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後半
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「はい」
「ありがと」
身体が動かない花菜に替わって、冷蔵庫に入れてあったミネラルウォーターのペットボトルを耀太が取って来てくれそれを受け取った。
先程の色事のせいで花菜は、思うように声が出ず喉に張り付くような痛みのせいで掠れてしまった。
コクコクと冷たい水が喉元を潤し満たしてゆく。花菜が飲み終わるとペットボトルを受け取り、半分ほど残った水を耀太は一気に飲み干した。
「大丈夫ですか?」
花菜が横たわっている隣に寝転がり顔を近づけてきた。花菜は先程の見たことのない色香漂う耀太の顔を思い出し、思わず目線を逸らし彼とは反対側に身体を横に動かした。
「こっち見てください」
背後から身体を密着し、少し落ち込んだような声色で耀太は花菜の耳元で囁いだ。その艶やかな声で花菜の心臓は激しく高鳴り身体中から熱が帯びる。つい数時間前までは後輩としか見てなかった相手を異性として意識し出すなんて考えもしなかった。
「花菜・・・」
耀太は花菜を自分の方へと向かせると自然と互いの唇がそっと重なり次第に深く熱が帯びる口付けへと変わっていった。
「花菜、大好き。このままずっとこうしていたい」
恍惚な表情を向け花菜の胸に頬擦りしながら言う耀太に擽ったい気持ちにさせられながらも、ある疑惑を思い出し甘える耀太を押し返しムクっと起き上がった。花菜は、側にあった掛布団を身体に巻き付けると、きょとんとした表情の耀太の前に正座した。
「上坂くん、一つわからないことがあるから質問していい?」
耀太も花菜と向かい合わせに正座し「いいですよ」と笑みを浮かべ頷いた。
「あのね、例のアプリゲーム・・・会社でやったことないのに何で知ってたの?」
花菜が耀太に質問を投げると耀太は宙に視線を泳がせながら一息吐き、側にあった自分のスマートフォンの画面を花菜に見せた。そこにはいくつかのアプリと共に花菜がハマっている乙女ゲームのアプリが並んでいた。
「・・・怒りません?」
定位置に戻り正座をし直した耀太は、ちょっと猫背になりながら上目遣いで花菜に伺った。
「内容によると思う」
はぁ・・・、と耀太は深い溜息をつき、観念したように話し出した。
「・・・前に花菜が席を立った時、机にスマホ置きっぱなしだった時があって。俺、花菜のこと気になってたし、他に男の影あったら嫌だなと思って確認したくてつい・・・・・・その時、間違ってそのアプリ押しちゃって」
「かっ、勝手に触ったの?!」
耀太は、気まずそうな表情を浮かべ小さくこくんと頷いた。
「よく見たらやり込んでる感あったし、待ち受けの画像もここに出てるキャラだったから好きなのかなって・・・とりあえず俺のにもアプリ入れてみたんです。そしたら花菜、そのゲームのイベント日は絶対残業せずさっさと退勤してるし、待ち受けにあったキャラメインのガチャやイベントある時は物凄く機嫌良いからスゲー好きなんだなーと思って」
「だからって人のスマホ・・・あれっ?でも私、ロックしてあったよね?」
花菜はセキュリティのため常にスマートフォンにロックをかけておりパスコードを入れないと解除出来ないようにしていた。
「それはー・・・花菜が毎回ロックを外すたびに指の動きの位置を隣で確認してたから・・・・・・試しにやってみたら解除けれちゃいました」
へへっと悪びれる素振りもなく笑う耀太に花菜は、怒りを通り越して呆気にとられてしまった。
(今度からは顔認証に設定し直さなくちゃいけないのね)
花菜は、頭を抱え深い溜息を吐き身体の力が削がれてゆく感覚に襲われていた。
「ごめんなさい・・・俺のこと嫌いになった?」
(無駄にイケメンだからこういう時ズルいっ)
上目使いのわんこ顏で見られた花菜は、納得はいかなかったものの首を横に振ると耀太の顏が一気に明るくなり、花菜を抱き寄せ唇を塞いだ。自分のチョロさ加減に情けなくなりながらも甘く痺れるようなキスに蕩けそうになっていると目の前にある目覚まし時計に視線を落とした。
「ちょっ、ちょっと上坂くんっ!もう4時回ってるっ!全然寝てないよっ!始発もあるし...あっ!商談!こんな状態で大丈夫?!ちゃんとできる?!」
花菜は慌てながら耀太の背中をばしばしと叩きパニックになっていた。そんな花菜を余所に耀太は涼し気な表情でまたも花菜の胸元で甘えるように顔を埋めていた。
「ご心配なく。有休とってあるんで。ちなみに先輩も今日休んでくださいね。今日は一日ゆっくりしましょ♡」
「へっ?」
またまた呆気に取られてしまい口をポカンと開けていると、耀太が笑いながら指で唇を挟むように抓み閉じさせた。
「ってか花菜さー、最近山田さんから仕事押し付けられる頻度高くなってたけど変に思わなかった?」
いきなり論点から逸らされた花菜は、納得いかない表情を見せつつも思い起こすと確かにここ最近急に頻度が多くなっていたなと気が付いた。その度、毎回ではないにしても呆れ小言を言う耀太に手伝ってもらったりしていた。それが今、何の関係があるのかキョトンと耀太の顔を見ると、口角を上げ不敵な笑みを浮かべた。
「アレ、俺が彼女に頼んでたの」
花菜は先ほど耀太の指で閉じられたはずの口元がまたポカンと開いてしまっていた。次から次と耀太の口から不可思議な言葉を述べられ理解出来ず目を丸くさせ耀太を凝視した。
「実は彼女、俺の従姉でちょっと協力してもらってたんです。まあ、向こうも俺に弱み握られてるから断りたくても断れなかったんだろうけど」
ニコニコと話す耀太に眩暈を起こし倒れそうになるのをなんとか踏ん張り耐えた。
「どうしても花菜に俺のこと後輩以上に見てもらいたかったし距離も縮めたかった。だから仕事仕方なく手伝うふりして頼り甲斐があるんだって認めてもらって一人前の男として見てもらおうとした作戦だったのに・・・全く効果ないし」
「いやいや、だからって」
前のめりで耀太に抗議するといきなり口の中に耀太の指が入り、咥内に弄られた。
「んー・・・んぐっ、んは、・・・」花菜は、唸り声のような声を上げながら耀太の指に翻弄され、口の中から指を出そうと手を掴んで引っ張り出そうとするも全く動かせず、その悶え苦しむ様子を耀太は上機嫌な顔色で花菜に魅入っていた。
「今回のイベってアプリ最大のアニバーサリーイベントだったでしょ?絶対定時で上がる確信あったから今日ぶち当てた・・・しかも結構面倒臭い仕事を」
「はぐほへっ!・・・ひゃおすひふ!!(何それっ!酷過ぎる!!)」
花菜の言葉なき言葉に耀太は一先ず指を引き抜いた。怒りで頬を紅潮させ、高揚した顔つきの花菜に感情の昂りが抑えきれず、貪るように唇を重ねた。花菜に抵抗されればされるほど激しさが深くなり耀太の理性は崩壊寸前まできていた。
「ヤバい・・・その表情我慢でき「だめっ!」
花菜は肩で息をしながら口端から零れた唾液を手で拭い、耀太の胸を押し自分から引き離した。
「ちゃんと全部説明して!そうじゃないと今度から上坂くんのことただの“変態エロ後輩わんこ”としか見ないからっ!」
キッと睨みつけたが、今の耀太にはそのマイナスの言葉は耳に全く入らず怒った顔をも欲情のスイッチを押す素材になっていた。だが、嫌われるのは不本意と一呼吸入れ、渋々説明することにした。
「よく残業する社員の何人かは今日取引先の接待でいないの事前に知ってたし、フロアに残るのは花菜だけの確率が高かった。仮にいても週末でもない限りみんな早々に切り上げて帰るのも想定内」
耀太の少々荒っぽいが用意周到ともいえる巧妙な手段にまんまと引っかかった花菜は、愕然とし固まってしまった。
「あとはタイミング見計らって偶然のフリして戻って仕事を手伝う、そして時間的に終電が間に合わないと言って家まで行く。しかも明日商談抱えてるやつにネカフェとかで泊まれなんて花菜の性格上言うわけないのわかってたからそこを付け込ませてもらいました」
耀太が頭を下げ土下座し、花菜の方を先程と同じように上目遣いで見上げた。花菜はおっきな溜息を吐きながら目頭を押さえていた。
「でも、わざわざ有休なんて取る必要ある?こんなことになるとは・・・限らないでしょ」
先程の光景を思い出し頬を赤らめ目線を逸らしながらブツブツぼやいた。そんな花菜に我慢できず、腕を引き寄せ抱き締めた。
「堕とす自信があったから。・・・気づいてないみたいだから言うけど、俺が他の女子社員と話したりすると花菜、すごい顔で俺のこと見てたんだよ、何度も。だから確信したんだ・・・そうじゃなきゃこんな大掛かりなことできないよ。ってか、あの時の嫉妬丸出しの花菜の顏、ほんとヤバくて危うく会社で襲いそうになった」
笑いながら話す耀太に「そんなことしてないっ」と言わんばかりに首を横に振ったが、無意識に閉じ込めていた気持ちをその言葉で掻き出され恥ずかしくて逃げ出したい気持ちで身体をバタつかせていた。
「もうそろそろ素直になったらどうですか?ほんとは身体からなんて思ってませんでした。ちゃんと気持ち伝えてそれからって・・・でも、積年の想いが押し寄せてきちゃって」
花菜の頬をぎゅっと力を入れ両手で挟みその圧で尖った唇に啄むように何度もキスをしてきた。唇がゆっくりと離れると花菜を見つめ、額をコツンと軽くぶつけ合わせた。
「花菜・・・お願いだから早く俺と同じ位置まで堕ちてきて」
憂いのような声色と情欲を唆られる表情を見せられた花菜は、何も考えられなくなり言葉を返すことなく自らも耀太の首に腕を回し身体を寄せた。その光景に耀太は、嬉しさで目を細め更にきつく抱き締めた。
「花菜・・・ずっと、ずーっと可愛がってあげるから」
ただの隣の席のちょっと毒のあるかわいいハイスペ後輩わんこは、花菜を甘く蕩けさせ飽きさせないように刺激を与え、今から長い一日をずぶずぶに溶かしていくのでした。
※※※
「花菜さーん。せっかくイチャイチャしたくて休んだのにスマホ弄りすぎじゃないですかー?」
「だって、上坂くんのせいでイベント出遅れてんだから仕方ないでしょ。会社ズル休みしたんだからこの間に順位取り戻さなきゃ」
「・・・・・・」
「あっ、ちょっとスマホ返し・・・(ちゅっ♡)」
「今後、推しキャラよりも俺じゃなきゃダメな身体にするんで覚悟してくださいね、先輩♡」
「えっ、今さっきしたばっか・・・ひゃンッ♡」
「ありがと」
身体が動かない花菜に替わって、冷蔵庫に入れてあったミネラルウォーターのペットボトルを耀太が取って来てくれそれを受け取った。
先程の色事のせいで花菜は、思うように声が出ず喉に張り付くような痛みのせいで掠れてしまった。
コクコクと冷たい水が喉元を潤し満たしてゆく。花菜が飲み終わるとペットボトルを受け取り、半分ほど残った水を耀太は一気に飲み干した。
「大丈夫ですか?」
花菜が横たわっている隣に寝転がり顔を近づけてきた。花菜は先程の見たことのない色香漂う耀太の顔を思い出し、思わず目線を逸らし彼とは反対側に身体を横に動かした。
「こっち見てください」
背後から身体を密着し、少し落ち込んだような声色で耀太は花菜の耳元で囁いだ。その艶やかな声で花菜の心臓は激しく高鳴り身体中から熱が帯びる。つい数時間前までは後輩としか見てなかった相手を異性として意識し出すなんて考えもしなかった。
「花菜・・・」
耀太は花菜を自分の方へと向かせると自然と互いの唇がそっと重なり次第に深く熱が帯びる口付けへと変わっていった。
「花菜、大好き。このままずっとこうしていたい」
恍惚な表情を向け花菜の胸に頬擦りしながら言う耀太に擽ったい気持ちにさせられながらも、ある疑惑を思い出し甘える耀太を押し返しムクっと起き上がった。花菜は、側にあった掛布団を身体に巻き付けると、きょとんとした表情の耀太の前に正座した。
「上坂くん、一つわからないことがあるから質問していい?」
耀太も花菜と向かい合わせに正座し「いいですよ」と笑みを浮かべ頷いた。
「あのね、例のアプリゲーム・・・会社でやったことないのに何で知ってたの?」
花菜が耀太に質問を投げると耀太は宙に視線を泳がせながら一息吐き、側にあった自分のスマートフォンの画面を花菜に見せた。そこにはいくつかのアプリと共に花菜がハマっている乙女ゲームのアプリが並んでいた。
「・・・怒りません?」
定位置に戻り正座をし直した耀太は、ちょっと猫背になりながら上目遣いで花菜に伺った。
「内容によると思う」
はぁ・・・、と耀太は深い溜息をつき、観念したように話し出した。
「・・・前に花菜が席を立った時、机にスマホ置きっぱなしだった時があって。俺、花菜のこと気になってたし、他に男の影あったら嫌だなと思って確認したくてつい・・・・・・その時、間違ってそのアプリ押しちゃって」
「かっ、勝手に触ったの?!」
耀太は、気まずそうな表情を浮かべ小さくこくんと頷いた。
「よく見たらやり込んでる感あったし、待ち受けの画像もここに出てるキャラだったから好きなのかなって・・・とりあえず俺のにもアプリ入れてみたんです。そしたら花菜、そのゲームのイベント日は絶対残業せずさっさと退勤してるし、待ち受けにあったキャラメインのガチャやイベントある時は物凄く機嫌良いからスゲー好きなんだなーと思って」
「だからって人のスマホ・・・あれっ?でも私、ロックしてあったよね?」
花菜はセキュリティのため常にスマートフォンにロックをかけておりパスコードを入れないと解除出来ないようにしていた。
「それはー・・・花菜が毎回ロックを外すたびに指の動きの位置を隣で確認してたから・・・・・・試しにやってみたら解除けれちゃいました」
へへっと悪びれる素振りもなく笑う耀太に花菜は、怒りを通り越して呆気にとられてしまった。
(今度からは顔認証に設定し直さなくちゃいけないのね)
花菜は、頭を抱え深い溜息を吐き身体の力が削がれてゆく感覚に襲われていた。
「ごめんなさい・・・俺のこと嫌いになった?」
(無駄にイケメンだからこういう時ズルいっ)
上目使いのわんこ顏で見られた花菜は、納得はいかなかったものの首を横に振ると耀太の顏が一気に明るくなり、花菜を抱き寄せ唇を塞いだ。自分のチョロさ加減に情けなくなりながらも甘く痺れるようなキスに蕩けそうになっていると目の前にある目覚まし時計に視線を落とした。
「ちょっ、ちょっと上坂くんっ!もう4時回ってるっ!全然寝てないよっ!始発もあるし...あっ!商談!こんな状態で大丈夫?!ちゃんとできる?!」
花菜は慌てながら耀太の背中をばしばしと叩きパニックになっていた。そんな花菜を余所に耀太は涼し気な表情でまたも花菜の胸元で甘えるように顔を埋めていた。
「ご心配なく。有休とってあるんで。ちなみに先輩も今日休んでくださいね。今日は一日ゆっくりしましょ♡」
「へっ?」
またまた呆気に取られてしまい口をポカンと開けていると、耀太が笑いながら指で唇を挟むように抓み閉じさせた。
「ってか花菜さー、最近山田さんから仕事押し付けられる頻度高くなってたけど変に思わなかった?」
いきなり論点から逸らされた花菜は、納得いかない表情を見せつつも思い起こすと確かにここ最近急に頻度が多くなっていたなと気が付いた。その度、毎回ではないにしても呆れ小言を言う耀太に手伝ってもらったりしていた。それが今、何の関係があるのかキョトンと耀太の顔を見ると、口角を上げ不敵な笑みを浮かべた。
「アレ、俺が彼女に頼んでたの」
花菜は先ほど耀太の指で閉じられたはずの口元がまたポカンと開いてしまっていた。次から次と耀太の口から不可思議な言葉を述べられ理解出来ず目を丸くさせ耀太を凝視した。
「実は彼女、俺の従姉でちょっと協力してもらってたんです。まあ、向こうも俺に弱み握られてるから断りたくても断れなかったんだろうけど」
ニコニコと話す耀太に眩暈を起こし倒れそうになるのをなんとか踏ん張り耐えた。
「どうしても花菜に俺のこと後輩以上に見てもらいたかったし距離も縮めたかった。だから仕事仕方なく手伝うふりして頼り甲斐があるんだって認めてもらって一人前の男として見てもらおうとした作戦だったのに・・・全く効果ないし」
「いやいや、だからって」
前のめりで耀太に抗議するといきなり口の中に耀太の指が入り、咥内に弄られた。
「んー・・・んぐっ、んは、・・・」花菜は、唸り声のような声を上げながら耀太の指に翻弄され、口の中から指を出そうと手を掴んで引っ張り出そうとするも全く動かせず、その悶え苦しむ様子を耀太は上機嫌な顔色で花菜に魅入っていた。
「今回のイベってアプリ最大のアニバーサリーイベントだったでしょ?絶対定時で上がる確信あったから今日ぶち当てた・・・しかも結構面倒臭い仕事を」
「はぐほへっ!・・・ひゃおすひふ!!(何それっ!酷過ぎる!!)」
花菜の言葉なき言葉に耀太は一先ず指を引き抜いた。怒りで頬を紅潮させ、高揚した顔つきの花菜に感情の昂りが抑えきれず、貪るように唇を重ねた。花菜に抵抗されればされるほど激しさが深くなり耀太の理性は崩壊寸前まできていた。
「ヤバい・・・その表情我慢でき「だめっ!」
花菜は肩で息をしながら口端から零れた唾液を手で拭い、耀太の胸を押し自分から引き離した。
「ちゃんと全部説明して!そうじゃないと今度から上坂くんのことただの“変態エロ後輩わんこ”としか見ないからっ!」
キッと睨みつけたが、今の耀太にはそのマイナスの言葉は耳に全く入らず怒った顔をも欲情のスイッチを押す素材になっていた。だが、嫌われるのは不本意と一呼吸入れ、渋々説明することにした。
「よく残業する社員の何人かは今日取引先の接待でいないの事前に知ってたし、フロアに残るのは花菜だけの確率が高かった。仮にいても週末でもない限りみんな早々に切り上げて帰るのも想定内」
耀太の少々荒っぽいが用意周到ともいえる巧妙な手段にまんまと引っかかった花菜は、愕然とし固まってしまった。
「あとはタイミング見計らって偶然のフリして戻って仕事を手伝う、そして時間的に終電が間に合わないと言って家まで行く。しかも明日商談抱えてるやつにネカフェとかで泊まれなんて花菜の性格上言うわけないのわかってたからそこを付け込ませてもらいました」
耀太が頭を下げ土下座し、花菜の方を先程と同じように上目遣いで見上げた。花菜はおっきな溜息を吐きながら目頭を押さえていた。
「でも、わざわざ有休なんて取る必要ある?こんなことになるとは・・・限らないでしょ」
先程の光景を思い出し頬を赤らめ目線を逸らしながらブツブツぼやいた。そんな花菜に我慢できず、腕を引き寄せ抱き締めた。
「堕とす自信があったから。・・・気づいてないみたいだから言うけど、俺が他の女子社員と話したりすると花菜、すごい顔で俺のこと見てたんだよ、何度も。だから確信したんだ・・・そうじゃなきゃこんな大掛かりなことできないよ。ってか、あの時の嫉妬丸出しの花菜の顏、ほんとヤバくて危うく会社で襲いそうになった」
笑いながら話す耀太に「そんなことしてないっ」と言わんばかりに首を横に振ったが、無意識に閉じ込めていた気持ちをその言葉で掻き出され恥ずかしくて逃げ出したい気持ちで身体をバタつかせていた。
「もうそろそろ素直になったらどうですか?ほんとは身体からなんて思ってませんでした。ちゃんと気持ち伝えてそれからって・・・でも、積年の想いが押し寄せてきちゃって」
花菜の頬をぎゅっと力を入れ両手で挟みその圧で尖った唇に啄むように何度もキスをしてきた。唇がゆっくりと離れると花菜を見つめ、額をコツンと軽くぶつけ合わせた。
「花菜・・・お願いだから早く俺と同じ位置まで堕ちてきて」
憂いのような声色と情欲を唆られる表情を見せられた花菜は、何も考えられなくなり言葉を返すことなく自らも耀太の首に腕を回し身体を寄せた。その光景に耀太は、嬉しさで目を細め更にきつく抱き締めた。
「花菜・・・ずっと、ずーっと可愛がってあげるから」
ただの隣の席のちょっと毒のあるかわいいハイスペ後輩わんこは、花菜を甘く蕩けさせ飽きさせないように刺激を与え、今から長い一日をずぶずぶに溶かしていくのでした。
※※※
「花菜さーん。せっかくイチャイチャしたくて休んだのにスマホ弄りすぎじゃないですかー?」
「だって、上坂くんのせいでイベント出遅れてんだから仕方ないでしょ。会社ズル休みしたんだからこの間に順位取り戻さなきゃ」
「・・・・・・」
「あっ、ちょっとスマホ返し・・・(ちゅっ♡)」
「今後、推しキャラよりも俺じゃなきゃダメな身体にするんで覚悟してくださいね、先輩♡」
「えっ、今さっきしたばっか・・・ひゃンッ♡」
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