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しおりを挟む——約二ヶ月後——。
「なぁ、ルメア」
執務中の竜王——ルメアに話しかけたのは、革張りのソファに深く腰掛けた、薄紫色の髪の青年。
「ん?」
視線は常に山積みになった書類だが、耳だけは彼の方に向いていた。
「——……ちゅー……したい」
バサバサ、と書類が大量に床に落ちる。
「……っえ、はっ……?」
「な? お願い」
バチッと視線が絡み合う。
彼の瞳の奥で、あつい熱が燃えているのがルメアには感じた。
「っ…………わ、分かった」
「よっしゃぁ。んじゃ、ルメアから俺にキスしてね?」
よっこいしょ、と言って彼はソファから立ち上がり、ペンを持ったまま赤面し固まっているルメアに、ゆっくりと近付く。
「ほーら……、ルメア?」
彼はルメアの座っている椅子の背もたれを掴んで、ぐるん、と自分の方を向かせた。
「ここ。ここにキスして」
トントン、と自分の唇を人差し指で叩く。
より強調されると、恥ずかしさが増す。
「……っ、目……閉じてて」
「やだ」
「なっ……」
「見てたい。ルメアが俺にキスしてくれるの」
声にならない悲鳴をして、ルメアは、彼の襟を両手で掴む。
「いぃ……一回だけ……だからな!」
「ふふっ。うん」
優しく微笑んだ彼の瞳をじっと見つめながら、ルメアは顔を近付ける。
——ちゅっ、とリップ音が鳴る。
「ん……」
ルメアからキスするのは珍しい。
だから、自然と彼の唇が緩む。
「っ、笑ってんじゃねぇ……!」
やっぱり恥ずかしいのか、少し唇を離したルメアが低い声で唸る。
「んーん? 嬉しいんだよ」
よく見ると、彼の頬も赤い。
ルメアと同じくらい、赤かった。
「っえ……」
「だって、俺たち結婚したんだし」
そう言って彼は、自分の薬指をルメアに見せつける。
——そこには、ルメアとお揃いの、金色と紫色に光る指輪があった。
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