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「キリウ様、ノアたちがお茶の席を用意しているのでそろそろ其方へ向かいませんか?」
「ああ、そうだな。ちょうど喉も渇いてきた頃合だ」
散策を終えたベルーラたちは、侍女たちがあらかじめ茶の席を整えてあるガゼボへ向かうことにした。
白い大理石で造られたアンティーク調のガゼボに着くと、テーブルにはティーセットと、多彩な菓子を載せたケーキスタンドが整えられていた。
「キリウ様、どうぞこちらへ」
ベルーラは手を軽く差し出し、キリウに席に着くよう勧めた。
「ありがとう」
キリウが腰を落ち着けたのを確認すると、ベルーラはふっと肩の力を抜き、短い息をこぼした。
「お茶、淹れますね」
「ああ」
ベルーラは、用意されたティーセットからポットを取り上げ、二つのカップへと紅茶を注いだ。ここへ立ち寄る時間にちょうど合わせたかのように、紅茶は心地よい温かさを保っていた。
「何か思い出されたりしましたか?」
「いいや、残念ながら・・・」
「そうですか・・・。でも焦っても仕方がないので、気長に待ちましょう」
「ああ・・・そうだな。そう言ってもらえると心が軽くなるよ」
物憂げなキリウにベルーラは、明るめの声色で、柔らかな笑みを向け励ましの言葉をかけた。
「せっかくなんで、いただきましょう」
ベルーラは、キリウに紅茶とお菓子を勧め、自身も口にしようとした刹那、思い詰めた表情のキリウが静かに疑問を投げかけた。
「・・・べルーラ嬢から見て、記憶を失う前の俺は、どんな人間だったのだろうか?」
「どんな人間・・・そうですね。キリウ様は、誰から見ても何事にも真面目で完璧な方です。それは幼い頃から現在に至るまで変わらず、皆の憧れの存在であり続けています。私に対しても、いつも誠実に接してくださり、感謝の気持ちでいっぱいです」
(前文に嘘はない・・・前文には)
皮肉な考えが浮かんでしまい、ベルーラは思わず軽く咳をした。そんな時、ふとべルーラはあることに気づき、キリウへ視線を戻した。
「今回のことで一つ気になったのは、キリウ様はこれまで、ご自身のことを“私”とお呼びになっていました。それが今は、“俺”と仰っています。あと、私に対しても以前よりも柔和に接してくださるので、少し驚いてしまって・・・。でも、なんだか今までのキリウ様とはまた違って、とても新鮮に感じております」
微笑むベルーラを見て、キリウは一瞬驚いた表情を浮かべた。何か口にしようとしたが、それを隠すかのように口元を手で押さえた。
「きゃっ、風が」
ちょうどその時、強い風が吹き、ベルーラは乱れそうになる髪を押さえた。その刹那、キリウは彼女の頬に掛かった髪をそっと手に取り、口づけするかのように唇に触れた。
「☆※▽?〇!」
キリウの行動にベルーラが動揺している間、気づけば、キリウは静かに席を寄せ、先ほどまであった距離感はすっかり消えていた。互いの身体が触れそうなほどの距離に、ベルーラは思わず息を呑んだ。
「真面目で誠実か・・・。記憶のない俺が言うのもなんだけど、実際にはそんなことはなかったと思うよ。自称のこともそうだけど、きっとキミの前では格好をつけたかったんじゃないかな」
キリウはテーブルに両肘をつき、両手で鼻から下を隠すように覆い、少し照れくさそうに話していた。その仕草に、ベルーラの心臓は高鳴り、胸の奥がざわつく。だが刹那の間に、彼の本来の落ち着いた様子がちらつき、思わず視線を逸らしてしまう。
(目の前にいるキリウ様は“キリウ様であってキリウ様ではない”のよ。それを忘れちゃだめッ!)
「キリウ様、少し風が冷たくなってまいりましたので、そろそろ戻りましょうか。風邪を引いてしまっては、また皆が心配いたします」
気持ちを切り替えるように、ベルーラは優しく微笑み、徐に立ち上がる。ベルーラが席から離れようとした瞬間、キリウは咄嗟に立ち上がると彼女の腕を掴み、引き寄せ抱きしめた。ベルーラの心臓は一気に跳ね上がり、胸の奥が熱くざわめく。
彼の腕の力は強すぎず、優しく包み込む。その柔らかさに、ベルーラは戸惑いながらも、じんわりと心を乱されるのを止められなかった。
「何度も言うが、ベルーラ嬢を見た瞬間から、胸の高鳴りがずっと止まらないんだ。このままでは心臓が止まってしまいそうなくらいだよ・・・。ああ、このまま邸に連れて帰りたい」
またもや同じセリフを聞かされ、ベルーラは思考が完全に停止し、声すら出せなくなった。その状態を前に、キリウはそっと両手をベルーラの肩に置き、ゆっくりと顔を近づける。
「・・・・・・ッ!?ちょッ!キ、キリウ様ッッ!!だ、ダメですっ!!!」
自分の瞳に映るキリウの美しい顔を見て、ベルーラはようやく我に返った。深く沈んでいた思考が呼び覚まされると、咄嗟に両手でキリウの胸元を押し、僅かに距離を取った。
一瞬、キリウは驚いた表情を浮かべたが、すぐに優しい笑顔を返してくれた。
「はは、すまない。あまりにも可愛くて、つい。しかしいくら婚約者でも同意のない行動は非常識だった」
反省はしてくれたものの、露骨に哀しそうな表情を向けられたベルーラは、何とか誤魔化そうとするように言葉を選びながらキリウに伝える。
「あ、い、いえ。その、私たちはこんなふうに身体が触れ合うようなことはしなかったので・・・驚いてしまって。決して、嫌だとかそういうわけでは」
「そうか・・・俺たちは、幼い頃から婚約が決まっていたにも関わらず、普段からスキンシップが少なかったみたいだな」
一生懸命言い訳をするベルーラのかたわらで、キリウは両腕を組み、独り言を呟きながらじっと考え込んでいた。
そんなキリウの表情を、黙ったまま訝しげにベルーラは見つめていた。すると、何かを閃いたのか、キリウは視線をこちらに戻し、目を輝かせながら話しかけてきた。
「俺たちは、ちゃんとした交流がなかったんだよね?」
「え、・・・まあ、そうですね」
少し戸惑いながらベルーラは応えた。
「でも、お仕事も多忙ですし・・・キリウ様は将来有望な方ですから、そこは仕方ないのかな、と」
「だからといって、ベルーラ嬢を疎かにするのは間違っている。できることなら、以前の自分にそう説教したいくらいだ。これからは、互いを尊重し合い、心を通わせられるような関係を一から築いていきたいと思っている」
キリウは、今まででは考えられないほどの熱量をべルーラへ伝えた。その想いに心が熱く、目頭がジンと熱くなる。
もしこれが、記憶喪失になる前の会話だったら・・・。
こんなふうに歩み寄ってくれていたなら、きっと互いに思いやれる存在になれていたかもしれない。
そんなことを思い浮かべながらも、ベルーラは一瞬でその考えを打ち消した。
(だって彼には・・・)
ベルーラの脳裏には、キリウとマーヴェル王女の仲睦ましい姿が次々と思い出され、胸の奥から卑屈な気持ちが湧き上がった。
自分の無力さや距離の遠さに焦る一方で、視線を上げると、キリウは複雑な表情を浮かべながらも、じっと彼女を見つめ返していた。
その視線に、ベルーラは思わず心を揺さぶられ、呼吸が苦しくなる。
「実はここへ来る前に、国王と騎士長には、完全復帰はしばらく先になることを伝えてきたんだ」
キリウの声に我に返ったベルーラは、気持ちを切り替え、会話に集中した。
「そうなんですか」
キリウは、穏やかな表情で今後の話をし始めた。
「それに、べルーラ嬢もまだアカデミーが始まっていないだろう?だから、記憶を取り戻すことも大事だが、まずは俺たちの距離を縮めていきたいんだ。手始めに・・・そうだな。ベルーラ嬢は、ご家族や親しい人たちからは何と呼ばれているんだ?」
キリウからの唐突な質問に、べルーラは呆気にとられつつも、口を開く。
「愛称的なことでしょうか・・・それだったら、家族や友人には“ベル”と呼ばれております」
「ちなみに俺もそう呼んでいた?」
「いいえ、私のことは今と同じく“ベルーラ嬢”と」
「んー、記憶がないからこの呼び方をしていたが、以前からとなると・・・やはり少し距離を感じるな。よしっ!今日から俺も“ベル”と呼ばせてもらう。だからベルも、俺のことは様をつけずに“キリウ”と呼んでほしい」
「・・・・・・へッ!?」
更なる突拍子もない提案に、呆気にとられたベルーラは、目をぱちくりさせ間抜けな顔を晒していた。
「それと、触れ合いという意味でも、会うたびにハグをしよう。挨拶の一つと思えば大したことじゃないし、そもそも俺たちは婚姻関係なんだから、不自然なことではないだろ」
キリウから、予想もつかない難易度の高い斜め上の提案が飛び出すと、ベルーラは思わず膝がガクッと抜けそうになった。
必死に体を支えながらも、狼狽えた瞳でキリウを見やる。だが、その視線に応えるかのように、キリウはまるで何事もないかのように微笑んでいた。
二人の間に漂う緊張と余裕の対照が、べルーラを更に混乱へと落としていった。
「ああ、そうだな。ちょうど喉も渇いてきた頃合だ」
散策を終えたベルーラたちは、侍女たちがあらかじめ茶の席を整えてあるガゼボへ向かうことにした。
白い大理石で造られたアンティーク調のガゼボに着くと、テーブルにはティーセットと、多彩な菓子を載せたケーキスタンドが整えられていた。
「キリウ様、どうぞこちらへ」
ベルーラは手を軽く差し出し、キリウに席に着くよう勧めた。
「ありがとう」
キリウが腰を落ち着けたのを確認すると、ベルーラはふっと肩の力を抜き、短い息をこぼした。
「お茶、淹れますね」
「ああ」
ベルーラは、用意されたティーセットからポットを取り上げ、二つのカップへと紅茶を注いだ。ここへ立ち寄る時間にちょうど合わせたかのように、紅茶は心地よい温かさを保っていた。
「何か思い出されたりしましたか?」
「いいや、残念ながら・・・」
「そうですか・・・。でも焦っても仕方がないので、気長に待ちましょう」
「ああ・・・そうだな。そう言ってもらえると心が軽くなるよ」
物憂げなキリウにベルーラは、明るめの声色で、柔らかな笑みを向け励ましの言葉をかけた。
「せっかくなんで、いただきましょう」
ベルーラは、キリウに紅茶とお菓子を勧め、自身も口にしようとした刹那、思い詰めた表情のキリウが静かに疑問を投げかけた。
「・・・べルーラ嬢から見て、記憶を失う前の俺は、どんな人間だったのだろうか?」
「どんな人間・・・そうですね。キリウ様は、誰から見ても何事にも真面目で完璧な方です。それは幼い頃から現在に至るまで変わらず、皆の憧れの存在であり続けています。私に対しても、いつも誠実に接してくださり、感謝の気持ちでいっぱいです」
(前文に嘘はない・・・前文には)
皮肉な考えが浮かんでしまい、ベルーラは思わず軽く咳をした。そんな時、ふとべルーラはあることに気づき、キリウへ視線を戻した。
「今回のことで一つ気になったのは、キリウ様はこれまで、ご自身のことを“私”とお呼びになっていました。それが今は、“俺”と仰っています。あと、私に対しても以前よりも柔和に接してくださるので、少し驚いてしまって・・・。でも、なんだか今までのキリウ様とはまた違って、とても新鮮に感じております」
微笑むベルーラを見て、キリウは一瞬驚いた表情を浮かべた。何か口にしようとしたが、それを隠すかのように口元を手で押さえた。
「きゃっ、風が」
ちょうどその時、強い風が吹き、ベルーラは乱れそうになる髪を押さえた。その刹那、キリウは彼女の頬に掛かった髪をそっと手に取り、口づけするかのように唇に触れた。
「☆※▽?〇!」
キリウの行動にベルーラが動揺している間、気づけば、キリウは静かに席を寄せ、先ほどまであった距離感はすっかり消えていた。互いの身体が触れそうなほどの距離に、ベルーラは思わず息を呑んだ。
「真面目で誠実か・・・。記憶のない俺が言うのもなんだけど、実際にはそんなことはなかったと思うよ。自称のこともそうだけど、きっとキミの前では格好をつけたかったんじゃないかな」
キリウはテーブルに両肘をつき、両手で鼻から下を隠すように覆い、少し照れくさそうに話していた。その仕草に、ベルーラの心臓は高鳴り、胸の奥がざわつく。だが刹那の間に、彼の本来の落ち着いた様子がちらつき、思わず視線を逸らしてしまう。
(目の前にいるキリウ様は“キリウ様であってキリウ様ではない”のよ。それを忘れちゃだめッ!)
「キリウ様、少し風が冷たくなってまいりましたので、そろそろ戻りましょうか。風邪を引いてしまっては、また皆が心配いたします」
気持ちを切り替えるように、ベルーラは優しく微笑み、徐に立ち上がる。ベルーラが席から離れようとした瞬間、キリウは咄嗟に立ち上がると彼女の腕を掴み、引き寄せ抱きしめた。ベルーラの心臓は一気に跳ね上がり、胸の奥が熱くざわめく。
彼の腕の力は強すぎず、優しく包み込む。その柔らかさに、ベルーラは戸惑いながらも、じんわりと心を乱されるのを止められなかった。
「何度も言うが、ベルーラ嬢を見た瞬間から、胸の高鳴りがずっと止まらないんだ。このままでは心臓が止まってしまいそうなくらいだよ・・・。ああ、このまま邸に連れて帰りたい」
またもや同じセリフを聞かされ、ベルーラは思考が完全に停止し、声すら出せなくなった。その状態を前に、キリウはそっと両手をベルーラの肩に置き、ゆっくりと顔を近づける。
「・・・・・・ッ!?ちょッ!キ、キリウ様ッッ!!だ、ダメですっ!!!」
自分の瞳に映るキリウの美しい顔を見て、ベルーラはようやく我に返った。深く沈んでいた思考が呼び覚まされると、咄嗟に両手でキリウの胸元を押し、僅かに距離を取った。
一瞬、キリウは驚いた表情を浮かべたが、すぐに優しい笑顔を返してくれた。
「はは、すまない。あまりにも可愛くて、つい。しかしいくら婚約者でも同意のない行動は非常識だった」
反省はしてくれたものの、露骨に哀しそうな表情を向けられたベルーラは、何とか誤魔化そうとするように言葉を選びながらキリウに伝える。
「あ、い、いえ。その、私たちはこんなふうに身体が触れ合うようなことはしなかったので・・・驚いてしまって。決して、嫌だとかそういうわけでは」
「そうか・・・俺たちは、幼い頃から婚約が決まっていたにも関わらず、普段からスキンシップが少なかったみたいだな」
一生懸命言い訳をするベルーラのかたわらで、キリウは両腕を組み、独り言を呟きながらじっと考え込んでいた。
そんなキリウの表情を、黙ったまま訝しげにベルーラは見つめていた。すると、何かを閃いたのか、キリウは視線をこちらに戻し、目を輝かせながら話しかけてきた。
「俺たちは、ちゃんとした交流がなかったんだよね?」
「え、・・・まあ、そうですね」
少し戸惑いながらベルーラは応えた。
「でも、お仕事も多忙ですし・・・キリウ様は将来有望な方ですから、そこは仕方ないのかな、と」
「だからといって、ベルーラ嬢を疎かにするのは間違っている。できることなら、以前の自分にそう説教したいくらいだ。これからは、互いを尊重し合い、心を通わせられるような関係を一から築いていきたいと思っている」
キリウは、今まででは考えられないほどの熱量をべルーラへ伝えた。その想いに心が熱く、目頭がジンと熱くなる。
もしこれが、記憶喪失になる前の会話だったら・・・。
こんなふうに歩み寄ってくれていたなら、きっと互いに思いやれる存在になれていたかもしれない。
そんなことを思い浮かべながらも、ベルーラは一瞬でその考えを打ち消した。
(だって彼には・・・)
ベルーラの脳裏には、キリウとマーヴェル王女の仲睦ましい姿が次々と思い出され、胸の奥から卑屈な気持ちが湧き上がった。
自分の無力さや距離の遠さに焦る一方で、視線を上げると、キリウは複雑な表情を浮かべながらも、じっと彼女を見つめ返していた。
その視線に、ベルーラは思わず心を揺さぶられ、呼吸が苦しくなる。
「実はここへ来る前に、国王と騎士長には、完全復帰はしばらく先になることを伝えてきたんだ」
キリウの声に我に返ったベルーラは、気持ちを切り替え、会話に集中した。
「そうなんですか」
キリウは、穏やかな表情で今後の話をし始めた。
「それに、べルーラ嬢もまだアカデミーが始まっていないだろう?だから、記憶を取り戻すことも大事だが、まずは俺たちの距離を縮めていきたいんだ。手始めに・・・そうだな。ベルーラ嬢は、ご家族や親しい人たちからは何と呼ばれているんだ?」
キリウからの唐突な質問に、べルーラは呆気にとられつつも、口を開く。
「愛称的なことでしょうか・・・それだったら、家族や友人には“ベル”と呼ばれております」
「ちなみに俺もそう呼んでいた?」
「いいえ、私のことは今と同じく“ベルーラ嬢”と」
「んー、記憶がないからこの呼び方をしていたが、以前からとなると・・・やはり少し距離を感じるな。よしっ!今日から俺も“ベル”と呼ばせてもらう。だからベルも、俺のことは様をつけずに“キリウ”と呼んでほしい」
「・・・・・・へッ!?」
更なる突拍子もない提案に、呆気にとられたベルーラは、目をぱちくりさせ間抜けな顔を晒していた。
「それと、触れ合いという意味でも、会うたびにハグをしよう。挨拶の一つと思えば大したことじゃないし、そもそも俺たちは婚姻関係なんだから、不自然なことではないだろ」
キリウから、予想もつかない難易度の高い斜め上の提案が飛び出すと、ベルーラは思わず膝がガクッと抜けそうになった。
必死に体を支えながらも、狼狽えた瞳でキリウを見やる。だが、その視線に応えるかのように、キリウはまるで何事もないかのように微笑んでいた。
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