88 / 90
エピローグ01
しおりを挟む『地上』と『天空』——。
『人間』と『竜王』——。
普段交わることのない2つの種族が交わった時——。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
「なールメアってばー」
ドスッ、と少し盛り上がった場所に青年が乗っかる。
「ぐえ……っ」と呻き声が青年の下から声が聞こえる。
「ん……っ、な、んだ……南波斗……?」
「やぁーっと起きたぁ」
もそっ、と小さく身じろぐ金髪の青年——ルメア。
ルメアの上に乗っかっている南波斗は、にんまり、と笑って、彼の唇におはようのキスをした。
「んっ!?」
「ふふっ。おはよぉ、ルメア」
突然のキスに驚いたルメアは、重かった瞼を勢いよく持ち上げて、南波斗をじっと見つめた。
「……おはようの……キスのつもり……?」
「そうだけど?」
「…………」
しばらく無言になったルメアだが、ふっ、と頬を緩めて南波斗の頬を撫でた。
「……おはよう」
優しい声色に、南波斗の心臓はドキッと跳ねる。
「っ……」
むくっ、と起き上がったルメアは、南波斗の頭を撫でながら「そういえば」呟いた。
「ケルラが、結婚相手を見つけたんだとさ」
「ほぉー……それはおめでたいなっ」
「相手、男だけど」
「ごふっ……」
ケルラが、2ヶ月前ここに戻ってきた時、秒速で自分の事をルメアに教えてくれた。
それまで、ケルラの性的な物は一切触れてこなかったから、その時初めて知ったのだ。
でも、今は誰が見てもケルラは幸せそうだから、みんな静かに見守っている。
「あれ? 知らなかったのか?」
寝癖の酷い髪の毛を手で解しながら、ルメアは南波斗を見て、聞き返す。
「し、知らねぇよっ!? はっ? え、い、いつから!?」
本当に知らなかった反応をするから、ルメアは「ふっ」と笑った。
「……俺……やっぱ嫌われてんのかな……?」
唐突にそう言い出した南波斗に、ルメアはぎょっとするが、それから「あはは」と声に出して笑った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる