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しおりを挟む南波斗の膝にすがり付いて、肩を震わせて泣いている。
こんなに泣いたのは、久しぶりだ。
ちょうど、父上が亡くなってしまった日と、同じくらい泣いた。
過去を思い出すだけで、こんなにも苦しい思いをするとは。
こんなにも、悲しくなるとは。
想像していたものより、はるかにダメージが大きかった。
「傍にいるから。大丈夫だよ」
南波斗の声が耳を撫でる。
優しい声。
不思議と、心が落ち着く。
「ごめっ……」
ある程度落ち着いた俺は、頭を上げる。
「いいよ。もう平気なの?」
父上の話をしてから、初めて南波斗の顔を正面から見た気がする。
「っ……」
——最期に見た、父上と同じ顔……
目を疑ってしまうほど、その表情は酷似していた。
「ズル……い……ぃ……っ」
ようやく引っ込んだ涙が、また溢れてきてしまった。
服の袖で、ゴシゴシと拭く。
「あーダメだよ、ルメア」
「えっ……?」
「袖で拭っちゃ、目が痛くなっちゃう」
南波斗は白いハンカチを取り出して、俺の涙を拭いてくれる。
いつかの父上が、ケルラにしたように。
「泣かないで、ルメア。俺まで悲しくなっちゃうから」
「バカ……だな、本当に……」
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
その後も、ひたすら自分の過去を南波斗に話していったルメア。
——弟のケルラとの思い出話。
——竜王になって苦労したこと。
——楽しかったこと、つまんなかったこと。
——四龍や、女神のこと。
たくさんたくさん話した。
これだけ沢山の話を、南波斗は嬉しそうに聞いていた。
全部を話し終えた時に、外を見たら、夜だった。
「……俺が一方的に喋ったせいで、夜になってしまった」
ガクリ、と肩を落としたルメアだったが、南波斗はケラケラ笑った。
「面白かったよ?」
「……疲れていないか?」
「んー? 全然? 疲れているのは、ルメアだろ?」
はい、と手渡しされたのは、コーヒーだった。
地上の食べ物は、とれだけ食べても「不味い」。
でもこのコーヒーだけは、「美味しい」と感じることが出来る。
ゴクッと飲み込むと、ほんのり苦い味が口の中に広がる。
「ん……。ありがとう」
「どういたしまして」
ルメアはゆっくりとコーヒーを飲んでいく。
その間、南波斗は、キッチンに立って料理を始めた。
「今から作るのか!?」
それに気付いたルメアが、コップを机に置いて、叫ぶ。
「うん。腹減っただろ」
ニコッと笑った南波斗は、手際よく野菜などの食材を切っていく。
手伝いたいが、何もできない。
うー、と唸ってみた。
すると、キッチンから南波斗が顔を出して「もうちょい待ってね」と言った。
「くっ……」
グイッとコーヒーを一気飲みして、ルメアはベッドに倒れ込んだ。
「……」
地上に来てからは、色々起こった。
毎日が冒険で、知らないことが分かるのが、楽しかった。
南波斗と出会えて、良かった。
「…………ありがとう、南波斗」
目を閉じると、夢の中に引きづりこまれそうだ……。
ポツリ、と零した言葉は、南波斗に聞こえなくても別にいい。
そう思いながら、ルメアは意識を手放した。
「こっちこそ、ありがとう……ルメア」
どんなに小さい声でも、聴き逃したりはしない。
南波斗は泣きそうな顔を浮かべながら、ルメアに返事を残した。
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