あんまり変わりないんじゃない?」

 アモルとイツキに否定されアウィスは意固地になった。

「この木の質感とか、歴史を感じない?」
「パンフレットに1年前に作られたって書いてあるけど……」

 ウェスがとどめを刺しにくる。

「新しいってことはいいことじゃない!」

 とよかった探しをしているアウィスを後目に外を見ると、人がぞろぞろ車両に乗っていた。
 その中にウルラもいた。
 イツキは窓を上にスライドさせて開けると叫んだ。

「おかあさん!」

 手を振るとウルラも手を振り返した。
 どこに乗るかはわからないが、この列車に乗ることは間違いないことにイツキは安堵した。

「恋しいのか?」
「違います。心配してただけです」

 そう言うと窓を閉めた。

「ところで、この鉄道ってどんな仕組みで動かしてるんですか?」
「パンフレットによると、4人の魔力を合わせて動かすみたいですよ」

 ウェスがパンフレットを見ながら教えてくれる。

「魔力を合わせてこんなに大きいものを動かすって想像できる?」
「できませんね」

 ウェスは即答した。

「まぁ、先頭に行けば分かるかもしれないけど、騎獣がいるんでしょ?見に行けないならこの便利さを享受してもいいと思うけど?」
「まあ、確かにそうですね。パンフレット後で貸してもらえます?」
「わかりました。あと、読む物なら利用規約なんかが入ってたんですけどどうします?」
「読みましょう。気をつけなきゃいけないこととかあるかもしれませんし」

 そうして鉄道の旅は始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...