9 / 94
9.聖女として登録
しおりを挟む
国王陛下が言いたいことだけを言って、ものの数分で去っていった扉を唖然と見つめていると、国王陛下と入れ代わりに宰相と黒いマントを着けた背の高い男性が入って来た。
「聖女様、こちらは魔法省の最高長官クリフォード・ライル長官です。本日は聖女様の魔力を確認してもらうために来てもらいました」
クリフォード・ライル長官。なんてお呼びしたらいいのかな?
「初めまして───」
「早速ですけど聖女様、少し手を貸して頂けますか」
とても背が高く私の目線はライルさんの胸辺り、髪も目も黒いため親近感が湧くが、表情は凍りついてる。
人見知りだといいな。ここに来て初めて話すはずなのにいきなり怒ってて嫌われてばかりだし。
なんかもう今朝のメイド1号さんから始まって、小声悪口二人組に国王陛下、ここまできたら誰にも好かれ無いのではと怖い予感がする。
挨拶したかったけど遮られちゃったし、もれなくこの人もなのかな?当たりかな?当たりだね。私と目も合わせないし、私の手を汚物のように掴んでるし。あんまりだわ。
私なんか存在しないかのように、宰相とライルさんが話している。
「どうですか、ライル長官」
ライルさんは宰相には穏やかな顔で話しているので、嫌われ確定だな。
「……はい、魔力は有りますね、それもかなり多い。石板が割れたことも頷けます、大聖女様で間違いないかと」
「そうですか、それならば登録してもよろしいですね」
そう言うと、ライルさんの隣にいたライルさんと同じ黒いマントを着けた人がテーブルに一枚の紙を置いた。真っ白でA3くらいの大きさで、上の方に読めない文字が書いてあり、その下は全部余白。
「さあ大聖女様、この文字の下の部分に両手を当ててください。ぴったりと押し当ててください」
どうやら手形を取るようね。色紙じゃなくて良かった。私が色紙に手形だとまさにお相撲さんのサイン色紙になっちゃう。想像してて悲しい。
両手を揃えてその紙に押し当てる。
すると書いてある文字がフワッと光り、読めなかった文字が読めるようになった。
「この者、女神クリスティーナの叡智により召喚された聖女である。ユストル王国における聖女として、治癒、浄化、保護、回復の力を国のために役立てることを誓う」
凄いこと書いてあったね。さっきライルさんが魔力があるって言ってたってことは、私使えるのか?魔法。
「もういいですよ」
冷たく低い声をかけられ、慌てて手を紙から離す。すると手を離した瞬間、先程の文字よりもさらにパーッと手形が輝いた。見ると、私の両手の指紋や手相まではっきりとわかるくらい、綺麗に手形が取れている。凄い。
ライルさんが用紙を手にし、私の手形をじっくり確認すると、
「良いでしょう、これで終了です」
そう言うと、宰相とにこやかに部屋から出ていってしまった。
清々しいほどに私の存在は無いものとするのね。あなたたちに呼ばれたから来たのにね?
まあいいや、もうお腹空いたし喉は乾いたし、もう部屋に帰りたい。
そうそう帰る前に、厳つい顔の騎士さんに謝らないと。
「あの騎士さん、騎士さんの制止を間違えて許可だと思い、王様のクッキーを完食してしまい申し訳ありませんでした」
と頭を下げた。
「大聖女様、頭を上げてください。私が正しく伝えていれば良かったのです、申し訳ありません。こちらの世界のルールやマナーはこれから学んで頂ければ良いのです」
厳つい顔の騎士さんは何の感情も表さない表情で、私を蔑むでもなく、呆れるでもなく見つめている。
「わかりました、ありがとうございます。私はもう自分の部屋に帰りたいのですが、許されるのでしょうか?」
騎士さんはわずかに微笑むと、
「聖女様のお部屋まで私がお送りさせて頂きます」と言ってくれた。
私にあてがわれた部屋にたどり着くと、すでに部屋は暗くなりつつあった。
もう夕方なんだ。朝寝坊したから朝も昼も食べ損ねて夜ご飯は食べれるのかなー。お腹空いたなぁ、お母さんのご飯が食べたい。
夜になるのはこの世界でも同じ。
私の今いる部屋も絶賛真っ暗…。
どこで電気付けるの!?どうやったら明るくなるの!?部屋が暗くて怖い!
こっそりドアを開けて部屋の外を覗いたけど、誰もいないし暗い!
この広いお城のような建物のなかを、歩いて人を探しに行く気にもなれないほど暗い。懐中電灯が無いと歩けないよー!
とにかく怖いから鍵をかけた。
「どうしたらいいの?私もしかして見捨てられてるの?みんな私のこと無視してたもんね… あっ、あのいかつい顔の騎士さん以外は。けど辛い…」
どうしよう、食べ物が無いのも辛いけど、水分を摂らないと脱水症で倒れちゃうよ。干からびちゃう!
来たくて来た訳じゃないのに、食べることも出来なくて、水すら飲めない。このまま見捨てられて死んじゃうなんて…酷いよ、酷すぎる……
「はぁ、美味しいお水が飲みたい…」
呟いた瞬間右手に違和感を感じた。
何かを持っている。
暗いけど窓からの月明かりで目を凝らして見るが、確認しなくてもわかる。
私はコップを持っている。
「…っ!…なんで?怖い!怖い!」
放り投げそうになるのをなんとか耐えきる。暗くてよくわからないけど、たぶんお水?が入ってる?
今の私に恐らく一番必要なもの。
飲めるなら飲みたい!
窓に近寄りコップの中を覗き込んだ。
「聖女様、こちらは魔法省の最高長官クリフォード・ライル長官です。本日は聖女様の魔力を確認してもらうために来てもらいました」
クリフォード・ライル長官。なんてお呼びしたらいいのかな?
「初めまして───」
「早速ですけど聖女様、少し手を貸して頂けますか」
とても背が高く私の目線はライルさんの胸辺り、髪も目も黒いため親近感が湧くが、表情は凍りついてる。
人見知りだといいな。ここに来て初めて話すはずなのにいきなり怒ってて嫌われてばかりだし。
なんかもう今朝のメイド1号さんから始まって、小声悪口二人組に国王陛下、ここまできたら誰にも好かれ無いのではと怖い予感がする。
挨拶したかったけど遮られちゃったし、もれなくこの人もなのかな?当たりかな?当たりだね。私と目も合わせないし、私の手を汚物のように掴んでるし。あんまりだわ。
私なんか存在しないかのように、宰相とライルさんが話している。
「どうですか、ライル長官」
ライルさんは宰相には穏やかな顔で話しているので、嫌われ確定だな。
「……はい、魔力は有りますね、それもかなり多い。石板が割れたことも頷けます、大聖女様で間違いないかと」
「そうですか、それならば登録してもよろしいですね」
そう言うと、ライルさんの隣にいたライルさんと同じ黒いマントを着けた人がテーブルに一枚の紙を置いた。真っ白でA3くらいの大きさで、上の方に読めない文字が書いてあり、その下は全部余白。
「さあ大聖女様、この文字の下の部分に両手を当ててください。ぴったりと押し当ててください」
どうやら手形を取るようね。色紙じゃなくて良かった。私が色紙に手形だとまさにお相撲さんのサイン色紙になっちゃう。想像してて悲しい。
両手を揃えてその紙に押し当てる。
すると書いてある文字がフワッと光り、読めなかった文字が読めるようになった。
「この者、女神クリスティーナの叡智により召喚された聖女である。ユストル王国における聖女として、治癒、浄化、保護、回復の力を国のために役立てることを誓う」
凄いこと書いてあったね。さっきライルさんが魔力があるって言ってたってことは、私使えるのか?魔法。
「もういいですよ」
冷たく低い声をかけられ、慌てて手を紙から離す。すると手を離した瞬間、先程の文字よりもさらにパーッと手形が輝いた。見ると、私の両手の指紋や手相まではっきりとわかるくらい、綺麗に手形が取れている。凄い。
ライルさんが用紙を手にし、私の手形をじっくり確認すると、
「良いでしょう、これで終了です」
そう言うと、宰相とにこやかに部屋から出ていってしまった。
清々しいほどに私の存在は無いものとするのね。あなたたちに呼ばれたから来たのにね?
まあいいや、もうお腹空いたし喉は乾いたし、もう部屋に帰りたい。
そうそう帰る前に、厳つい顔の騎士さんに謝らないと。
「あの騎士さん、騎士さんの制止を間違えて許可だと思い、王様のクッキーを完食してしまい申し訳ありませんでした」
と頭を下げた。
「大聖女様、頭を上げてください。私が正しく伝えていれば良かったのです、申し訳ありません。こちらの世界のルールやマナーはこれから学んで頂ければ良いのです」
厳つい顔の騎士さんは何の感情も表さない表情で、私を蔑むでもなく、呆れるでもなく見つめている。
「わかりました、ありがとうございます。私はもう自分の部屋に帰りたいのですが、許されるのでしょうか?」
騎士さんはわずかに微笑むと、
「聖女様のお部屋まで私がお送りさせて頂きます」と言ってくれた。
私にあてがわれた部屋にたどり着くと、すでに部屋は暗くなりつつあった。
もう夕方なんだ。朝寝坊したから朝も昼も食べ損ねて夜ご飯は食べれるのかなー。お腹空いたなぁ、お母さんのご飯が食べたい。
夜になるのはこの世界でも同じ。
私の今いる部屋も絶賛真っ暗…。
どこで電気付けるの!?どうやったら明るくなるの!?部屋が暗くて怖い!
こっそりドアを開けて部屋の外を覗いたけど、誰もいないし暗い!
この広いお城のような建物のなかを、歩いて人を探しに行く気にもなれないほど暗い。懐中電灯が無いと歩けないよー!
とにかく怖いから鍵をかけた。
「どうしたらいいの?私もしかして見捨てられてるの?みんな私のこと無視してたもんね… あっ、あのいかつい顔の騎士さん以外は。けど辛い…」
どうしよう、食べ物が無いのも辛いけど、水分を摂らないと脱水症で倒れちゃうよ。干からびちゃう!
来たくて来た訳じゃないのに、食べることも出来なくて、水すら飲めない。このまま見捨てられて死んじゃうなんて…酷いよ、酷すぎる……
「はぁ、美味しいお水が飲みたい…」
呟いた瞬間右手に違和感を感じた。
何かを持っている。
暗いけど窓からの月明かりで目を凝らして見るが、確認しなくてもわかる。
私はコップを持っている。
「…っ!…なんで?怖い!怖い!」
放り投げそうになるのをなんとか耐えきる。暗くてよくわからないけど、たぶんお水?が入ってる?
今の私に恐らく一番必要なもの。
飲めるなら飲みたい!
窓に近寄りコップの中を覗き込んだ。
398
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~
夏芽空
恋愛
子爵令嬢のエレナは、常に優秀な妹と比較され家族からひどい扱いを受けてきた。
しかし彼女は7歳の双子の娘を持つ公爵――ジオルトと契約結婚したことで、最低な家族の元を離れることができた。
しかも、条件は最高。公の場で妻を演じる以外は自由に過ごしていい上に、さらには給料までも出してくてれるという。
夢のような生活を手に入れた――と、思ったのもつかの間。
いきなり事件が発生してしまう。
結婚したその翌日に、双子の姉が令嬢教育の教育係をやめさせてしまった。
しかもジオルトは仕事で出かけていて、帰ってくるのはなんと一週間後だ。
(こうなったら、私がなんとかするしかないわ!)
腹をくくったエレナは、おもいきった行動を起こす。
それがきっかけとなり、ちょっと癖のある美少女双子義娘と、彼女たちよりもさらに癖の強いジオルトとの距離が縮まっていくのだった――。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる