公爵家の養女

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第一章

出逢い

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 音楽祭の目玉ともあり、広場には大勢の舞台を観覧に来た客で溢れかえっていた。

 四方八方、人に囲まれており歩くのもやっとの状態。



 「リーナ。逸れないようにちゃんとついて来るんだぞ」

  

 隣を歩くシュタインに「う、うん……!」と返事をするも、人を避けるのに精一杯なリーナ。

 少しでも気を抜くと、逸れてしまいそうになるため、何とか逸れないようにと全神経を集中させ、一歩前を歩くエーデルと隣を歩くシュタインについて行く。
 

 その時、突如前方の方が騒がしくなったかと思えば、勢いよく人の波が押し寄せ、リーナを飲み込む。



 「わぁっ……!」

 「リーナ!?」



 つい先程まで隣を歩いていたはずのリーナの姿はどこにもなく、シュタインは辺りを見渡しながら「兄貴! リーナが!!」と少し先を歩くエーデルに、リーナがいなくなった事を伝える。



 「ついさっきまで隣を歩いていたんだけど、人の波に飲み込まれて……」



 焦ったように言うシュタインの話に続け、リーナとシュタインの後ろを歩いていた、騎士団団長、副団長も「直ぐに我々も確認したのですが、人が押し寄せてしまい……申し訳ありません」と頭を下げる。

 そんな三人に、エーデルは少し焦ったように、だが冷静に「まだ、近くにいるはずだ。手分けして探そう」と指示を出す。



 「――やってしまったわ」



 それはほんの一瞬の出来事だった。

 何とか逸れないようにと、集中してエーデルたちについて行っていたと言うのに、突如、押し寄せて来た人の波に抗う術もなく、エーデルとシュタインの元を逸れてしまったリーナ。


 幸い、押し出された先は、少し開けた場所になっており、怪我をせずに済んだものの、この人の多さの中、再度入って行きエーデルたちを探すのは至難の業。

 それに、余計に大変な事になりかねないと、リーナはその場で大人しく待機することにした。


 のは良いものの、一向にエーデルやシュタインらしき人物が現れる事はなく、一気にリーナを不安が襲う。



 (やっぱり、私も探しに行った方がいいのかしら? でも、逸れた場所から近いはずだし、あまり下手に動かない方がいいわよね……?)



 どうしたものかと、頭を悩ませるリーナ。

 とりあえず、少しだけ場所を移動してみようと歩き出そうとした時だった。



 「こんばんは~」



 突如、背後から声がし、振り返るとそこにはお酒を片手に持った、三人の男性が立っていた。

 リーナの顔を見ると、真ん中に立つ男性が「うわぁ……まじで超美人じゃん……!」と呂律が回らない口調で、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべ言う。


 その様子を見たリーナは、少し身構え、後退りをする。

 そんなリーナの顔を見、更に男たちは「うわっ、紫色の目してんだけど! 初めて見た!」「本当だ。身なりも綺麗だし、いい所の子だろ?」とケラケラと笑っている。



 (何がそんなにおかしいの……?)



 リーナはグッと手に力を入れると「あの……私急いでるんで……」と男達から離れようとする。

 だが、一人の男に腕を掴まれ「そんな急ぐなよお嬢さん」と止められてしまう。



 「まだ話終わってないだろ?」

 「やめて! 離して!」



 そう声を上げ、必死に抵抗するもびくともせず、周りには広場へと向かう人が大勢いるが、気づいていないのか、はたまた気づいているが関わりたくないのか、誰も男たちを止めようとはしない。

 

 「こんな遅くに、女が一人で町にいるとどうなるか、その身で教えてやるよ」



 そう言ってリーナを囲む男たちに、必死に抵抗しようとするリーナ。

 だが、恐怖で体が強張り、声を出そうにも出せない。


 その時だった。



 「誰が何を教えるって?」



 少し幼さを残した、低く、突き刺すような声が聞こえて来たかと思えば、リーナを囲む男三人よりも背が低い、恐らくエーデルと同い年くらいであろう少年が、立っていた。

 リーナは突然現れた少年に(誰……?)と警戒する。



 「生憎、人に何かを教えられるような者には見えないけど」



 そう男たちを挑発するように、眉を顰め笑みを浮かべる少年に、男たちは「はぁ? 何だこのクソガキ」「子どもが調子に乗るなよ」と少年を睨みつける。
 


 「別に、調子に乗った覚えはないけど。俺はただ、見たまんまを言っただけだ」



 更に煽るような事を、平然とした態度で言う少年に、男たちは頭に来たのか「このガキ、言わせておけば……!」「殺してやる!!」と三人がかりで、少年に向かい、殴りかかろうとする。


 その殺伐とした雰囲気を察知し、周りにいる人たちは、立ち止まり傍観し、誰も男たちを止めようとはしない。

 少年相手に大人の男三人では、少年が危ない。


 リーナは「やめて……!」と咄嗟に声を上げ、役には立たないが、三人を止めに行こうと一歩足を踏み出す。

 だが、それは無意味な行動だったと直ぐに分かる。



 少年に襲いかかった男三人は、見事に少年に返り討ちをされてしまったからだ。

 それは、瞬きをするよりも一瞬の出来事で、リーナは唖然としながら、少年によりその場に伸びてしまった男たちを見つめる。


 周りにいた傍観していた人たちも、何が起きたのか理解が追いついていないのか、驚いた表情を浮かべ、ただその場に立ち尽くしている。



 「お嬢さん、怪我はないですか?」



 唖然として立つリーナの元に、突如、声がかけられたかと思えば、リーナの事を助けてくれた少年が直ぐ目の前におり、心配そうにリーナの顔を覗き込んでいた。

 どうやら男たちを見、立ち尽くしているのを見て、心配してくれたようだ。



 リーナは「……あ」と少年を見ると「助けてくださりありがとうございます。おかげで、どこも怪我をせずにすみました」とお礼を言う。

 すると、少年は「良かった」と安堵したように、柔らかい笑みを浮かべる。


 その表情は、先程まで男たちに向けていた冷めた表情とは違い、とても暖かく優しいもので、思わずリーナはドキッとしてしまう。



 (エーデルとシュタインも整った顔立ちをしているけれど、彼も凄く整った顔立ちをしているわね……)



 漆黒の髪に、黄金色の垂れるまではいかないが優しい目元をした、大人っぽくも幼さを残す少年。

 少年は恐ろしく整った顔立ちをしており、まるで人が作り出したかのようだ。


 そんな少年を見て、リーナは(……何処かで会った事がある気がするんだけどな)と考える。


 あまりにも見つめてくるリーナに対し、少年は困ったように少し照れながら「……あの、俺の顔に何かついてますか?」と尋ねる。



 「え……あ! ご、ごめんなさい……!」



 リーナは慌てて少年から視線を逸らすと、少年も「……いえ」と口元に手を当て、視線を逸らす。



 「……そう言えば、どうしてお一人でここに? 付き添いの者と一緒じゃないのですか?」



 少年の言葉に、リーナは「そうだったわ……!」と、自身が今、エーデルたちと逸れてしまっている状況だと思い出す。



 「実は、義兄弟たちと一緒に祭りに来ていたのですが、広場までに行く道で、人の波にのまれてしまい逸れてしまったんです……」



 そう少し赤くなった頰に手を当て、恥ずかしそうに少年に何故一人なのかを話すリーナ。

 リーナの話を聞いた少年は「物凄い人の数ですもんね。今年は特に、他国の有名な音楽団がくるとかで、いつにも増して多いみたいですよ」と言う。



 「詳しいですね。音楽祭にはよく来られているんですか?」

 「そうですね。毎年、妹に連れて行けとせがまれ来てます」

 「まぁ……! ご兄妹とても仲がよろしいのですね! 素敵です」



 リーナの言葉に、少年は「そうなんですかね」と眉を顰め笑うと「お嬢さんは?」と問いかける。


 
 「私は今年初めて、義兄たちに連れて来てもらったんです。ずっと来たかったこともあって、それに義兄弟たちも一緒で凄く楽しいです」



 そう嬉しそうに笑みを浮かべるリーナを見つめる少年。

 そんな少年の視線に気がついたリーナは「あ、ごめんなさい。長々と……」と慌てたように言うと、少年は「いえ」と首を横に振ると優しく笑み浮かべる。



 「……兄弟仲が良いようで何よりです」

 「え……?」



 少年の言った言葉に疑問を持つリーナ。

 その時、何処からか「リーナー!! 何処だー!!」と叫ぶシュタインの声が聞こえてくる。



 「今の、シュタインの……私の義弟の声です!」

 「良かった。無事に会えそうですね」



 そうホッとしたように言う少年に、リーナは「そう言えば! まだ名前を聞いていませんでしたね。何かお礼をしたいので、お聞きしても?」と問う。

 だが少年は「お礼だなんて。大した事はしていませんよ」と首を横に振る。



 「それに、またお会いすると思うので、自己紹介はその時に」

 「え?」



 少年がそう言ったと同時に「あ! リーナいた!!」と言うシュタインの声がし、リーナは後ろを振り返る。

 そこには額から汗をかいているシュタインと、エーデル、それから騎士団長、副団長の姿があった。


 騎士団長と副団長が「見つかって良かった……」と安堵の表情を浮かべる横で、シュタインは「ったく、心配したんだからな!」と怒っている。

 リーナは「ごめんなさい……次は気をつけるわ」と眉を八の字にし謝る。



 「人の多さを甘く見ていた俺の責任だ。……どうした? キョロキョロと辺りを見渡して」



 先程から辺りを見渡すリーナに、不思議そうにそう尋ねるエーデル。

 リーナは「……助けてくれた人が一緒にいたんだけど……いつの間にかいなくなっていて……」と返す。


 すると「助けてくれた……?」とエーデルの声が低くなる。

 その声を聞き、リーナがハッとしたのも束の間、エーデルは「何かあったのか?」と眉を顰め、リーナに問いかける。

 そんなエーデルに慌てた様子で「た、大した事じゃないわよ……?」と言うも、エーデルの視線に負け、あった事を全てリーナは話す。


 リーナから話を聞いているエーデルの表情はおっかなくなっていき、声も更に低くなっていく。
 
 まるでリーナが悪い事をし、尋問を受けているかのような重い空気に、リーナは耐えられず「で、でもその方が助けてくれたおかげで、なんとも無かったから安心して……?」と笑み浮かべてみる。


 恐らく引き攣ったリーナの笑みを、じっと見るエーデルは「その男たちの特徴を、余す事なく全て教えろ。」と言うので、リーナは「い、一応聞くけど、聞いてどうするの?」と問う。


 エーデルは真顔で「ヴァンディリアの力を全て使い必ず探し出し、生まれて来た事を後悔させてやる」と答える。

 

 「ラインハルト、バルドゥール」



 エーデルが騎士二人の名前を呼ぶと、二人は「はい、エーデル様」と答え、エーデルは「リーナから特徴を聞き、それらしき人物を探せ」と命令する。

 そんなエーデルの事をすかさず「だ、大丈夫よ、エーデル! そこまでしなくても!」とエーデルの服の袖を掴み止めるリーナ。


 
 「どうしてだ? その少年が来なければ、お前は危ない目にあっていたのかもしれないんだぞ」

 「そうだけど、助けてくれて何もされなかったし、その方が返り討ちにしてくれたから、スッキリしたし!」



 リーナは「それに……」と話を続けると、エーデルの服の袖を掴む力を強め「せっかくエーデルとシュタインと音楽祭に来たんだから、皆んなでもっと音楽祭を楽しみたいの」とエーデルを見つめ言う。

 そして「お願い」と首を傾けると、エーデルは一瞬固まったかと思えば、物凄く長く深いため息をつき「……その少年に感謝しないとな」と言う。


 その言葉にリーナはホッと胸を撫で下ろすと、二人のやり取りを見ていたシュタインが「すっげ。リーナのお願いが、兄貴の怒りに勝った」と驚いた表情を浮かべる。

 そんなシュタインをエーデルは「うるさい」と睨みつける。



 (何とか、エーデルの怒りを抑える事ができたみたい……。あの男性たちは腹立たしいけど、せっかくエーデルとシュタインが誘ってくれたから、悪い思い出で終わらせたく無かった)

 (それに、あの人が返り討ちにしてくれて、スッキリしたのは事実だしね)



 リーナは先程、助けてくれた少年の事を思い出し、後ろを振り返る。



 (何処かで会ったことがある気がするんだけど、思い出せないって事は、きっと気のせいよね……?)

 (だって、あんなに整って、特徴的な瞳の色の人一度会っていれば、忘れるはずないもの……)



 リーナがそう考えていると、エーデルが「どうした? ぼーっとして。舞台観に行かないのか?」と声をかけてくる。



 「ううん! 行きましょう!」



 そう言って歩き出そうとするリーナに、エーデルは手を差し出すと「……また逸れるといけないからな」と少しぶっきらぼうに言うので、リーナは驚きながらも、直ぐにふふッと笑みを浮かべ、エーデルの手に自分の手を乗せる。

 そしてシュタインの方を向くと「シュタインも!」と、今度はリーナがシュタインに空いている方の手を差し出す。


 シュタインは「はっ……! 繋がないよ!」と顔を赤くし、拒否するも、リーナに「お願い」と言われ、渋々リーナの手に自身の手を乗せる。



 「これで安心ね」



 恥ずかしさはあるが、エーデルとシュタインに挟まれ、嬉しそうにするリーナを見て、エーデルもシュタインもははッと笑い、仲良く手を繋ぐ三人を見て、騎士団長と副団長も顔を見合わせ、微笑ましそうに笑うのだった。
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