はあっ? いちいち僕を巻き込むんじゃねぇっ!

栞遠

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真実

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目の前に座った担任に、ルイは一応お茶を出す。
「ん」
「すまない、ありがとう」
ペコっと頭を下げた担任は、綺麗な動作でお茶を口に含んだ。
「……それで……。紅柳を犯したのは、永良というのは……本当なのか?」
ゴクッとむぎ茶を飲み込んだ担任は、真っ直ぐな瞳でルイを射抜く。
その間ルイは、頬杖をついてその話に戻るのを待っていた。

「本当」

即答で返事を返すルイに、担任は言葉を飲み込む。
「そんな…………」

「なぁ。アンタ先生なんだろ? じゃあ永良ってクソのこと、教えてよ」

もう永良のことを名前で呼ぶのも嫌になってきたルイは、「クソ」と改名することにした。

ルイの中で、永良イコールクソとなっている。

「クソ…………」

まだ信じられていない担任は、顔色が悪くなっていく。
自分の教え子があんな風に犯されて、しかも犯人が永良、っていうのがよほどインパクトがあったんだろう。

「……分かった。そのかわり、なんで永良が犯人なのか教えてくれ」

「いいよ。等価交換だな」


💫💫💫


永良という男は、成績優秀、運動神経抜群、誰とでも仲良く出来るやつらしい。

テストでも学年で、毎回三位には入るという実力の持ち主だった。
だから先生たちも彼を信頼している。
無論、ルイの目の前にいる担任も。

「永良と紅柳が絡み出したのは、文化祭の実行委員に選ばれた時からだな……」

「……ふぅん……。俺と暁人が会えなくなった日からか……」


暁人が文化祭実行委員に選ばれてしまったから、ルイと会うのも控えてくれていたし、それに合わせて、ルイも『会いたい』という気持ちを押し殺して我慢したのに。

その間に、暁人に迫る敵を見損なったのだ。

と、ルイは考えていた。


「廊下でも、時々二人でいるのを見かけたが……。その時は違和感はなかったからな」


なら仕方がない。
「そう……。まぁ暁人を好きになるのは勝手だけど、無理やり犯すのは許せねぇ」
そうだ。
暁人は普通に生活してても、とっても可愛いんだから。

「…….俺が早く異変に気付いていればな」
担任が深いため息を吐きながら、片手で眉間を抑える。
「それは俺も同じだ」
ルイにも責任はある。

暁人に、俺の物だ、っていう印を付けていれば少しは男避けになったかもしれない。
暁人本人も、永良とは仲良くなれないと直感的に思っていたんだろう。

常に、ある一定の距離を取って、永良と接しているのは担任も知っていた。

あからさまに永良と話をしている時は、暁人は顔が引きつっているし、永良に気付かれないよう一歩ずつ後ずさってもいた。

「……ムカつく話だよ……全く」

カチャンッと少し強めにコップを置く。
コップの中に残ったむぎ茶が、波をうった。

「永良に尋問するから、安心してくれ」
「尋問……って……。アンタ、言い方……」
「まぁ、永良がこの事件を認めたら、しかるべき処置を取る」

そうしてくれないと、暁人の気も晴れないしルイの怒りも収まらない。

「そうしてくると助かるよ」

ニコッと優しく微笑んだルイは、立ち上がって二人分のコップを片付ける。
「もう戻った方がいいんじゃないか? クラスの奴らが心配してると思うから」
台所に立って、キュッと水を出す。
手早くコップを洗いながら、ルイは担任に話しかける。

「……そうだな」

ふっ、と笑いを零しながら担任は同じように立ち上がり、玄関に向かう。
「お茶、ごちそうさま」
「あー……。あんなので良かったら、また来いよ。出してやるから」
「ふっ……優しいんだな、お前さん」
ポンッとルイの頭に手を置いて、わしゃわしゃと撫で回す。
「うっわ……ッ!」
撫でられることは滅多にないルイは、思わず担任の手を払い除けた。

「くくく。面白いな、お前」

ケラケラと笑いながらも、ルイから離れる。
「今度やったら殺す」
「こわ……」
「……絶対殺るかんな」
二度言うほど大切なことなので、ルイは担任を指さしながら告げる。


「——紅柳を、頼む」


その言葉を残して、担任はルイの家から出ていった。


「——当たり前だろ」



もう誰もいない玄関に向かって、ルイは決意新たに、宣言した。




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