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13(天空では……)
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あの日、ルメアが女神様に呼ばれて『天空城』に向かっていったのを境に、ルメアは全然帰ってこない。
ルメアの双子の弟——〈ケルラ・ルイ・レヴェナント〉は、腕を組んで唸っていた。
「ルメアはどこに行ったんだ!!」
『竜王城』の大広間にて、ケルラは行ったり来たりを繰り返していた。
「ああ……っ! あの時、僕も一緒に行けば…………っ!!」
ルメアが竜王城に戻ってこなくなって、約二週間。
彼宛ての仕事が、山ほど舞い込んでくる。
処理が追いつかない。
「ルメアのばかぁっ!!」
『ちょっ……大丈夫ですか?』
ケルラに話しかけたのは、ずっと傍にいる魔法鳥だった。
魔法鳥は、ケルラの術で具現化された鳥だ。
「は? 大丈夫に見えてるわけ?」
鋭い声で魔法鳥にツッこむケルラ。
『すいません』
「……お前でも探せないのか?」
『難しいです……。気配を察知できません』
魔法鳥は万能な鳥だ。
だが、そんな鳥でも出来ないのなら、当然ケルラには出来ない。
「っというか、四龍たちは?」
『白龍様、緑龍様は同じ任務を遂行しています。
黒龍様は地上に降りて、竜王様を探しております。
黄龍様は、フリーです』
魔法鳥が淡々とケルラに説明していく。
その情報を、素早く頭に叩き込んでケルラは状況を分析していく。
竜王の座ではないが、彼の弟だ。
それなりの『力』は持っている。
ケルラの自慢出来る『力』は、〈情報分析能力〉と呼ばれる物だ。
多量の情報を瞬時に分析し、頭の中で置き換えられる能力。
「黄龍様は、竜王城にいるのか?」
『はい。自室におられます』
「呼んでくれ」
『畏まりました』
ケルラの魔法鳥は、羽を羽ばたかせて黄龍の部屋に向かって行った。
「ルメア…………っ!」
竜王がいない、今、頼りにされているのは四龍と、ケルラのみ。
女神は、なぜかあの日から姿を見せない。
絶対にルメアは女神と何かあった、とケルラは予測した。
「お呼びですか、ケルラ殿」
魔法鳥が黄龍を呼びに行って、一分足らずで黄龍は大広間にやってきた。
「すまない、黄龍様」
「いいえ。オレも丁度、ひましてたんで」
目を細めて、黄龍はケラケラと笑う。
「ルメア様について、何か分かったんですか?」
単刀直入でケルラに問いかける黄龍。
だが、ケルラは首を横に振った。
「……まだ、分からないんだ」
「今、〈クロ〉が地上に降りているんでしょう?」
四龍たちの中でも、各々呼び方があるようだった。
ケルラ自身もその事は、最近知った。
黒龍のことは、「クロ」。
白龍のことは、「シロ」。
黄龍のことは、「グレル」。
緑龍のことは、「オル」。
と、呼び合っているらしい。
黄龍と緑龍は、名前から取っているらしい。
黒龍と白龍はそのまま龍の名前で。
「クロから何か情報は届きましたぁ?」
「それすらもないんだ」
「……珍しいですね……」
黒龍は、何かあれば必ず連絡は寄越すのに、この件については一向に連絡が来ない。
「オレも地上に…………」
「行ってもらいたいが…………」
一人でも多い方が、早くルメアは見つかるだろう。
四龍の二人が行けば、地上の全ての大陸は回れるだろう。
「じゃあ、行ってきマース!」
手を上げたまま、黄龍は大広間を出ていこうとする。
「待ってくれ、黄龍様!」
「はい?」
ケルラが大声で呼び止めると、黄龍はピタリと足を止めて振り返った。
「どうされましたぁ?」
「これを、持っていけ!!」
ケルラが黄龍に向けて投げたのは、小さな機械だった。
その機械をまじまじと見つめている黄龍に、ケルラは説明する。
「それは、『連絡機』だ! 落とさないように、しっかり持っててくれ!」
ケルラとルメアが協力して作り上げた、小型道具。
使わせたことはないが、黄龍には、持たせても大丈夫だろうとケルラはその場で判断した。
「左の赤色のボタンを押して、相手を頭で想像するんだ」
「ほう」
黄龍は機械を見つめながら、ケルラの説明を受けて納得していく。
「そうしたら、繋がるから!」
「オッケーです! じゃあ、行ってきますね、ケルラ殿」
いつの間にか人型に変わっていた黄龍は、上着のポケットに、通信機を突っ込んだ。
そして、満面の笑みで黄龍は竜王城から飛び立った。
一人になったケルラは、魔法鳥を腕に乗せて、深いため息を吐いた。
「どうか…………無事で……いて……っ」
ケルラにとって、自分の命より大切なルメアが死んでしまっていたら、きっと立ち直れない。
自分の足で探しに行きたいのだが、それがケルラには出来ない。
自分の『補佐官』としての仕事も、まだまだ残っている。
だから、頼るしかない。
祈るしかない。
願うしか、ケルラには出来ない。
「生きててね…………っ、ルメア……!」
——どうか、どうか……っ、無事で……
ルメアの双子の弟——〈ケルラ・ルイ・レヴェナント〉は、腕を組んで唸っていた。
「ルメアはどこに行ったんだ!!」
『竜王城』の大広間にて、ケルラは行ったり来たりを繰り返していた。
「ああ……っ! あの時、僕も一緒に行けば…………っ!!」
ルメアが竜王城に戻ってこなくなって、約二週間。
彼宛ての仕事が、山ほど舞い込んでくる。
処理が追いつかない。
「ルメアのばかぁっ!!」
『ちょっ……大丈夫ですか?』
ケルラに話しかけたのは、ずっと傍にいる魔法鳥だった。
魔法鳥は、ケルラの術で具現化された鳥だ。
「は? 大丈夫に見えてるわけ?」
鋭い声で魔法鳥にツッこむケルラ。
『すいません』
「……お前でも探せないのか?」
『難しいです……。気配を察知できません』
魔法鳥は万能な鳥だ。
だが、そんな鳥でも出来ないのなら、当然ケルラには出来ない。
「っというか、四龍たちは?」
『白龍様、緑龍様は同じ任務を遂行しています。
黒龍様は地上に降りて、竜王様を探しております。
黄龍様は、フリーです』
魔法鳥が淡々とケルラに説明していく。
その情報を、素早く頭に叩き込んでケルラは状況を分析していく。
竜王の座ではないが、彼の弟だ。
それなりの『力』は持っている。
ケルラの自慢出来る『力』は、〈情報分析能力〉と呼ばれる物だ。
多量の情報を瞬時に分析し、頭の中で置き換えられる能力。
「黄龍様は、竜王城にいるのか?」
『はい。自室におられます』
「呼んでくれ」
『畏まりました』
ケルラの魔法鳥は、羽を羽ばたかせて黄龍の部屋に向かって行った。
「ルメア…………っ!」
竜王がいない、今、頼りにされているのは四龍と、ケルラのみ。
女神は、なぜかあの日から姿を見せない。
絶対にルメアは女神と何かあった、とケルラは予測した。
「お呼びですか、ケルラ殿」
魔法鳥が黄龍を呼びに行って、一分足らずで黄龍は大広間にやってきた。
「すまない、黄龍様」
「いいえ。オレも丁度、ひましてたんで」
目を細めて、黄龍はケラケラと笑う。
「ルメア様について、何か分かったんですか?」
単刀直入でケルラに問いかける黄龍。
だが、ケルラは首を横に振った。
「……まだ、分からないんだ」
「今、〈クロ〉が地上に降りているんでしょう?」
四龍たちの中でも、各々呼び方があるようだった。
ケルラ自身もその事は、最近知った。
黒龍のことは、「クロ」。
白龍のことは、「シロ」。
黄龍のことは、「グレル」。
緑龍のことは、「オル」。
と、呼び合っているらしい。
黄龍と緑龍は、名前から取っているらしい。
黒龍と白龍はそのまま龍の名前で。
「クロから何か情報は届きましたぁ?」
「それすらもないんだ」
「……珍しいですね……」
黒龍は、何かあれば必ず連絡は寄越すのに、この件については一向に連絡が来ない。
「オレも地上に…………」
「行ってもらいたいが…………」
一人でも多い方が、早くルメアは見つかるだろう。
四龍の二人が行けば、地上の全ての大陸は回れるだろう。
「じゃあ、行ってきマース!」
手を上げたまま、黄龍は大広間を出ていこうとする。
「待ってくれ、黄龍様!」
「はい?」
ケルラが大声で呼び止めると、黄龍はピタリと足を止めて振り返った。
「どうされましたぁ?」
「これを、持っていけ!!」
ケルラが黄龍に向けて投げたのは、小さな機械だった。
その機械をまじまじと見つめている黄龍に、ケルラは説明する。
「それは、『連絡機』だ! 落とさないように、しっかり持っててくれ!」
ケルラとルメアが協力して作り上げた、小型道具。
使わせたことはないが、黄龍には、持たせても大丈夫だろうとケルラはその場で判断した。
「左の赤色のボタンを押して、相手を頭で想像するんだ」
「ほう」
黄龍は機械を見つめながら、ケルラの説明を受けて納得していく。
「そうしたら、繋がるから!」
「オッケーです! じゃあ、行ってきますね、ケルラ殿」
いつの間にか人型に変わっていた黄龍は、上着のポケットに、通信機を突っ込んだ。
そして、満面の笑みで黄龍は竜王城から飛び立った。
一人になったケルラは、魔法鳥を腕に乗せて、深いため息を吐いた。
「どうか…………無事で……いて……っ」
ケルラにとって、自分の命より大切なルメアが死んでしまっていたら、きっと立ち直れない。
自分の足で探しに行きたいのだが、それがケルラには出来ない。
自分の『補佐官』としての仕事も、まだまだ残っている。
だから、頼るしかない。
祈るしかない。
願うしか、ケルラには出来ない。
「生きててね…………っ、ルメア……!」
——どうか、どうか……っ、無事で……
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