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37.初めての治療
それから私は、今出没している魔物の種類と特性を聞き、何をすれば良いのかハルバードさんと辺境伯領の騎士隊長さんに確認した。
まずは怪我人がここ数日で一気に増加したので、その治療を優先し、そこが落ち着いたら魔物の浄化に向かうということだった。
「こちらに着いたばかりで申し訳ないのですが、私の兵士たちの怪我を診て頂きたい」
ハルバードさんが申し訳なさそうに言うが、私はそのために来たのだ。
私の兵士たち、部下にも優しいハルバードさんの好感度が上がる。
「はい、もちろんです、すぐに案内して下さい」
ハルバードさんの後を付いて歩くと、私の横にノアさんがいるのはわかる。私が無理言ってノアさんにお願いしてるから。
神官さんたちも私の手助けをしてくれるのでわかる。
でも王子様と側近さんはなぜ付いてくるの?それに王子様はなんだか落ち込んだような顔して私を見ている。
……お茶でも飲んで待っていればいいのに。
砦の中庭を通り、その少し奥に2階建ての建物があった。慌ただしく人が出入りしている。中からはうめき声や泣き声が聞こえてくる。
「隊長、俺はもう魔物に喰われて利き腕がない…役に立たないんだ…」
「苦しい…魔物の毒で苦しむのはもう嫌だ、俺もコイツと同じだ、隊長…」
「ダメだお前たち、頼む諦めるな。お前たちの家族に必ずちゃんと連れて帰ると約束したんだ、もうすぐ薬が、……当主様!」
隊長と呼ばれている人がハルバードさんに気が付き礼をする。すぐに後ろにいる私に目線を寄越す。
「当主様、あの、そちらの女性はもしかして…」
「ああそうだマクシム、待ちに待った大聖女様だ、お前の働きに感謝する。ようやくお前を休ませることが出来る、長い間すまなかった」
ハルバードさんにマクシムと呼ばれたその人はその場で崩れるように両膝を床に付き、胸の前で両手を組むと、涙をこぼしながら、
「あぁ大聖女様、お越し頂き感謝致します。どうか…私の仲間をお助け下さい、お願いします…」
この方もお仲間をとても大事にしてるんだ。
見るともう何日もお風呂にも入っていないようで、着ている服も汚れていたが、怪我をしてベッドに横になっている兵士たちはとても清潔な感じがした。
自分の事を後回しにして、この人たちを助けるために頑張っていたのね…
あの時メルトル村で癒やしの力を発現した私は、治療魔法の練習をする間も無く城に行った。
自分が生きていくための魔法はかなり習得したけど、この癒やしの力は発現するまで時間がかかり、なかなか使えなかった。使えるようになりたいと思っていた魔法。
普段の魔法と同じようにイメージして使える、何故か今までで一番上手く使える気がした。
「重症の方から順に治療してみます、案内して下さい」
マクシムさんは、顔をクシャクシャにして、はい!と言うと、まずは廊下の一番奥の部屋に寝ている人のところに向かった。
「コイツは毒が回ってもう意識がありません…」
見ると顔の色はもう白に近く、生命力も微かにしか感じられない。手を触ると冷たかった。私はその触れた手から、どの魔物の毒なのかがわかった。
それと同時に頭の中でこの毒がどのように生命力を削っているのかがはっきりと浮かんできた。
そして、どのように力を使うかもすぐにイメージ出来た。
この魔法の力に私が一番驚いた。
「これは野犬のような魔物の毒ですね。毒を抜いて、毒で麻痺した神経細胞を元に戻します」
私の右手から魔力が最大に流れることはつい最近知った。なのでこの患者さんの胸に右手を当てて、
『毒は消えて元の体に戻るように』
と願った。
すると私の右手から、患者さんの胸に、そして身体全体を覆うように白く光りだした。
その光が消えると、
「うっっ、あぁ、…あれ?こ、こは?」
顔色はまだ白いが、今まで意識も無く寝ていた人がムクッと起き上がった。
ハルバードさんもマクシムさんも周りにいた使用人の方々も皆が、おぉー!と声を上げた。
「ああ!大聖女様、ありがとうございます!ありがとうございます!コイツの奥さんが子供を産んだばかりで、本当に、…うぅ、良かった」
マクシムさんはまた泣き出してしまったが、泣きながら次の重症患者さんのところへ案内してくれた。
次の患者さんは毒は無いが、両足を魔物に食い千切られてこちらも意識は無かった。
「コイツは自分の乗っていた相棒の馬を逃して自分が犠牲になったんです。コイツの馬術は辺境伯領で一番なんです」
それなら足が無いと馬には乗れなくなる。足の包帯を外してもらい、グロテスクな傷に顔が歪みそうになるが、私はまた癒しの力をイメージし、自分の右手を足の傷口に翳し、
『足が元の状態に戻るように』
と願った。
無いものが再生するのか。
私の頭の中に足が再生していく状況がイメージとして流れ込んでくる。
この国の国民は僅かにでもほぼ全員が魔力を持っている。それは本人も気が付かないくらい微量でも、ゼロでは無い。
この魔法はその本人が持っている魔力に働きかけ、その魔力に同期して本人の魔力の記憶を再現させるイメージで力を注ぐ。そしてその魔力の持ち主の形を復元させる。
魔力のことは以前ノアさんが教えてくれた。それを今流れ込んできた情報と癒しの力を治療に使えるようにイメージした。
「あぁぁ、足が足が元に、元に戻っていく…!」
マクシムさんが足が再生される一部始終を見て、たまらず声をあげる。
恐らく完全に足が再生されるまで1分もかかっていない。私の力怖い…でも凄い…!
「……ここまでとは… 前聖女様は傷を回復することはできたが、無いものを再生することは出来なかった。
大聖女様、ありがとうございます。何と言って良いか… 私の部下は家族のようなものです、命を救って頂き感謝致します…!」
ハルバードさんはまた私の前に跪き、今度は私の手の甲に唇を当てた。
そして、潤んだキラキラした瞳で私を上目遣いに見上げる。
はぁ~ナニコレ?サラッと何?なに特典?スゴいご褒美……でもイケメンの破壊力を自覚して欲しい!
心臓がバクバクと動悸がする。ダメだ、私が倒れる。
「いえ、わ、私の力がお役に立てて良かったです、あの、次の患者さんは、ど、どこに?」
こんな感謝のされ方、生まれて初めてで動揺を隠しきれない。
そこに足が再生した患者さんが目を覚ました。
「…あれ当主様、マクシム隊長、俺は…」
「ケイン、ケイン、良かったな!見てみろ、お前の足を!大聖女様が治してくれたのだぞ…!」
マクシムさんがまた泣きながら、目覚めた患者さんに声を掛ける。
「あっ、あー……俺の、俺の足が!足がある…!うっうっ…、ありがとう…ございます」
ケインさんと呼ばれた方は泣きながら起き上がり、私たちの前で歩いて見せてくれた。
「大聖女様、ありがとうございます!命の恩人です!俺は、俺はこの足を、体を生涯大切にします…ありがとうございます…うぅっ…」
私はこの救急棟にいたすべての人の怪我を治した。
ノアさんにちょくちょく疲労は無いかとか目眩は無いかとか体調を確認されたが、特に変化は無かった。
魔力も体力もまったく変化無しと言って良いほど私は元気だった。
ただ、患者さんは怪我や傷が治っても、体力はその人が持つ力を少し底上げする程度しか出来ないようで、まだ安静が必要な人がたくさんいた。
その後は、神官さんたちが神力を注いで体の回復を促してくれたが、力としては私の数%くらいの効果しか無いという。それでも数人で頑張ってくれた。
「ノアさん、体力が戻るような、元気になる食べ物とかって無いんでしょうかね?」
何気なくノアさんに聞いてみた。
そもそもは元気な兵士さんたちが怪我や傷で体力を失った。怪我も傷も治れば後は回復も早いだろう。
「あれ?レイは知らなかった?マーゴット婆さんが採ってる草は薬草で体の回復を促す作用があるんだよ」
え?あの草が…?
だってマーゴットさん適当に摘んでカゴにポイポイ入れて、カゴに入れたまま玄関の前にぶん投げたりしてるから、そんなスゴい効果があるなんて誰も思わないと思う。
しかし、その草が後にものすごく役に立つことになる。
まずは怪我人がここ数日で一気に増加したので、その治療を優先し、そこが落ち着いたら魔物の浄化に向かうということだった。
「こちらに着いたばかりで申し訳ないのですが、私の兵士たちの怪我を診て頂きたい」
ハルバードさんが申し訳なさそうに言うが、私はそのために来たのだ。
私の兵士たち、部下にも優しいハルバードさんの好感度が上がる。
「はい、もちろんです、すぐに案内して下さい」
ハルバードさんの後を付いて歩くと、私の横にノアさんがいるのはわかる。私が無理言ってノアさんにお願いしてるから。
神官さんたちも私の手助けをしてくれるのでわかる。
でも王子様と側近さんはなぜ付いてくるの?それに王子様はなんだか落ち込んだような顔して私を見ている。
……お茶でも飲んで待っていればいいのに。
砦の中庭を通り、その少し奥に2階建ての建物があった。慌ただしく人が出入りしている。中からはうめき声や泣き声が聞こえてくる。
「隊長、俺はもう魔物に喰われて利き腕がない…役に立たないんだ…」
「苦しい…魔物の毒で苦しむのはもう嫌だ、俺もコイツと同じだ、隊長…」
「ダメだお前たち、頼む諦めるな。お前たちの家族に必ずちゃんと連れて帰ると約束したんだ、もうすぐ薬が、……当主様!」
隊長と呼ばれている人がハルバードさんに気が付き礼をする。すぐに後ろにいる私に目線を寄越す。
「当主様、あの、そちらの女性はもしかして…」
「ああそうだマクシム、待ちに待った大聖女様だ、お前の働きに感謝する。ようやくお前を休ませることが出来る、長い間すまなかった」
ハルバードさんにマクシムと呼ばれたその人はその場で崩れるように両膝を床に付き、胸の前で両手を組むと、涙をこぼしながら、
「あぁ大聖女様、お越し頂き感謝致します。どうか…私の仲間をお助け下さい、お願いします…」
この方もお仲間をとても大事にしてるんだ。
見るともう何日もお風呂にも入っていないようで、着ている服も汚れていたが、怪我をしてベッドに横になっている兵士たちはとても清潔な感じがした。
自分の事を後回しにして、この人たちを助けるために頑張っていたのね…
あの時メルトル村で癒やしの力を発現した私は、治療魔法の練習をする間も無く城に行った。
自分が生きていくための魔法はかなり習得したけど、この癒やしの力は発現するまで時間がかかり、なかなか使えなかった。使えるようになりたいと思っていた魔法。
普段の魔法と同じようにイメージして使える、何故か今までで一番上手く使える気がした。
「重症の方から順に治療してみます、案内して下さい」
マクシムさんは、顔をクシャクシャにして、はい!と言うと、まずは廊下の一番奥の部屋に寝ている人のところに向かった。
「コイツは毒が回ってもう意識がありません…」
見ると顔の色はもう白に近く、生命力も微かにしか感じられない。手を触ると冷たかった。私はその触れた手から、どの魔物の毒なのかがわかった。
それと同時に頭の中でこの毒がどのように生命力を削っているのかがはっきりと浮かんできた。
そして、どのように力を使うかもすぐにイメージ出来た。
この魔法の力に私が一番驚いた。
「これは野犬のような魔物の毒ですね。毒を抜いて、毒で麻痺した神経細胞を元に戻します」
私の右手から魔力が最大に流れることはつい最近知った。なのでこの患者さんの胸に右手を当てて、
『毒は消えて元の体に戻るように』
と願った。
すると私の右手から、患者さんの胸に、そして身体全体を覆うように白く光りだした。
その光が消えると、
「うっっ、あぁ、…あれ?こ、こは?」
顔色はまだ白いが、今まで意識も無く寝ていた人がムクッと起き上がった。
ハルバードさんもマクシムさんも周りにいた使用人の方々も皆が、おぉー!と声を上げた。
「ああ!大聖女様、ありがとうございます!ありがとうございます!コイツの奥さんが子供を産んだばかりで、本当に、…うぅ、良かった」
マクシムさんはまた泣き出してしまったが、泣きながら次の重症患者さんのところへ案内してくれた。
次の患者さんは毒は無いが、両足を魔物に食い千切られてこちらも意識は無かった。
「コイツは自分の乗っていた相棒の馬を逃して自分が犠牲になったんです。コイツの馬術は辺境伯領で一番なんです」
それなら足が無いと馬には乗れなくなる。足の包帯を外してもらい、グロテスクな傷に顔が歪みそうになるが、私はまた癒しの力をイメージし、自分の右手を足の傷口に翳し、
『足が元の状態に戻るように』
と願った。
無いものが再生するのか。
私の頭の中に足が再生していく状況がイメージとして流れ込んでくる。
この国の国民は僅かにでもほぼ全員が魔力を持っている。それは本人も気が付かないくらい微量でも、ゼロでは無い。
この魔法はその本人が持っている魔力に働きかけ、その魔力に同期して本人の魔力の記憶を再現させるイメージで力を注ぐ。そしてその魔力の持ち主の形を復元させる。
魔力のことは以前ノアさんが教えてくれた。それを今流れ込んできた情報と癒しの力を治療に使えるようにイメージした。
「あぁぁ、足が足が元に、元に戻っていく…!」
マクシムさんが足が再生される一部始終を見て、たまらず声をあげる。
恐らく完全に足が再生されるまで1分もかかっていない。私の力怖い…でも凄い…!
「……ここまでとは… 前聖女様は傷を回復することはできたが、無いものを再生することは出来なかった。
大聖女様、ありがとうございます。何と言って良いか… 私の部下は家族のようなものです、命を救って頂き感謝致します…!」
ハルバードさんはまた私の前に跪き、今度は私の手の甲に唇を当てた。
そして、潤んだキラキラした瞳で私を上目遣いに見上げる。
はぁ~ナニコレ?サラッと何?なに特典?スゴいご褒美……でもイケメンの破壊力を自覚して欲しい!
心臓がバクバクと動悸がする。ダメだ、私が倒れる。
「いえ、わ、私の力がお役に立てて良かったです、あの、次の患者さんは、ど、どこに?」
こんな感謝のされ方、生まれて初めてで動揺を隠しきれない。
そこに足が再生した患者さんが目を覚ました。
「…あれ当主様、マクシム隊長、俺は…」
「ケイン、ケイン、良かったな!見てみろ、お前の足を!大聖女様が治してくれたのだぞ…!」
マクシムさんがまた泣きながら、目覚めた患者さんに声を掛ける。
「あっ、あー……俺の、俺の足が!足がある…!うっうっ…、ありがとう…ございます」
ケインさんと呼ばれた方は泣きながら起き上がり、私たちの前で歩いて見せてくれた。
「大聖女様、ありがとうございます!命の恩人です!俺は、俺はこの足を、体を生涯大切にします…ありがとうございます…うぅっ…」
私はこの救急棟にいたすべての人の怪我を治した。
ノアさんにちょくちょく疲労は無いかとか目眩は無いかとか体調を確認されたが、特に変化は無かった。
魔力も体力もまったく変化無しと言って良いほど私は元気だった。
ただ、患者さんは怪我や傷が治っても、体力はその人が持つ力を少し底上げする程度しか出来ないようで、まだ安静が必要な人がたくさんいた。
その後は、神官さんたちが神力を注いで体の回復を促してくれたが、力としては私の数%くらいの効果しか無いという。それでも数人で頑張ってくれた。
「ノアさん、体力が戻るような、元気になる食べ物とかって無いんでしょうかね?」
何気なくノアさんに聞いてみた。
そもそもは元気な兵士さんたちが怪我や傷で体力を失った。怪我も傷も治れば後は回復も早いだろう。
「あれ?レイは知らなかった?マーゴット婆さんが採ってる草は薬草で体の回復を促す作用があるんだよ」
え?あの草が…?
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