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工業都市〈ナザール〉には、ギルド、と呼ばれる組織があった。
そこには、たくさんの人がごった返していた。
ガタイのいい男や、恐ろしい大剣を持った男。
一見、闘技場、とも見えてしまう場所こそが『ギルド』だ。
壁には、様々な人物像やイラストが書かれた羊皮紙が貼ってある。
そこに、場違いとも思えてしまう青年がいた。
「あん? 僕、こんな所に来て、どうしたんだい?」
図体のデカい男が、片手に酒を持って青年に話しかける。
もうすでに出来上がっている様子で、足取りもふらふらだった。
青年は、一瞬だけ男を見たが、すぐに視線を外した。
「舐めてんじゃねぇぞぉっ!?」
青年の行動にムカついたのか、男は手を出す。
「……」
——手を出すことは予想していた。
だから、青年は男の太い腕を掴んで、片手で胸ぐらを強く掴む。
そのまま、勢いを落とさずに青年は男を投げ飛ばす。
「……背負い投げだ。初めて食らったのか?」
受け身ですら取れていない男を、青年は鼻で笑う。
青年は床で伸びている男を放置して、一枚、壁に貼ってある羊皮紙を手に取る。
軽い足取りで、青年は入口近くのカウンターに向かう。
「ようこそ、ギルドへ」
カウンターにいた受け付けの女性が、青年を歓迎する。
「お仕事は決まりましたか?」
「あぁ。これで頼むよ」
バンッとカウンターに出したのは、先ほど壁から引きちぎった羊皮紙だった。
「はい」
女性は、その紙と引き換えに、違う紙を青年に差し出した。
「……〈魔物狩り〉、ですね。では、こちらの紙に、名前と年齢を書いてください」
女性はまたゴソゴソとカウンターの下に潜り込んで行く。
その間に、青年は綺麗な字で名前と年齢を書いていく。
「お待たせしました。こちらが『ギルド会員証』です」
「ありがとう」
「それでは……〈南波斗〉様。健闘を祈ります」
青年 ——南波人は、黒いマントを靡かせて、ギルドを出ていった。
新しくギルド会員証を手に入れた南波斗は、早速、街を出た。
「さて、と。狩りまくるか」
南波斗の仕事は、〈魔物狩り〉。新しく南波斗の肩書きとなった。
「……その前に、武器調達……」
よくよく考えれば、南波斗は魔物を狩れるような武器は何一つ持っていない。
素手で戦う者もいるらしいが、南波斗は絶対武器で戦いたかった。
——素手なんか、汚れるし……
なるべく自分が汚れることはしたくない。
南波斗は歩きながら、武器屋を探す。
「あった」
しばらく歩いていると、結構質が良さそうな武器屋を見つけた。
南波斗は靴を鳴らして、店に入っていく。
「いらっしゃい!」
「切れ味のいい剣はあるか?」
「あるぜ! ——これなんかどうだい?」
ガタイのいい気さくな店主が、店の奥に姿を消したが、すぐに戻ってきた。
彼の手には、一本の銀色の剣が握られていた。
「これは?」
「銀翼の長剣って言ってな。かなり切れ味がいい品だ」
「……ふぅん…………」
まじまじと南波斗は、その剣を見つめる。
しばらく見つめたら、南波斗は剣を手に取って店主に宣言した。
「買おう」
「まいど! 千五百マイルだぜぇ」
店主は、満面の笑みで南波斗に剣を渡しお金を受け取った。
「若いのに金持ちだなぁっ!」
「まぁなー」
サラっと聞き流す南波斗だが、そんなことは一切気にせず、店主は喋り続ける。
「じゃあなオッサン」
手を振って、南波斗は店を出ていく。その時でも、店主は笑顔だった。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
準備も整った所で、南波斗は街を出ていく。
「手始めに、森で狩るか」
この街で魔物がよく出現するのは、大きな森くらいだろう。
南波斗の現在地からさほど、遠くはない。
「目標は、十五体だな」
そのくらい魔物を狩れば、ランクアップは間違いなくあるだろう。
たった一日でランクアップすれば、ある程度いい仕事は舞い込んでくる。
南波斗はそう考えていた。
だが、現実、そう簡単には上手く行かない。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
森に足を運んだ南波斗は、つい先ほど購入した銀翼の長剣を鞘から抜いて、構える。
「さぁて。いい獲物はいるかなー」
獣道をゆっくりとした足取りで、南波斗は山をどんどん登っていく。
草木が生い茂った森を歩き続けること、二十分弱。
「あー、疲れてきた……」
この道中で、二、三体の魔物と遭遇した。
いとも簡単に南波斗は倒してしまったが、この辺りの魔物は強い、と街中で噂していたからどれ程の強さなんだろう、と期待していたのに。
——ガッカリだ……
肩を落としながら、南波斗は一度足を止めて休憩をとる。
「ふぅ…………」
息をゆっくり吐く。
すると。
「…………ん?」
南波斗の視界の端で、強い光が灯ったのが目に入った。
——とても強い光だった。
「なんだ……ろうか」
今までに見たことがないくらいの光だったから、南波斗の好奇心に火がついた。
「あっち………………か」
すばやく動ける準備をした南波斗は、駆け足でその光に向かって行った。
「あ………………っ」
息を切らせながら、南波斗は光が発生したであろう場所にたどり着く。
「……人?」
——南波斗の目の前には、一人の男性が倒れていた。
そこには、たくさんの人がごった返していた。
ガタイのいい男や、恐ろしい大剣を持った男。
一見、闘技場、とも見えてしまう場所こそが『ギルド』だ。
壁には、様々な人物像やイラストが書かれた羊皮紙が貼ってある。
そこに、場違いとも思えてしまう青年がいた。
「あん? 僕、こんな所に来て、どうしたんだい?」
図体のデカい男が、片手に酒を持って青年に話しかける。
もうすでに出来上がっている様子で、足取りもふらふらだった。
青年は、一瞬だけ男を見たが、すぐに視線を外した。
「舐めてんじゃねぇぞぉっ!?」
青年の行動にムカついたのか、男は手を出す。
「……」
——手を出すことは予想していた。
だから、青年は男の太い腕を掴んで、片手で胸ぐらを強く掴む。
そのまま、勢いを落とさずに青年は男を投げ飛ばす。
「……背負い投げだ。初めて食らったのか?」
受け身ですら取れていない男を、青年は鼻で笑う。
青年は床で伸びている男を放置して、一枚、壁に貼ってある羊皮紙を手に取る。
軽い足取りで、青年は入口近くのカウンターに向かう。
「ようこそ、ギルドへ」
カウンターにいた受け付けの女性が、青年を歓迎する。
「お仕事は決まりましたか?」
「あぁ。これで頼むよ」
バンッとカウンターに出したのは、先ほど壁から引きちぎった羊皮紙だった。
「はい」
女性は、その紙と引き換えに、違う紙を青年に差し出した。
「……〈魔物狩り〉、ですね。では、こちらの紙に、名前と年齢を書いてください」
女性はまたゴソゴソとカウンターの下に潜り込んで行く。
その間に、青年は綺麗な字で名前と年齢を書いていく。
「お待たせしました。こちらが『ギルド会員証』です」
「ありがとう」
「それでは……〈南波斗〉様。健闘を祈ります」
青年 ——南波人は、黒いマントを靡かせて、ギルドを出ていった。
新しくギルド会員証を手に入れた南波斗は、早速、街を出た。
「さて、と。狩りまくるか」
南波斗の仕事は、〈魔物狩り〉。新しく南波斗の肩書きとなった。
「……その前に、武器調達……」
よくよく考えれば、南波斗は魔物を狩れるような武器は何一つ持っていない。
素手で戦う者もいるらしいが、南波斗は絶対武器で戦いたかった。
——素手なんか、汚れるし……
なるべく自分が汚れることはしたくない。
南波斗は歩きながら、武器屋を探す。
「あった」
しばらく歩いていると、結構質が良さそうな武器屋を見つけた。
南波斗は靴を鳴らして、店に入っていく。
「いらっしゃい!」
「切れ味のいい剣はあるか?」
「あるぜ! ——これなんかどうだい?」
ガタイのいい気さくな店主が、店の奥に姿を消したが、すぐに戻ってきた。
彼の手には、一本の銀色の剣が握られていた。
「これは?」
「銀翼の長剣って言ってな。かなり切れ味がいい品だ」
「……ふぅん…………」
まじまじと南波斗は、その剣を見つめる。
しばらく見つめたら、南波斗は剣を手に取って店主に宣言した。
「買おう」
「まいど! 千五百マイルだぜぇ」
店主は、満面の笑みで南波斗に剣を渡しお金を受け取った。
「若いのに金持ちだなぁっ!」
「まぁなー」
サラっと聞き流す南波斗だが、そんなことは一切気にせず、店主は喋り続ける。
「じゃあなオッサン」
手を振って、南波斗は店を出ていく。その時でも、店主は笑顔だった。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
準備も整った所で、南波斗は街を出ていく。
「手始めに、森で狩るか」
この街で魔物がよく出現するのは、大きな森くらいだろう。
南波斗の現在地からさほど、遠くはない。
「目標は、十五体だな」
そのくらい魔物を狩れば、ランクアップは間違いなくあるだろう。
たった一日でランクアップすれば、ある程度いい仕事は舞い込んでくる。
南波斗はそう考えていた。
だが、現実、そう簡単には上手く行かない。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
森に足を運んだ南波斗は、つい先ほど購入した銀翼の長剣を鞘から抜いて、構える。
「さぁて。いい獲物はいるかなー」
獣道をゆっくりとした足取りで、南波斗は山をどんどん登っていく。
草木が生い茂った森を歩き続けること、二十分弱。
「あー、疲れてきた……」
この道中で、二、三体の魔物と遭遇した。
いとも簡単に南波斗は倒してしまったが、この辺りの魔物は強い、と街中で噂していたからどれ程の強さなんだろう、と期待していたのに。
——ガッカリだ……
肩を落としながら、南波斗は一度足を止めて休憩をとる。
「ふぅ…………」
息をゆっくり吐く。
すると。
「…………ん?」
南波斗の視界の端で、強い光が灯ったのが目に入った。
——とても強い光だった。
「なんだ……ろうか」
今までに見たことがないくらいの光だったから、南波斗の好奇心に火がついた。
「あっち………………か」
すばやく動ける準備をした南波斗は、駆け足でその光に向かって行った。
「あ………………っ」
息を切らせながら、南波斗は光が発生したであろう場所にたどり着く。
「……人?」
——南波斗の目の前には、一人の男性が倒れていた。
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