竜王の俺が、クソ女神に地上に突き落とされました

栞遠

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ルメアは何を言っているんだろう。

どうして弟の声が聞こえるんだろう。


「は……?」


ようやくつっかえていたものが出たが、それはたった一文字だった。
「……そうか、南波斗には聞こえないのか……」
何かを納得するように、ルメアが言葉を漏らす。
意味が分からない南波斗は、また強くルメアの腕を握った。

「…………天空に、帰るの……?」

そう尋ねられたルメアは、目を丸くして南波斗を凝視した。


「まさか。帰るわけがないだろう……。南波斗を置いては帰らないよ」


断言してくれたルメアをじーっ、と見つめる南波斗。

「……そう、だよな……」

優しいルメアは、自分を置いて天空に戻ったりはしないはずだ。


「とりあえず、ケルラと話してきてもいいか?」


まだ頭の中で、ケルラの声がする。
その声が切れてしまう前に、一度でもいいから返事をしたい。

一体どのくらいケルラと離れているのか、分からない。

きっとケルラは、イライラしているに違いない。
——アイツ、俺のこと大好きだからな


「…………分かった」


渋々、といった表情であるが、南波斗はルメアの腕を離した。

「すぐに戻るよ、南波斗」

ちゅっ、と南波斗の頭にキスを落としたルメアは、その場から離れた。


その場に残された南波斗は、強く掌を握りしめた。


✩.*˚✩.*˚✩.*˚


『ルメア!? あー、繋がった!!』


耳がキーンと鳴る。
「ケルラ……うるさい……」
静かに本音を伝えると、頭の中で響いているケルラの声は、ものすごく小さくなった。

『ごめん……嬉しくて』

ものすごく久しぶりに聞くケルラの声は、少しだけ震えていた。
「そんなに嬉しいか?」
『当たり前じゃんか! ルメアが僕の中で一番なんだから……』
まるで、泣きそうな声だ。

その声で、ルメアの心臓はキュン、と鳴く。

『元気だった?』

「あぁ。元気だよ。お前は大丈夫か?」
『……うん。ルメアと話せたから、もう大丈夫』
「そうか。良かった」

しばらくの無言の間が流れる。

いつも、ケルラとは何を話していたっけ。


話すネタを考えていたら、急にケルラが話しかける。


『…………いつになったら、帰ってくるの?』


まぁ、聞かれるだろうな。
今まで地上には、黒龍と黄龍が降りてきて、二人ともルメアを訪ねてきた。

だが、二人にはケルラに伝えてくれと言ったはずだ。

『……ルメア………。僕、寂しいよ』

かわいい双子の弟が、甘えたような声を出す。


——ケルラの為に、早く帰ってあげたいが……


「……クロたちから話は聞いていないか?」


そう聞くと、ケルラは『ん?』と向こうで首を捻った。

『黒龍様? 黒龍様はまだ帰ってきていないよ? 黄龍様は帰ってきたけど……』

「は? クロは戻ってないのか?」

黄龍——ヤミは黒龍——クロよりも後にルメアに会いに来たはずだ。


時間的に、クロが先に天空に戻っていないとおかしい。


——なぜヤミが先に戻ったんだ?


「クロから連絡は?」

『え? な、ない……けど』


——どういうことだ?



分からない。
じゃあ、クロはどこにいるんだ?
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