14 / 22
第14話
しおりを挟む
「セレブリティのマネージャーから、『一度訪ねて来るように』と、伝言を伝えられてます」
「そう、良かったわ。これで上位貴族家の人間と繋がりを持つ手段が出来たわ。ありがとうサンドラ」
「うまくいけばいいですわね? ミザリー様」
こうしてミザリーはセレブリティの門をたたいた。
「マネージャーはいらっしゃるかしら」
「はい私ですが?」
「サンドラから紹介して頂いたコールマン男爵家のミザリーと申します」
「あー貴女がそうですか。うちのクラブは最高級を求めていますので、貴女だと相当に性格の良さを前面に押し出せないと厳しいと思いますが、それでもやって見たいと思われますか?」
「ちょっと? それはどういう事でしょうか?」
「あなたの容姿では、ここでははっきり言って大したことないって言う事ですね」
「えっ…… 貴方は貴族家の私に対してそんな事を言える程に偉いのですか?」
「全く、勘違いも甚だしいですね? ここで働く以上はお客様と従業員の区別は在っても、従業員の中に貴族や平民、亜人などと言った差別要素は一切存在しません。それが気になるようでしたら、どうぞお帰り下さい。それと……」
「それとなんですの?」
「私の父は一応辺境伯家の当主です。ここでは誰にも話した事は在りませんけどね。必要のない事ですから」
「……すいませんでした。あの採用はして頂けるんでしょうか?」
「一日…… 今日一日頑張ってみてください。お客様の評判を伺ってから判断させて頂きましょう。ただし失礼な行為とかを見かければ、途中でもお帰り頂く事になります。まぁその場合でも今日の研修費用はお支払いいたしますからご安心ください」
「解りました。頑張ります……」
パウダールームに案内され、化粧を施され、髪形をセットして貰える。
鏡の中に映し出された自分の姿を見て、思わず見とれてしまった。
「これが私……」
凄い。
まるで魔法のようだわ。
しかし、その直後にミザリーは衝撃を受ける事になる。
30名ほどのホステスが、同じようにパウダールームでメークを施され、ホールに集められミーティングが始まる。
研修生の、紹介として他のホステス達の前に立ち挨拶をすると。
他の人達が眩しすぎて、一瞬言葉に詰まってしまった。
自分の見た目には自信があったし、その私が今日のメークを施された事で、間違いなく自分史上最高に綺麗だと思っていた。
でも私の前に立ち並ぶ他のホステス達は更に美しく光り輝いてる……
ホステス達の列の後ろに並ぶ兎人属のバニースーツを着用した女性達でさえ、抜群のスタイルで、メリハリのあるボディと長い手足、綺麗な白い耳が美しいと思わせた。
カジノのディーラーである、猫人属の女性もハッと目を引くほどに美しく可憐だ。
なんなの…… ここは……
私の再婚相手を見つけるまでの間の我慢よ。
「そう、良かったわ。これで上位貴族家の人間と繋がりを持つ手段が出来たわ。ありがとうサンドラ」
「うまくいけばいいですわね? ミザリー様」
こうしてミザリーはセレブリティの門をたたいた。
「マネージャーはいらっしゃるかしら」
「はい私ですが?」
「サンドラから紹介して頂いたコールマン男爵家のミザリーと申します」
「あー貴女がそうですか。うちのクラブは最高級を求めていますので、貴女だと相当に性格の良さを前面に押し出せないと厳しいと思いますが、それでもやって見たいと思われますか?」
「ちょっと? それはどういう事でしょうか?」
「あなたの容姿では、ここでははっきり言って大したことないって言う事ですね」
「えっ…… 貴方は貴族家の私に対してそんな事を言える程に偉いのですか?」
「全く、勘違いも甚だしいですね? ここで働く以上はお客様と従業員の区別は在っても、従業員の中に貴族や平民、亜人などと言った差別要素は一切存在しません。それが気になるようでしたら、どうぞお帰り下さい。それと……」
「それとなんですの?」
「私の父は一応辺境伯家の当主です。ここでは誰にも話した事は在りませんけどね。必要のない事ですから」
「……すいませんでした。あの採用はして頂けるんでしょうか?」
「一日…… 今日一日頑張ってみてください。お客様の評判を伺ってから判断させて頂きましょう。ただし失礼な行為とかを見かければ、途中でもお帰り頂く事になります。まぁその場合でも今日の研修費用はお支払いいたしますからご安心ください」
「解りました。頑張ります……」
パウダールームに案内され、化粧を施され、髪形をセットして貰える。
鏡の中に映し出された自分の姿を見て、思わず見とれてしまった。
「これが私……」
凄い。
まるで魔法のようだわ。
しかし、その直後にミザリーは衝撃を受ける事になる。
30名ほどのホステスが、同じようにパウダールームでメークを施され、ホールに集められミーティングが始まる。
研修生の、紹介として他のホステス達の前に立ち挨拶をすると。
他の人達が眩しすぎて、一瞬言葉に詰まってしまった。
自分の見た目には自信があったし、その私が今日のメークを施された事で、間違いなく自分史上最高に綺麗だと思っていた。
でも私の前に立ち並ぶ他のホステス達は更に美しく光り輝いてる……
ホステス達の列の後ろに並ぶ兎人属のバニースーツを着用した女性達でさえ、抜群のスタイルで、メリハリのあるボディと長い手足、綺麗な白い耳が美しいと思わせた。
カジノのディーラーである、猫人属の女性もハッと目を引くほどに美しく可憐だ。
なんなの…… ここは……
私の再婚相手を見つけるまでの間の我慢よ。
10
あなたにおすすめの小説
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
才能が開花した瞬間、婚約を破棄されました。ついでに実家も追放されました。
キョウキョウ
恋愛
ヴァーレンティア子爵家の令嬢エリアナは、一般人の半分以下という致命的な魔力不足に悩んでいた。伯爵家の跡取りである婚約者ヴィクターからは日々厳しく責められ、自分の価値を見出せずにいた。
そんな彼女が、厳しい指導を乗り越えて伝説の「古代魔法」の習得に成功した。100年以上前から使い手が現れていない、全ての魔法の根源とされる究極の力。喜び勇んで婚約者に報告しようとしたその瞬間――
「君との婚約を破棄することが決まった」
皮肉にも、人生最高の瞬間が人生最悪の瞬間と重なってしまう。さらに実家からは除籍処分を言い渡され、身一つで屋敷から追い出される。すべてを失ったエリアナ。
だけど、彼女には頼れる師匠がいた。世界最高峰の魔法使いソリウスと共に旅立つことにしたエリアナは、古代魔法の力で次々と困難を解決し、やがて大きな名声を獲得していく。
一方、エリアナを捨てた元婚約者ヴィクターと実家は、不運が重なる厳しい現実に直面する。エリアナの大活躍を知った時には、すべてが手遅れだった。
真の実力と愛を手に入れたエリアナは、もう振り返る理由はない。
これは、自分の価値を理解してくれない者たちを結果的に見返し、厳しい時期に寄り添ってくれた人と幸せを掴む物語。
お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます
咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。
そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。
しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。
アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。
一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。
これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。
絞首刑まっしぐらの『醜い悪役令嬢』が『美しい聖女』と呼ばれるようになるまでの24時間
夕景あき
ファンタジー
ガリガリに痩せて肌も髪もボロボロの『醜い悪役令嬢』と呼ばれたオリビアは、ある日婚約者であるトムス王子と義妹のアイラの会話を聞いてしまう。義妹はオリビアが放火犯だとトムス王子に訴え、トムス王子はそれを信じオリビアを明日の卒業パーティーで断罪して婚約破棄するという。
卒業パーティーまで、残り時間は24時間!!
果たしてオリビアは放火犯の冤罪で断罪され絞首刑となる運命から、逃れることが出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる