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44(ケルラ視点)
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「は? 女神が地上に?」
竜王城の二階中央広場。
片手に、いくつかの書類を持った青年——ケルラが片眉を上げて部下に聞き返した。
「……その理由は?」
「わ、分かりません……」
腰を九十度に曲げて、部下はケルラに謝罪する。
女神城の諸事情は、嫌でもこちらの竜王城に入ってくる。
今、現竜王のルメアが不在な為、弟のケルラが仕切っている。
「……そこら辺、調査よろしく」
なんの為に危険を侵して地上に降りたのか、その理由が知りたかった。
「はっ」
またペコリ、と頭を下げ、部下は駆け足でその場を去った。
一人になったケルラは、深いため息を零した。
——……一向にルメアが見つからない……
四龍に探してもらっているが、誰一人として『見つけた』などという情報がない。
「……ケルラ殿」
「…………黄龍様?!」
後ろから声がして、ケルラは振り返った。
その正体は四龍が一人、黄龍だった。
竜王城にいる時は、必ずと言っていいほど人型で生活している。
今日も人型だった。
「なぜここに!?」
確か黄龍は、ルメアを探しに自ら進んで地上に降りたはずだった。
だから、通信機を渡した。
「通信機は?」
「…………あ。忘れてた……」
案の定黄龍は、通信機の存在を忘れていた。
あはは、と苦笑いを零す黄龍を見て、ケルラもついつい笑ってしまった。
「……何か分かったのですか? 黄龍様」
きっと何かの情報を得たんだろう。
だから通信機の存在を忘れてまで、戻ってきてくれたんだろう。
そうケルラは思っていた。
「………………まぁ……」
長い間の後に、黄龍は言葉を発した。
その間に疑問を覚えたケルラだったが、話を続けることにした。
「……どうでしたか?」
ケルラは近くにあった机に書類を置いて、黄龍の話に集中しようとする。
「……あ、の…………。いたんですけど……」
言葉を濁して話し出す黄龍。
若干イライラしながらも、何とか心を落ち着かせて耳を澄ませる。
「……?」
そしてそのまま黙り込んでしまった黄龍。
え? と思って、ケルラは一歩前に踏み出す。
「黄龍様? どうなされました?」
彼の目の前に来て、顔の前で手を振るが反応が見られない。
——大丈夫かな?
「…………オレは……」
そしてようやく口を開いたかと思えば、黄龍の声は震えていた。
「…………」
「……ケルラ殿。すんません……」
「え? 何がですか?」
ケルラ本人には、黄龍が何を言っているのか分からない。
謝られても意味が分からない。
「ちゃんと言いますから……」
そう言って、黄龍はしっかりとケルラと目線を合わせる。
「は、はい……?」
もう彼の情緒が分からない。
とりあえずケルラは、また黙って話を聞くことを決めた。
「ルメア様なんですが……」
「ルメア…………」
やはり兄のことになると、少し調子が狂う。
「……ここ、天空に戻る際には……人間と一緒らしいっす」
「…………は?」
ピキっ、とケルラの額には血管が浮き上がる。
ケルラの鋭い声は、人をすくみ上がらせる効果がある。
「人間と……だと?」
今までに聞いたことがない、低い声に流石の黄龍もビビる。
「ご本人様から聞きました」
そう伝えると、さらにケルラはイライラし出す。
「地上の熱に当てられたか……?」
ギリッと掌をキツく握りしめ、唇を強く噛む。
一番大好きな兄のルメアが、自分よりも優先するモノが出来たことが、嫌だった。
ルメアにとって『一番』と言えるのが、ケルラであって欲しかった。
けれど、その人間と一緒に戻る、と言うことは自分よりもソイツが大事なんだろう。
ケルラにとって、帰ってこない怒りより。
『嫉妬』の感情が、ケルラには大きかった。
竜王城の二階中央広場。
片手に、いくつかの書類を持った青年——ケルラが片眉を上げて部下に聞き返した。
「……その理由は?」
「わ、分かりません……」
腰を九十度に曲げて、部下はケルラに謝罪する。
女神城の諸事情は、嫌でもこちらの竜王城に入ってくる。
今、現竜王のルメアが不在な為、弟のケルラが仕切っている。
「……そこら辺、調査よろしく」
なんの為に危険を侵して地上に降りたのか、その理由が知りたかった。
「はっ」
またペコリ、と頭を下げ、部下は駆け足でその場を去った。
一人になったケルラは、深いため息を零した。
——……一向にルメアが見つからない……
四龍に探してもらっているが、誰一人として『見つけた』などという情報がない。
「……ケルラ殿」
「…………黄龍様?!」
後ろから声がして、ケルラは振り返った。
その正体は四龍が一人、黄龍だった。
竜王城にいる時は、必ずと言っていいほど人型で生活している。
今日も人型だった。
「なぜここに!?」
確か黄龍は、ルメアを探しに自ら進んで地上に降りたはずだった。
だから、通信機を渡した。
「通信機は?」
「…………あ。忘れてた……」
案の定黄龍は、通信機の存在を忘れていた。
あはは、と苦笑いを零す黄龍を見て、ケルラもついつい笑ってしまった。
「……何か分かったのですか? 黄龍様」
きっと何かの情報を得たんだろう。
だから通信機の存在を忘れてまで、戻ってきてくれたんだろう。
そうケルラは思っていた。
「………………まぁ……」
長い間の後に、黄龍は言葉を発した。
その間に疑問を覚えたケルラだったが、話を続けることにした。
「……どうでしたか?」
ケルラは近くにあった机に書類を置いて、黄龍の話に集中しようとする。
「……あ、の…………。いたんですけど……」
言葉を濁して話し出す黄龍。
若干イライラしながらも、何とか心を落ち着かせて耳を澄ませる。
「……?」
そしてそのまま黙り込んでしまった黄龍。
え? と思って、ケルラは一歩前に踏み出す。
「黄龍様? どうなされました?」
彼の目の前に来て、顔の前で手を振るが反応が見られない。
——大丈夫かな?
「…………オレは……」
そしてようやく口を開いたかと思えば、黄龍の声は震えていた。
「…………」
「……ケルラ殿。すんません……」
「え? 何がですか?」
ケルラ本人には、黄龍が何を言っているのか分からない。
謝られても意味が分からない。
「ちゃんと言いますから……」
そう言って、黄龍はしっかりとケルラと目線を合わせる。
「は、はい……?」
もう彼の情緒が分からない。
とりあえずケルラは、また黙って話を聞くことを決めた。
「ルメア様なんですが……」
「ルメア…………」
やはり兄のことになると、少し調子が狂う。
「……ここ、天空に戻る際には……人間と一緒らしいっす」
「…………は?」
ピキっ、とケルラの額には血管が浮き上がる。
ケルラの鋭い声は、人をすくみ上がらせる効果がある。
「人間と……だと?」
今までに聞いたことがない、低い声に流石の黄龍もビビる。
「ご本人様から聞きました」
そう伝えると、さらにケルラはイライラし出す。
「地上の熱に当てられたか……?」
ギリッと掌をキツく握りしめ、唇を強く噛む。
一番大好きな兄のルメアが、自分よりも優先するモノが出来たことが、嫌だった。
ルメアにとって『一番』と言えるのが、ケルラであって欲しかった。
けれど、その人間と一緒に戻る、と言うことは自分よりもソイツが大事なんだろう。
ケルラにとって、帰ってこない怒りより。
『嫉妬』の感情が、ケルラには大きかった。
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