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第101話 親子3人水入らず。でもちょっと会話は濃いめ

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「パパ、3人で出かけるのとかもう10年ぶりくらいだからまたレンタカーでも借りて少しドライブしない?」
「ああ、俺は構わないけど、晃子は予定とか無いのか?」

「うん。今日は一日予定入れて無いから大丈夫よ。飛鳥の希望なら叶えて上げたいしね」
「ママ。ありがとー」

「じゃぁ、ちょっとレンタカー頼むな」

 そう言って、前にアヴェンダドールを借りたレンタカーショップに電話して、3人乗ってもゆったりできる車を頼んだ。

 ラジオ局の前のカフェでくつろぎながら待っていると、レンタカーショップから到着の電話が入り、会計を済ませて表へ出ると、メルセデスのGクラスの中々ゴツイ車が到着していた。

 右ハンドルのディーラー仕様だし、ちょっと乗って見たいと思ってた車だったから、丁度良かったな。

 ただ、飛鳥も晃子もスカートだから、乗り降りの時に少しスカートが捲れる感じがするから、デート向きでは無いかな? って思ったぜ。

 真っ黒のボディは迫力満点で、この車に後ろに着けられたら、普通に道開けたくなるよな? って思った。

「さぁ飛鳥何処に行きたい?」
「そうだね、ベタだけどさTDLとかどうかな?」

「ああ。飛鳥がまだ幼稚園の頃に一度新幹線で行ったよな。覚えてるか?」
「勿論覚えてるよ。ママと二人で暮らし始めてからは、東京に住んだのもあったから、結構年2回くらいは来てたんだけどね」

「そうなのか。あそこはゴミが全然落ちて無いから気持ちいよな」
「そうだね」

 車がスタートすると、晃子が質問して来た。
「ねぇ、俊樹さっきのラジオでの質問の事だけど、結構マジでそう思ってるんだよね。って言うか最近話に出てるシエルって飛鳥でしょ? そうなるとリュミエルは香織ちゃんなのかな?」
「いきなりだな。まぁその通りだ。あれは全て実話なんだよ」

「凄いね。何でそんな事になったの?」
「まぁ偶然なんだが。俺の小説よりアスカの動画投稿サイトの方がもっと凄いから、時間のある時に見てみたら良いよ」

「あら? 飛鳥そんな事してたの?」
「うん。向こうでLv上がると鳩の身体でも、カメラ持って飛んでも全然平気なくらい、身体能力上がっちゃうからね」

「へぇ、凄いわね。でも私は怖くて行けないわ。俊樹の小説の描写だと、普通に人を殺すような世界なんでしょ?」
「ああ。そうだな、俺も飛鳥や香織が人を殺さなくて済むように、そう言う役目は全部俺がする様にしてるけど、どんな悪人であっても平気で人を殺せるようになってきた自分を怖いと思う事があるな」

「それで、向こうで身に付けた能力ってこっちの世界でも使えたりするの?」
「ああ、使えるな。きっとこの世界の危機でも訪れたら紅いマントでもつけて、仮面被って、『怪傑テネブル』とでも名乗って平和の為に活躍するさ」

「パパ、それ楽しそうだね。岩崎さんとかに頼んでさ。車を一台G.Oだっけあんなん風に空を飛べるように改造して貰ったら良いんじゃない?」
「面白いかもな。その時はアスカも手伝ってくれよ?」

「勿論! 超楽しそうじゃん」
「あんたたちさ…… 地球の危機が訪れるのを楽しみにしてない?」

「勿論平和が一番だけど、もし、危機が訪れても何とか出来るぜ! って言う話だ。今度晃子の小説にでも謎の超人登場させてみたらどうだ? 晃子の読者なら大勢いるからちょっとくらい話題にならないか?」
「あら? 私の小説にそれ系で登場するなら、普段の世を忍ぶ仮の姿は、AV男優で物凄いテクニシャンで絶倫とかの設定じゃ無いと、読者が納得してくれないわよ? それで名前はテネブルで出しても構わないの?」

「げ、それはやっぱりやめとく」
「シエルはAV男優の娘で、お母さんはAV女優さんの設定とか?」

「そ、そうね。私も流石に自分をAV女優設定で書くのは、まだちょっとだけハードル高いわね。経験が無いし。その設定の為に一回くらい出てみようかな? 熟女物とかで……」
「ママ……流石にそれは、勘弁してね」

「やだ、冗談に決まってるじゃない。色々誤解があるかも知れないけど、私は男の人に抱かれたのは未だにあなたのパパだけだからね?」
「え? そうなのか? 経験した事を書いてるって言うんじゃないのか?」

「やだ、あくまでもシチュエーションだよ。プレーの内容なんて経験する必要なんて無いじゃん。ちゃんと貴方とのSEXでイケてたから態々他で体験する必要も無いよ」
「ママ……いくら何でも娘の前でイケてたとかいう発言は、勘弁してよ。顔が火照っちゃうよ」

「あら、ゴメンなさいね。まぁ私はそうね。雑誌記者さんみたいなもんかな? そんなシチュエーションを体験した人と、とことん話して一緒に飲んで、本音の意見を聞いて書き貯めて、作品にしてる感じかな?」
「そうだったんだな。結構、最近は色々想像して少しモヤモヤしてたから、疑問が解けて良かったぜ」

「ほら、また『ぜ』って言ってる」
「ああ、これも俺は俺らしく生きてくって決めたから、直さない」

「そうなんだ。まぁそれもありね」

 久しぶりの親子3人のTDLはそれなりに楽しめた。
 
「一度さ、晃子も小倉に来いよ。うちの親父の墓参りにでも」
「そうだね。今は丁度スケジュール空いてるから、来週にでも行くわよ。そう言えば香織ちゃんとはどうなの? ちゃんとゴールまで辿り着けるの?」

「そうだな、真面目に考えてはいるんだけど、ほら向こうの世界とかに行くと、俺は結構危険な事に首突っ込んだりするから、今の世界の目標を達成したら、ちゃんと考えたいと思ってる」
「そう。頑張らないとね」

「そう言う晃子はどうなんだ?」
「私も、申し込まれてはいるわ。あなたも知ってる人よ?」

「えっ? 誰だよ?」
「ほら、編集の杉下さん。あの人もバツイチで奥さんは若くして病気で亡くされてるんだよね」

「ああ、そうなんだぁ俺達よりだいぶ若いだろ?」
「5歳下かな? でもそれも全然気にしないって言ってくれてるし、子供さんも飛鳥の2つ下の女の子だけだから、今は高校受験で、気難しくって大変だって言ってるわね」

「へぇそうなのか。昨日編集室でずっと一緒に居たけど、そんな事全然おくびにも出さないとか、ある意味凄いな」
「仕事とプライベートは切り離して考えてるんでしょ? まぁ私もそんなに焦ってる訳じゃ無いから。それこそ来週はあなたの書籍の発売日とかで凄くざわつかない? 恐らく杉下さんの予想では一巻目が20万部くらいまで伸びると思ってるそうよ」

「まじか! 結構凄いな」
「恐らくこのままコミカライズされてアニメ化までいくから、この作品だけで億単位の収入になっても不思議はないわね」

「仕事辞めて良かったぜ」
「でも、なんだか他にも色々やってるんでしょ? 飛鳥から聞いたわよ? パパ貧乏って思ってたのが実は、ママよりすごいお金持ちで超びっくりだったって」

「ああ、それもテネブルの世界のお陰だからな。こう言っちゃうとあれだけど、親父が亡くなったタイミングが、いろんな意味で俺にとっては最高のタイミングだったって事だな」
「そうなんだ。あ、向こうの世界での姿って…… あれは自分の希望なの?」

「いや、運だけだ。しかも単細胞生物とか引くと、渡った瞬間にはじけ飛ぶとか言ってた」
「コワッ。なによそのヘルモードな設定」

「俺達は血縁の関係で、肺呼吸の出来る脊椎動物以上の条件を満たしてたみたいだけど、普通だと渡った瞬間に生きていける事自体が0.1%の確率になるらしい」
「私は、あなたと血のつながりは無いから、ほぼ無理って事だね1/1000を引ける自信は到底ないわ」

「晃子にはもしこの世界に危機が訪れた時の、謎のヒーローの代理人でもして貰おうかな」
「考えとくね」
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