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エピローグ01

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『地上』と『天空』——。


『人間』と『竜王』——。



普段交わることのない2つの種族が交わった時——。


✩.*˚✩.*˚✩.*˚


「なールメアってばー」
ドスッ、と少し盛り上がった場所に青年が乗っかる。
「ぐえ……っ」と呻き声が青年の下から声が聞こえる。

「ん……っ、な、んだ……南波斗……?」
「やぁーっと起きたぁ」
もそっ、と小さく身じろぐ金髪の青年——ルメア。

ルメアの上に乗っかっている南波斗は、にんまり、と笑って、彼の唇におはようのキスをした。

「んっ!?」

「ふふっ。おはよぉ、ルメア」

突然のキスに驚いたルメアは、重かった瞼を勢いよく持ち上げて、南波斗をじっと見つめた。
「……おはようの……キスのつもり……?」

「そうだけど?」

「…………」

しばらく無言になったルメアだが、ふっ、と頬を緩めて南波斗の頬を撫でた。


「……おはよう」


優しい声色に、南波斗の心臓はドキッと跳ねる。
「っ……」

むくっ、と起き上がったルメアは、南波斗の頭を撫でながら「そういえば」呟いた。


「ケルラが、結婚相手を見つけたんだとさ」


「ほぉー……それはおめでたいなっ」


「相手、男だけど」


「ごふっ……」


ケルラが、2ヶ月前ここに戻ってきた時、秒速で自分の事をルメアに教えてくれた。

それまで、ケルラの性的な物は一切触れてこなかったから、その時初めて知ったのだ。


でも、今は誰が見てもケルラは幸せそうだから、みんな静かに見守っている。

「あれ? 知らなかったのか?」

寝癖の酷い髪の毛を手で解しながら、ルメアは南波斗を見て、聞き返す。
「し、知らねぇよっ!? はっ? え、い、いつから!?」

本当に知らなかった反応をするから、ルメアは「ふっ」と笑った。


「……俺……やっぱ嫌われてんのかな……?」


唐突にそう言い出した南波斗に、ルメアはぎょっとするが、それから「あはは」と声に出して笑った。





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