公爵家の養女

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第一章

昼食

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 「後もう一人、今日ヴァンディリア公爵様にご紹介したい者がいたのですが、どうにも見当たらなくて」



 困ったように言う大司教に、公爵は「あぁ……ナハト彼と同じく、若くで助祭になったと言う方ですか?」と問いかける。



 「えぇ……また次回、お会いした時にでも紹介させて頂くとします。他にも祝福の儀を予定しておりますので、我々はこれで失礼いたします。是非、ゆっくりと過ごされて行ってくださいね」



 大司教とナハトは、そうリーナたちに告げると歩いて行く。

 その様子を見て、ほっと息を吐くリーナの横で、シュタインは「そう言えばグランべセル公爵は一緒じゃないの?」とリヒトたちに問いかける。


 リヒトは「あぁ。どうしても外せない用があるみたいで」と頷く。


 大事な祝福の儀を行うのに、外せない用とは一体何だろうかと、少し疑問に思うものの、リーナは考えないようにする。

 ヴァンディリア公爵も、その忙しさからよく、家を留守にしているし、今日も前々から日程を調節してくれていたおかげで、公爵も一緒に祝福の儀へと来る事ができたのだ。


 グランべセルの公爵が来ていないと知り、ヴァンディリア公爵は顎に手を当てると「なら、私たちと一緒に昼食を取らないかい?」と提案するのだった。

 祝福の儀を終えた後、皆んなで外で昼食を取ろうと約束していたリーナたち。


 公爵の提案に、エミリアは「楽しそう……!」と目を輝かせるが、リヒトは「良いんですか? 家族団欒の場に俺たちがお邪魔しちゃっても……」と何処か遠慮気味だ。

 そんなリヒトにシュタインは「俺は良いよ」と答える。



 「俺も構わない」

 「わ、私も!」



 力強く頷くリーナを見て、公爵は「私たちは構わないよ。君たちがどうかな?」と優しく問いかける。

 エミリアはリヒトに、期待の眼差しを向けると、リヒトは「それじゃあ、俺とエミリアもお邪魔させて頂きます」と頷く。



 「皆んなで外食だなんて初めてじゃん! すげぇ楽しみ!」



 皆んなでの外食が決まり、先ほどまで怯えていたとは思えないほど、ご機嫌になったシュタインを見て、リーナは安心する。







 「――お待ちしておりました。ヴァンディリア公爵家の皆様」



 神聖国から出て来た一行は、公爵が予約していたレストランへとやって来ていた。

 ヴァンディリア公爵夫人が生きていた時に、よく家族皆んなで来ていたらしいそのレストランは、個室になっており、優雅な音楽が流れ、何とも居心地が良い。


 店内を見渡していると、隣を歩くシュタインが「リーナは初めてだよな?」と声をかけて来る。

 リーナは「うん」と頷くも、実は回帰前に一度だけ、エーデルとシュタインに連れられて来た事があった。


 あまり仲良くなく、婚約が決まって直ぐだったため凄く気まずかった事を思い出す。

 けれど、初めてのエーデルとシュタインとの外食が嬉しかったのも事実。


 席に着くなり、シュタインが「俺、リーナの隣が良い!」と言うと、エミリアも「リーナの隣は私よ!」と対抗する。

 そんな二人のやり取りを苦笑しながら、二人が隣に座れるように、真ん中の席に着くリーナ。

 そして、シュタインとエミリアに隣に座るよう言おうとした時。

 シュタインとエミリアの言い合いが聞こえていないのか、エーデルとリヒトは何も言わずに、リーナの両隣の席に着く。


 そんな二人にシュタインとエミリアは「ちょっと!!」と声を上げる。



 「何で、兄様たちがリーナの隣に座ってるわけ!?」

 「俺たちが先に座るって言ってたのに!!」



 さも当然かと言いたげに、リーナの隣に座るエーデルとリヒトに、不満をぶつけるエミリアとシュタインに、エーデルは「ちんたらしてるお前らが悪い」と全く悪気なく腕を組み言う。

 そんなエーデルに、同意するように頷くリヒトは「早く座りなよ。注文が取れないだろ?」と席に着くよう促す。

 何とも大人気ない二人に、唖然とするシュタインとエミリアが「なんたる傲慢……」と言いたげに立ち尽くすのを見た公爵は一つ大笑いすると、二人に自身の隣に座るよう言うのだった。



 「このスープ、凄く美味しいですわ!」



 リーナの隣に座れなくて、拗ねていたシュタインとエミリアだが、食事を始めるとケロッと機嫌が戻った。

 食事は、コース式ではなく、各々食べたいものを注文する形で、エミリアは付いてきたスープに感動している。


 すると、何故かシュタインが得意気に「そうだろ?」と言うのだった。



 「何であんたが得意気なのよ?」

 「だって俺のお気に入りのレストランだから!」

 「あんたは料理を作ってないでしょ」



 そんな2人のやり取りを見て、仲がいいなと思ったリーナは、そう言えば2人は幼馴染だった事を思い出す。

 共に皇室を守るヴァンディリア、グランべセル両公爵家。

 その子どもたちが幼い時から、交流を持つ事は必然な事なので、エーデルとリヒトも、幼い頃から交流がある。


 けれどリーナは、この間のエミリアの誕生日パーティーに行くまで、2人に会った事がなかった。

 実際は一度、会った事があったらしいが。


 きっと、リーナが他者と会うのを嫌がっていたため、グランべセル家の者とは言え、会う事がないように公爵がしてくれていたのだと思う。

 それに、リーナが他者と会う事を拒み、家に閉じこもっていても、エーデルとシュタインは何も言わなかった。

 ずっと見守ってくれていたんだと、二度目の人生でやっと気付いたのだった。



 「リーナ、これ好きだろ? 食べるか?」



 しばらく昼食を取っていると、エーデルが自身の頼んだ昼食についていたケーキを食べるかと、リーナに聞く。

 リーナは甘い物が好きで、中でもチョコのケーキが好物だ。


 エーデルが差し出すチョコケーキは、上にラズベリーが乗っており、とても美味しそうだ。

 だが、せっかくエーデルが頼んだ物なのだから、エーデルが食べるよう言うリーナ。


 そんなリーナにエーデルは「俺は甘いのはあまり食べないから、大丈夫だ」と首を横に振る。

 確かに、エーデルは甘いものを好んで食べないと思い出し、リーナはお言葉に甘えることにした。


 ケーキを一口食べると、今にも頰が落ちそうなくらいとろけたような表情を浮かべるリーナを見て、クスッと笑みを浮かべるエーデル。

 「美味いか?」と聞くエーデルの声はとても柔らかい。

 幸せそうに頷くリーナ。


 そんなリーナの右隣に座るリヒトは「ケーキが好きなんだね」とこちらも柔らかい笑みを浮かべている。

 リーナはリヒトに返事をしようと、リヒトの方に顔を向ける。

 リーナの顔を見たリヒトが何かに気づいたような表情を浮かべたかと思えば、布巾を手に取りリーナの口元を拭う。


 その行動に驚き、リーナは固まる。

 リヒトは「クリームがついてたよ」と笑みを浮かべる。


 リヒトの行動とクリームをつけていたことに恥ずかしくなり、顔を真っ赤にする。

 そんなリーナを見て不思議そうにするリヒトに、そのやり取りを見ていたエーデルは、何か思うところがあるように、リヒトを見る。



 「リーナと兄様って、いつの間にそんなに仲良くなったの?」



 とても、まだ会って二回目とは思えない、二人のやり取りを見て不思議に思ったエミリアがそう問いかける。

 そんなエミリアに、リーナは音楽祭の日にリヒトに助けてもらった事を話すと、エミリアは「あぁ……! なるほど……!」と納得したような表情を浮かべるのだった。


 かと思えば「へぇ~そうなんだ~」とニヤついた笑みをリヒトへと向ける。

 どう意味か分からないリーナは首を傾げ、リヒトを見ると、リヒトは何故か気まずそうな表情を浮かべていた。



 「――ごちそうさまでした、ヴァンディリア公爵」



 昼食を取り終え、公爵にご馳走してくれた事のお礼を告げるリヒトとエミリア。

 リーナたちも「公爵様ありがとうございます」「父上、ありがとうございます」とお礼を告げる。


 ほぼ初めてと言ってもいい、家族と友人との食事はリーナにとってとても楽しいものになった。



 「ゔぅ……お腹いっぱいで動けない……」



 デザートもきっちりと食べたシュタインのお腹は、パンパンに膨らんでおり、苦しそうにお腹を摩っている。

 そんなシュタインにエーデルは「だから、考えて食べろよって言っただろ」と呆れている。



 「だって、ここの料理どれも美味いから……!」

 「馬車の中で吐くなよ」



 食べすぎて苦しそうなシュタインに、呆れた顔を向けるエーデル、そんな二人を苦笑しながら見るリヒト。

 そんな三人を見ながら、皆んな仲が良いなと微笑ましく思っていると「ねぇ、リーナ」とエミリアがコソッとリーナに話しかける。

 リーナはどうしたのかと、エミリアに耳を傾けると、エミリアは「兄様には内緒なんだけど……」とリーナにしか聞こえないくらいの声で言う。



 「さっき、兄様に音楽祭で助けてもらったって言ってたでしょ? 私もその日、兄様と一緒に音楽祭に行ってたんだけど、いきなり兄様が何かを見て私と騎士たちを追いて走って行ったの」

 「それで帰ってきたと思ったら、何だか機嫌よさそうにしてたから、何してたの? って聞いたらね、兄様なんて言ったと思う?」



 そうニヤつきが抑えられない表情を浮かべ、リーナに問うエミリアにリーナは「分からない」と首を横に振る。

 するとエミリアは興奮気味でいうのだった。



 「〝ずっと会いたかった子に会えたんだ〟って! これってリーナの事よね!?」

 「え……」
 


 キャーッと一人、はしゃぐエミリア。

 そんなエミリアにリーナは「私じゃないんじゃ……?」と言うも、エミリアは「そんな事ないわ! だってその一回だけだもの! 兄様と私たちが離れたのは!」と前のめりに言う。


 エミリアの言葉を聞き、リーナは言葉を詰まらす。

 仮に、エミリアが言った事が本当なら、どうして私に会いたかったのだろう?

 リヒトが言うには、一度、会った事があるらしいが、少し挨拶をかわした程度だったらしいし。

 やはり、人違いなのでは?

 そう言った事を、ぐるぐると頭で考えるリーナ。

 
 そんなリーナにエミリアは「もしかして、兄様! リーナの事が好きなんじゃ……?」と頬を赤くする。

 だが、リーナはリヒトにはずっと思っている相手がいると知っているので、それは無いよとはっきりと言う。


 エミリアが「そうかなぁ?」と納得していないと言ったら態度を取るのを見て、エミリアはリヒトにずっと思っている人がいると言う事は知らないのかと思う。



 「そうだったら良かったのに。だったら、リーナとずっと一緒にいれるのに!」



 そう口を尖らすエミリアを見て、リーナは眉を下げ笑みを浮かべる。

 きっと、エミリアが知らないだけで、別の人と会ったのだろう。

 そう考えるリーナの頭の中で、回帰前のリヒトとの会話が思い返される。


 泣いているリーナに、泣きたいのなら自分から見える所で泣いてくれと訴えるように、辛そうな表情を浮かべるリヒト。

 そのことに、リーナはまさかとは思うも、胸は音を立て頰は熱くなる。


 そんな頬を、リーナなバシッと両手で叩くと、彼は優しい人なのだから、勘違いしてはだめよ! と自身に言い聞かすのだった。







 神聖国へと祝福の儀を行いに行った日から、一週間が経った。

 変わらず、回帰前とは違い平和な日々を送っていたリーナだが、一つ変わった事があった。



 「エマ、これ全部お茶のお誘い?」



 それは、リーナに対して送られて来るお茶会のお誘いの手紙だった。

 エミリアの誕生日パーティーに参加してからと言うもの、リーナに宛てての手紙が届くようになったのだ。

 それもかなりの量で。


 全てお茶のお誘いだと言うエマに、リーナは「エーデルやシュタイン宛てじゃなくて?」と問うも、エマは首を横に振る。



 「全て、お嬢様に宛てられたものですよ」

 「私に……」



 今まで、リーナに宛てての手紙は一通もなかった。

 ずっと閉じこもっていたから当然なのだが。


 たった一度、パーティーに参加しただけで、この様な数の手紙が届くとは、流石はヴァンディリア公爵家ねと思う。



 「きっとお嬢様の魅力に皆様お気づきになられたのですね!」



 そう嬉々と言うエマに、リーナは「違うと思う」と苦笑いを浮かべる。

 そして、そう言えば回帰前、デビュタントを終えた後も凄い量の手紙を受け取ったなと思い出すのだった。



 「お返事の方はどうされますか?」



 何処か浮かれているエマに、リーナは「一旦保留で!」と返す。

 ちゃんと、確かめてからお茶会に行かなければ、行くお茶会によっては色々と面倒な事があると、過去の経験を思い出す。


 お茶会などの誘いの手紙に、急ぎは禁物!
 慎重にいかないと!



 少し残念そうなエマに、リーナは「そうだ。エミリアから手紙が来てるはずだから、返事を返す用に文を用意してくれる?」と頼むと、エマは「お任せください!」と嬉しそうに文を取りに行く。

 お茶会の相談を公爵にしたいと思うも、公爵は現在、視察へと行っているため家を留守にしており、帰って来るのは一週間後くらい。


 リーナはエーデルに相談してみるかと、手紙をまとめると、エーデルに会いに部屋から出て行くのだった。
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