一途な王子の想いが重すぎる

なかな悠桃

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一途な王子の想いが重すぎる

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―――今年高校に入学し新しい環境やクラスにも少しづつ慣れ違和感を感じなくなった7月。

期末テストも終わり明日から夏休みが始まるため周りのクラスメイトたちは逸る気持ちを抑えきれず休みの予定等話しながら終礼後玄関に向かい帰っていく。

その中、教室の出入口付近で一際目立つ女子の集団が舞衣まいの視界にチラついていた。苛立ちを抑えるためなるべく見ないよう席から立ち上がろうとした時、クラスメイトで中学からの親友、石井真由が舞衣の席の前の椅子に腰掛けた。

「明日から夏休みだっていうのになーに浮かない顔してんのよー」

真由が頬杖を着きながら舞衣を見つめていた。

別にー…と言いかけたと同時に集団の中の女子の声が響く。

「はるー夏休みどっか行こうよー」

クラスの女王様的存在、前野未菜美まえのみなみが甘ったるい声を出しながら中心にいる男子に腕を絡め上目遣いで言うと別の女生徒もさり気なく彼の周りにまとわりつく。渦中の人物はそれらをやんわり解くようにその中心から一歩離れ、

「ごめんね、部活もあるしモデルの仕事もあるから夏休みはなんだかんだ忙しくてー」

困ったように微笑みながら見せる表情は母性本能を擽るかの如く取り巻きの女子たちを魅了した。しかも断られてるのにも関わらず恍惚な表情で彼を見つめている。

稚日野わかひの、相変わらず色気ダダ漏れで女子をノックアウトですなー」

真由はその光景を見ながら腕を組み感心するかのように述べていた。舞衣は真由の言葉に反応せず黙々と帰る準備をし早く帰ろうと鞄を肩に掛けていた。

「そういえば舞衣、稚日野と幼なじみなのにほんと全然しゃべんないよね」

「...家が隣同士で小学校から一緒ってだけで全学年の女子に今まで何回抹殺されそうになったことか…まぁ中学の時からほとんどしゃべってないし触らぬに祟りなしってやつ。」

舞衣はまだクラスにいる生徒達に聞こえないよう真由の耳元で囁きながら返事をした。春との関係は今高校では真由しか知らず、中学の同級生たちはほとんど通わないであろう遠めの公立の高校を受験したため今のところ知られずには済んではいるが...いつ知られてしまうかと思うとヒヤヒヤものなのだ。しかもここを受けることは親と担任と一緒に受けた真由にしか言ってなかったのに受験の日にまさか春がいるとは思いもしなかった。

担任と真由が言うわけないだろうと試験後 親に問いただしたが、春にはもちろん春の両親にも言ってないと言われ、春の母親にやんわり聞いてみると

『モデルの仕事を続けるのにうってつけの学校だったみたい』

にこやかに言われ舞衣は違う高校受ければ良かったーっと当時かなり後悔したものだ。

「おーい、稚日野ーっ」

隣の教室の春と同じバスケ部、佐野が舞衣たちの教室の窓から顔を出し部活に行くのか打診しに来た。

「ごめん、今日はパス」

りょうかーいとヒラヒラと手を挙げながら佐野は別のクラスのバスケ部と体育館の方に向かって行った。

「部活行かないなら今から遊びに行こうよー」

その横で二人のやり取りを見ていた前野が懲りずに腕を回し誘うがこれまたやんわり断られていた。この間同じようなことが繰り広げられたが、春ののらりくらりと交わす態度に苛立ったのか厶スっとした顔で「もういいっ!」と言い放ち教室を出て行ってしまった。取り巻きの女子たちも前野のあとを追うかのように出て行った。

集団がいなくなり、静かになったと同時に高校で仲良くなった森野沙奈が舞衣の教室に慌てて入ってきて舞衣と真由に「お願いー」と言いながら手を合わせて頭を下げてきた。

どうしたのか聞いてみると明日別の高校の男子生徒たちと2×2の合コンがあるらしいのだが、友人が来れなくなってしまいどちらかに来て欲しいということだった。真由は大学生の舞衣の兄、紘輝ひろきと付き合っていて変に誤解されると困るということでパスした。そうなると残るは舞衣しかおらず、

「お願い!お願い!明日会う人の中にバイト先の1コ上の先輩がいるんだけどどーしても進展させたくて」

切羽詰まったように頼まれ、軽く溜め息をつきながらも仕方ないなと「クリームレモンのパンケーキとカフェモカで手を打とう」と沙奈に言告げた。「もちろん!ありがとー!舞衣大好きーっ」とガバッと抱きつかれ嬉々とした表情を向けられた舞衣はやれやれと苦笑いを浮かべた。

そんなやり取りを春は仄昏い光を瞳に宿し目を細め舞衣を見つめていた。



――――――――――――――――
「紘兄め、真由だけ乗せていきやがってー」

舞衣は悪態をつきながら家路へと向かっていた。
明日の段取りを聞き沙奈と別れ、真由と校門を少し出た先で見覚えのある人物が車に寄りかかりながらスマホを弄ってた。

「紘兄!何してんのっ」

舞衣の声に気づき顔を上げ「おー」と手を振りながら二人の元へ近づいてきた。

「明日から休みだろ、真由と今からデートしようかなって」

真由の手を掴み、微笑みながら

「えっ...えっ!?ちょっと紘輝、そんな急に…」

真由は突然のことでいまいち理解出来ずにいると手を引かれ車の方に連れて行かれそうになった。咄嗟に舞衣が真由の服を引っ張り、

「ちょっと紘兄っ、勝手なことしないでよ!今から真由と買い物行くんだから」

「だーめ」

そう言って舞衣が引っ張ってる服を引き離しそのまま助手席に真由を押し込んだ。

「それなら先に家まで送ってよー」

舞衣が口を尖らせて言うと兄は「それはできないんだよねー」と聞こえるか聞こえないかの音量で言いながら運転席に乗り込んだ。舞衣が聞き取れず聞き返そうとすると

「...まっ、とにかく頑張れよー」

と全く意味がわからないセリフを吐かれそのまま走り去ってしまった。

一人残され、はぁー...と溜息を零しながら仕方なく買い物は諦め家に帰ることにした。


電車から降り家路を急いでいると真由からキャラクターが謝ってるスタンプが送られ、『紘兄が悪いんだし気にしないで』と返信したが既読がなかなかつかなかった。


(まぁ、紘兄と一緒だし仕方ないか…それより明日何着てこうかなー)
なんてブツブツ考えながら歩いていると

「...ぃ....おい.....おいっ」

「おいっ!そこのちんちくりんっ!」

後ろからでかい声で叫ばれ舞衣はビクッと身体を強張らせ、恐る恐る振り向くと教室でのキラキラ天使のような微笑みは微塵も感じられず仏頂面の王子春がこちらを睨みつけるように後ろから近づいてきた。

「……

「うるせーな、いいんだよ」


あの爽やかイケメン王子はどこへやら...まさかまさかのこの王子の実態は腹黒王子ときてる。しかも何故か絶賛不機嫌中。この本性を知ってるのが舞衣だけで舞衣の両親も兄すらも知らないのだからほんとに厄介だ。
この正体を知ったのは小学校低学年の時で、

『いつもニコニコしてて疲れないの?はるくん、楽しそうに見えないのに、いーっつも笑ってるね』


舞衣の何気ない一言が彼の豹変スイッチを出現させてしまったのだ。


『はっ?ニコニコしてる方が近所のおばさんとかからお菓子貰えるし色々と得するんだよ。にしてもお前、このこと言うなよ、言ったらお前がこの前トイレに間に合わなくて漏らしたこと言うからな』

『...いっ言わないよなっ!?ってなんで知って...あーっ!もしかして紘兄ちゃん』
(内緒にしてって言ったのにー)

青くなったり赤くなったりしている舞衣の傍らで天使から悪魔に変貌した春はニヤリと笑い舞衣の胸倉を掴み顔を近づけた。

舞衣は初めてこんな春を目の当たりにしビックリはしたが不思議と嫌悪感などといったマイナスの感情は芽生えなかった。逆に使い分け出来る春を少し尊敬の眼差しで見つめていたほどだ。たった10年程度しか生きてないのに既に処世術を身につけてるとは...それから疎遠になるまで春は二人で遊んでいる時舞衣の前でだけこの腹黒王子の状態でいることが多くなっていた。


「着いてこないでよ」
「はっ?方向一緒なんだから仕方ねーだろ」
「もうちょっと離れて歩いてよ」
「うるせーお前が離れろブス」

お互い悪態をつきながら家路へと向かう。久しぶりに春と並んで帰るのはむず痒さと緊張でぎこちなかったが家が近づくにつれ昔のようなやり取りが自然と出てきていた。気がつくと急ぎ足で歩いたため割と早めに家に着き、ホッとしたと同時に少し残念な気持ちになりながら鞄に入れておいた鍵を出そうと手を入れた。

「んっ?あれっ?」

今朝家を出る前に入れといたはずの鍵が見つからない。今週はたまたま父も母も長期出張で留守のため鍵を持ち歩いていた。今朝もいつも通り鍵を持ったはずなのだが...とりあえず電話に出てくれるかわからないが兄に連絡を取ろうとした時、背後から春に手首を捕まれ舞衣はよろめきながら春の自宅へと引っ張られていった。

「ちょっ、ちょっと何なのよっ」

ビックリした舞衣は掴まれた手を振り払おうとしたが、力強く握られていたためビクともしない。

「...鍵ねーんだろ、紘兄帰ってくるまでうちで待たせてやるから来い」

そう言って、有無も言わさずに舞衣をそのままダイニングテーブルの椅子に座らせた。

(春ん家来たの何年ぶりだろ.....)

久しぶりの稚日野家に変な緊張感でいっぱいになり、辺りをキョロキョロと見渡してしまった。小学校の低学年まではお互いの家を行き来したりもしたが、小学校高学年の時、春がモデル事務所からスカウトされ、更に周りの女子たちに騒がれだしたあたりから一緒にいることが少なくなっていった。中学に上がってからは紘輝とは直々遊んでいたようだが舞衣とは学校でたまにすれ違う程度でそれ以外で会うことはなく年を追うごとに疎遠になっていった。


キッチンから春がアイスティーを運んできて舞衣の前に置いた。

一応お礼をと「...ありがと」と言うと短く「あぁ...」とだけ返ってきて変な沈黙になってしまった。

(...黙ってたら確かにかっこいいんだよな)

近くのソファに片膝を立てながら座ってテレビを観ている春の横顔をふと見ながら舞衣は思わず見惚れてしまう。

(.......いやっいやっ何見惚れちゃってんのよ!)

我に返った舞衣はもらったアイスティーを口に含んだ。

別に嫌いになって離れたわけじゃない、寧ろ幼い頃は春に淡い恋心を抱いていた。みんなが知らない春の一面を自分だけが知っている優越感さえあった。ただ周りの女子たちはそんな舞衣を疎ましく思い、


『不釣り合い』

『稚日野くんの傍にいるなんて図々しい』

など影で言われ、時には呼び出され直接言ってくる女子もいた。こんなことが何度か続き、いつしか自分は春の傍にいるべき人間ではないんだと思うようになっていった。

「...お前明日合コン行くのか?」

こちらを見ずテレビの方向のまま急に春が話しかけてきた。なんで知ってるんだ?!と思ったが確か教室にいたなと思い出し、

「まぁ、頼まれちゃったし予定もなかったしね」

舞衣はアイスティーをまた一口飲んだ。

「ふーん」と気のない返事が返ってきてまた沈黙に包まれてしまった。

普段春とこんなにがっつりと一緒にいることなどここ数年なかったし隣の家とはいえ春になるべく会わないよう通学時間も早めに出ていたため共通の会話もなく居心地悪くしていると、

(...そういえば紘兄に連絡してないや)

春にいきなり連れて来られ気が動転していたが、兄に連絡しなきゃと思い鞄に手を伸ばした時、

(アレっ?...なんか頭がボーっとして..くる...な...なん...か...眠くなって...)

頭の中がグラグラと揺れ、急激な眠気に襲われ舞衣はそのまま倒れるように目を閉じテーブルに突っ伏してしまった。

その様子をソファ越しに見ていた春は眠っている舞衣の傍に近づき頭を撫で薄笑を浮かべながら耳元に口づけし囁く。

「もう



――――――――――――――――
「.....ん、んんー」

目を薄ら開けると舞衣は薄暗い部屋のベッドに寝かされていた。カーテンは閉ざされていたが隙間から残光が見え夕暮れ時なのだと呆けた頭で理解した。

いつの間に眠ってしまったんだろ?と起き上がろうとした瞬間、舞衣は自分が置かれてる現状に目を見張った。


(何これ?!)

我に返ると両手首を後ろに縛られていた。足は辛うじて何もされてはいなかったが、着ていた制服は全て脱がされ下着だけになっていた。

舞衣はパニックになった頭をどうにか落ち着かせようとしたが、全く脳がついてこない。

(さっきまでリビングで春といて...そしたら急に眠気に襲われて...)


ガチャ...

舞衣が朦朧とした頭をフル回転させていると部屋のドアがゆっくり開き、薄暗い部屋に春が入ってきた。

「ちょっと何の冗談よっ!コレ外してよっ!」

舞衣が怒りながらなんとか解こうと手首を動かしていると春がベッドに座り、黙ったまま横になって藻掻いている舞衣の頬に冷たい指先が触れてきた。

「や...やめてっ!」

びくっと舞衣の身体が反応し恥ずかしさで居た堪れず顔を背ける体勢を取るとぐいっと肩を掴まれ春の両手が舞衣の両頬を挟み、覆い被さり顔が近づいてきた。

「……っぁ、……ん、…んっ…ゃめ.....」

啄むように角度を変えながら何度も唇が重なり合い、時折春の舌先が舞衣の固く閉じた唇を舐めあげる。両手を縛られている為抵抗できず、只只身体を春から逃れようとくねらせるのが精一杯だった。

「...舞衣、口開けろ」

ぎゅっと閉じていた眼を薄ら開け見上げると思わずゾクッとする程の色香を放つ春が舞衣の瞳を艶めかしく覗いていた。

「ふっ...ふざけないで!こんなの冗談でも許さ...っん!!」

春は舞衣の言葉を遮るように唇を押し付け喋らせないよう塞いだ。

春の唇が一旦離れ、舞衣の瞼、頬とチュッチュッと軽く口づけをし、舞衣の漏れる吐息を塞ぐようにまた春の唇が重なる。先程のキスとは違い、薄ら開いた口許から彼の熱い舌が侵入し口腔内を這いずり回る。酸欠状態になりながらも舞衣は舌を引っ込めようとしたが、逃がすまいと深くまで入り込み春との舌が絡み合う。湿っぽい水音が部屋に響き渡り、舞衣の口の端からはどちらとも言えない唾液がつつ...と流れ出た。それを愛しそうに舐め上げ、舞衣を抱き締めた。

舞衣にとってのファーストキスはもっと甘酸っぱく淡い気持ちでいっぱいになると思ってたのにまさか疎遠になった幼なじみと、貪るように激しく...しかも強引に奪われるとは考えもしなかった。

唇が離れたことで一気に空気を吸い込み噎せそうになり朦朧としながらも僅かに残った意識でキッと春を睨んだ。そこには外で見る王子のような表情でも舞衣が知ってる意地悪な表情でもなく恍惚とした表情を浮かべ今にも蕩けそう瞳を舞衣に向けていた。

春は舞衣の額に張りついた前髪を指で横に流し口づけをした。

「…俺から離れるなんて許さないから」

「ちょっと、何言っ…ひゃっ」

舞衣の首筋に唇を這わせ強く吸い上げる。。

「…ん…あっ…はぁ…」

チクッとした痛みに舞衣は身悶える。出したくないのに自分でも初めて聞くような声色がどんどん漏れ出し羞恥心でいっぱいになっていた。その間、唇はどんどん降下し身体中至る所を吸い上げ朱い刻印を刻んでいく。同時に春の左手は舞衣の胸元に伸び下着の上からやわやわと揉みしだく。

「服着てるとわかんなかったけど結構あるんだな」

口角を上げ、先ほどの顔とはまた違う雄の猛々しさを孕んだ瞳を前に舞衣はカッと顔が熱くなる。

「も...やだ…...あっ...ん」

舞衣が首を横に振り拒むが、ブラジャーを下にずらされ露わになったふくよかな両胸を手と舌が攻め立ててくる。

「んぁ、あ、…っん…だ、だめ…」

春の大きな掌で包むように揉まれるかと思えば、指先で硬くなった先端をクニクニ抓まれ弄ばれる。もう片方の胸は中心を避けるように舌先で回りを舐め上げられる。舞衣は春から与えられる初めての快楽に悶え上擦った声を漏らしていく。

「はぁ…舞衣の乳首ビンビンに勃起しててかわいい…」

乳房を舐め上げていた舌が離れるとパクっと熱い咥内に包まれた。尖らせた舌で先端をチロチロと舐められ、かと思えば強く吸われ、漏れ出る声を噛み殺すかのように下唇をギュッと噛み締める。

「噛んだら傷になるぞ」

春は胸から口を一旦離し、舞衣の唇に軽くキスをした。

「舞衣...俺がなんでこんなことしてるかわかる?」

思考が停止している状態の中、話しかけられ舞衣は力なく首を横に振る。わかるわけがない、今までそういった素振りもなく女性に何不自由ないであろう彼にまさか自分がこんな仕打ちを受けるなんて知るはずもない。しかもついさっき数年ぶりに会話した程度の仲だ。

「俺さ、舞衣のこと見てたよ。小学校の時からずっとね...それなのにお前は俺からどんどん離れてく...俺のモノなのに...」

舞衣の髪を撫でながら学校で見る爽やかな笑顔で微笑んだかと思えば次の瞬間、能面のような冷たい表情に変わり掴んだ舞衣の髪を口に挟み舐め上げる。舞衣はその変わり身に背筋が凍るほどの怯えを感じた。

「は、春...やめ 「小一の時、俺のこと好き?って聞いたら、好きって言ってくれたよな。あん時すげー嬉しくてさ、舞衣も俺と一緒なんだって。モデルだって舞衣にかっこいいとこ見せたくて始めて.....でもその辺からだよな、舞衣が俺から離れていったの」

「痛っ」

春が舞衣の鎖骨の辺りに歯をたて白い肌を紅く色付かせる。

「だからもう我慢するのやめたから」

厭らしく笑みを浮かべながら下腹部に手が伸びていく。舞衣は咄嗟に足を閉じようとしたが、春が足の間にいるためピッタリと閉じることができない。


「春っ!やっ...ほんともういい加減に...」

「あれっ?でもさー、濡れてるよ?」

下着越しに膨らんだ場所を掠めるように指が行き来し、濡れている部分に指を押し付ける。舞衣は恥ずかしさと疼きで気が触れそうになり息が荒くなっていく。

「あっ、は...ぁぁ...んくっ...」

春の指がクロッチ部分から入り込み、直に小さな突起をコリコリと弄られ舞衣の身体は痙攣を起こしたかのようにビクビクと小刻みに震え上がる。

「舞衣キモチいい?初めてだから痛くならないように色々とほぐさなきゃな」

春は舞衣のショーツに手をかけ一気に下ろし両膝をM字に開かれ、溢れ出ている蜜口に中指をゆっくり沈めゆっくりと抜いていくを繰り返していた。くちゅくちゅと厭らしい水音が静かな部屋に鳴り響き舞衣は耳を塞ぎたい気持ちでいっぱいだった。

もう限界だ。わけもわからず、春に翻弄され心と身体のバランスが取れずプツリと糸が切れたかのように舞衣は嗚咽を漏らし涙が目尻から流れ出ていた。春は驚き咄嗟に指を引き抜いた。舞衣を抱き起こしシーツを舞衣の身体に巻き付けぎゅっと抱き締めた。

「舞衣っ...ごめん......泣かすつもりじゃなかったんだ」

春は抱き締めながら後ろ手に縛った腕を解放した。先ほど暴れたせいで白く細い手首に赤く痕がついていた。

「は、...はる...話...聞い...て...く...れる?」

舞衣は呼吸を整えながら話し、春は身体を離し頷いた。

「...私ね、春の傍にいるの苦しかった...女の子たちの目もあったってのもあるけど私自身、春の隣にいるのは不釣り合いなんじゃないかって。モデルの仕事始めてから春の周りにはかわいい子や綺麗な子がいるようになってたし自分とは違うんだって、好きになっちゃいけない人なんだって思い知ったの、だから距離をと...」

「意味わかんねーよ」

春は舞衣を自分の胸元に引き寄せた。

「んだよそれ...俺はお前にもっと好きになってもらいたくて...かっこいいって思われたくてやってきたのに....」

春は舞衣の流れる涙をペロっと舐め、

「こんなことして赦されることじゃないし、お前に嫌われても仕方ないけど...やっぱ好きだから。傍にいて...お願いだから俺からもう離れないで」

まるで捨てられた仔犬のように縋り付くような眼差しで見つめられ、舞衣はそっと春の頬に手を添えた。

「バカ春」

そう言いながら春の頬をむにっと引っ張りお互い笑いあいながらゆっくりと唇を重ね合わせた。

春のやった行為は決して赦せないけど、自分があの時ちゃんと向き合って話しさえしていればこんなことにはならなかったのかなと舞衣は思うようになっていた。

「ほんとにゴメン、もう色々と限界だったんだ...俺のこと嫌いになった?もう俺に触られるの嫌か?」

先ほどまで狂気に満ちていた男の欠片もなくなってしまった幼なじみにふふっと笑みが零れ、首を横に振った。

「...でもそろそろおばさんたち帰ってくるんじゃ」

舞衣はついさっきまでの行為を思い出し顔が熱くなり俯き加減でモジモジしていた。そんな舞衣に春は額に軽く口づけし、ニヤリと厭らしくほくそ笑む。

「実は今日さ、親父とお袋に温泉の宿泊チケット渡してあるんだよね、だから今日家にいるのは俺だけ」

「へっ?」

「ここまでくるのに意外と時間かかったよなー、まぁ紘兄に中村家のおじさんたちの予定は聞いてたしあとはうちの親をなんとかするのとお前が一人になった時拉致れればよかったんだけど、石井が邪魔でさー」

まっ、紘兄に協力してもらったから結果オーライだったけどな、ははー.....って計画犯罪じゃんか!!しかもさっきまでの捨てられた仔犬の顔どこいったーーっ!!

「ん?紘兄が協力したってことは家のか...」

言いかけたところで春の唇が重なり、啄むようなキスからだんだんと甘く淫らなキスに舞衣を翻弄させていく。

「もう我慢できない...」

春は舞衣の身体に巻いてあったシーツを剥ぎ取りベッドに押し倒し馬乗りになって上半身の服を脱ぐ。モデルの仕事をしてるだけあって無駄のない引き締まった身体つきに舞衣は魅入ってしまった。

「何ジロジロ見てんだよ、舞衣のえっちー」

「なっ!!」

「あっ、そうそう明日の合コン断っといたから。まぁ、ちゃんと手は打ってあるから気にすんな。」

いつの間に!?と唖然としていると

「まさか気持ち通じあった次の日に行くわけねーよな」と胸の先端を歯で甘噛みされ、舞衣は荒い息遣いを我慢できず漏れ出していた。

下腹部は舞衣自身もわかる程じっとりと濡れ、蜜が溢れ出し初めてなのにこんなに感じてしまうなんてもしかしたら自分は厭らしい人間なんじゃないかと思うくらい濡れていた。

「指入れるぞ」

「ふぁ.....んは.....ぁあ...ぁ」

気持ちが通じあってからの行為は先ほどとは比べものにならないくらい心も身体も蕩け、ただ春から与えられる快楽に身を委ねていた。

「...はぁ...舞衣、もう一本増やすな」

くちゅりともう一本の指が増え先ほどの比じゃない圧迫感で舞衣の下半身は疼き気が遠くなりそうになるのを必死に耐えていた。

「...やっぱキツいな...ギュウギュウ締め付けて...指持ってかれそ」

膣壁をなぞるようにナカで動かしそのたびに蜜が零れる。苦しさと押し寄せる快楽で舞衣は小刻みに震え春にキスを強請る。春に触れられるたび至る所が性感帯になってしまうかのように過敏に反応し舞衣は端ない声を上げてしまう。そんな婀娜めく舞衣を春は愛おしげな眼差しで見つめていた。

「...っは...もう色々とヤバいかも......そろそろいい?」

舞衣はこくんと頷き、その合図で春はスラックスと一緒にボクサーパンツも一気に脱いだ。スラックスのポケットから正方形の小さな袋を取り出し歯でちぎる。恥ずかしながらも春の下半身にちらっと目をやるとお腹につきそうなくらい反り立つ隆々しい陰茎に先ほどのモノを手際よく被せていた。

初めて見る陰茎に固まってしまったが、「恥ずかしいからあんま見んな」と顔を横に背け少し赤くなっている春を愛おしく怖さが薄らいだ。

「舞衣...俺のちょっとキツいかもしんないけど痛かったら爪立てても噛み付いてもいいから。それでも痛かったら止める.........努力します。」

「歯切れ悪いなー」

クスっと笑う舞衣に軽くキスをし少しづつ入口を擦りながら猛りを入れていく。

「もう少し力抜いて」

「...あっ...ん、むっ無理だ...よ、いっ痛いっ」

「舞衣、口開けて」

言われた通り口を開けると春の舌が入って舞衣の舌を吸い上げる。それと同時に春はズズっと陰茎をゆっくり押し広げながら入れていき、奥へと進んでいく。

「はー...ヤバい...気持ち良すぎ。舞衣大丈夫か?」

春とのキスで最初ほど痛みは気にならなくはなったが、自分のナカに感じたことのない異物感で下半身に違和感を感じていた。

「なんか変な感じするけど大丈夫だよ」

見上げると汗ばんだ春が苦しそうな表情を浮かべ、「ちょっと動くな」そう言い、舞衣の腰をグッと掴みゆっくりと抽挿し始める。

「...あっ.....ふっ.......んんー」

グチュグチュと卑猥な水音が響き徐々に腰の動きが激しくなる。ベッドのギシギシと軋む音が動きと共に激しく鳴り響く。

「も.....ぅ.....んっ...は..る....すき....」

通常の思考がショートしてしまってるのか普段絶対に言われない言葉を口にしてしまったが不思議と恥ずかしさはなく、逆に『もっともっと』と感情が昂ぶる。


「...はー...舞衣.....それ煽ってる?...マジでヤバいから。もうやめてって言っても無理だからな」


一度引き抜きかけたところで一気に最奥へと貫く。舞衣はあまりの衝撃に反り返り膣内をビクつかせ春の陰茎をギュウギュウと締め付ける。

「一回イかせて」

春の抽挿が更に激しくなり舞衣の身体は揺さぶられ春にしがみつく。

「舞衣っ.....舞衣.....もう...っん.......イ...くっ」

「あ.....んっ.....っふ、あっ」

春の唇が強く重なり、お互い酸欠になりそうなくらいのキスをしながら春が腰を強く突き上げブルっと震えた。ナカで春のモノが膨らみ薄膜越しに白濁を吐き出した。


☆☆☆
「...わりぃ.....初めてだったのに.....」

ずるりと舞衣のナカから離れ手際よく処理していく。それをぼーっとしながら舞衣は見つめていた。

片付け終わった春は舞衣の横に寝そべり自分の胸元に引き寄せ抱き締めた。

「はー...長かったなー。やっとこれで一緒にいられるな。」

春が照れくさそうにしていると舞衣がガバッと起き上がりシーツで自分の胸元を隠すように正座した。

「舞衣?」

「私らが付き合うのは誰にも内緒だからね、学校でも今までと同じだから話しかけないでね。」

ニコッと話す舞衣に唖然とし、春も起き上がり舞衣の前に同じよう正座する。

「はっ?何でだよ!!意味わかんねー!!」

前のめりで言う春を宥めながら

「だってこんなことバレたら私の高校生活が地獄と化しちゃう」



春は溜息をつき渋々了承したが、そのことで舞衣は自分の首を絞める形なるとはこの時はまだ知らなかったのでした。


――――――Fin――
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