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火照る
しおりを挟む「せいらん…ご、ごめんな…ひぅ…っんあぁぁあ!!」
「また言えなかったな、緑雨。本当に反省してるのか?」
「し、てぅ…してっ……る…!!」
壊れたように必死で頷くが、青嵐は変わらず巧みに指を動かし、僕の身体を無情に引き上げる。
「それなら言えるだろ?ほら、″青嵐のこと忘れようとしてごめんなさい″は?」
「せ、せい…らんっのことぉ…ひぅっ」
じゅぷっ……ぐりっ……
「あっ……はぁ…」
「ほら、なんだ?」
目元が少し赤くなった顔が近づき、熱い息が撫で合う距離まで近づく。急かすようにナカを強く擦られ、閉まることを忘れた口からたまらず声が漏れ出る。
「んぅあっ……わす、忘れ……ようと…し、んんっ………ー!!」
意識が途切れ、真っ白の空間にたゆたう。また、イった。言葉を失うほどの快感に震える身体は、なんとか開いた口から空気を吐き出させるのみだった。緩やかにその空間から降りてくる間も痙攣は治まらず、小さく震える身体は空気にさえ感じているようだった。こんなにも全身が敏感になったのは紛れもなく目の前の見目麗しい男、青嵐のせいである。
「あーあ。惜しかったのにな、緑雨」
緩やかに弧を描く唇は、明らかに楽しそうに僕を眺めていた。そしてまた息つく間もなく指がばらばらと動かされ始める。震える体は刺激をしっかりと受け止め、反れる背が呼吸を浅くする。こんなことになると理解できていればあんな提案受け入れなかったのに…
先ほど青嵐の言葉に目覚めさせられた僕は、青嵐からのある提案を受け入れた。それは青嵐に謝ること。だがそこには二つ条件が合った。1つ、謝罪の言葉を言い切る前にイってはならない。2つ、青嵐特製クリームを僕の身体に塗り込む間に言えなければお仕置き。正直訳が分からなかった。わからなかったのだが、一度拒否すると悲しそうな顔をする青嵐を見て、どうにか機嫌を直してほしい一心で頷いた。結果としては、青嵐の演技力を甘く見ていただけだった。
暗い表情などどこ吹く風。にこりと小さく笑った青嵐は、お前ならそう言ってくれると思ったよと続けた。それから青嵐は特性クリームとやらを取りに行くと、既にはだけていた僕の衣服を取り去り、丁寧に塗り始めた。
「まずは、ここな?」
「…んっ!」
大きな両手がそっと触れたのは胸の周り。そして徐々に手をすぼめていき、頂点に達する。先程散々いじられたそこは、快感を得るには十分に育ち切っていた。優しく先端を撫で、あくまで塗り込めるように、ゆっくりと揉みこまれ、捏ねられる。
「んっ…はぁ……ぅ…あ……」
「それじゃ”青嵐のこと忘れようとしてごめんなさい”って言えたら反省の時間は終わりだ」
「っ…わかっ、た…」
声を出すと恥ずかしい声が漏れ出そうで顔に熱が集中する。逸れた意識を戻すように青嵐がきゅっと胸の尖りをつまむ。引き戻された意識とともに緩やかな快感が体をめぐる。
「ひぅ…ぁ…せいらんの…ことぉ…んぅっ…ぁ…はぁ…」
「ほら、口を隠したら聞こえないだろ」
思わず手の甲で口をふさいでしまったが、優しく手を取られまたしっとりと塗り込めるように撫でて離れていく。ほんのそれだけの時間であったが、離れた胸は刺激を期待していてより赤く、強くたちあがった。じわじわと火照る体に反応するそこを隠すように股をすり合わせる。
「ん…ごめっ……ふぅ、ぁ……忘れようとしてぇっ?!……んぁっ!!」
「残念。また初めからだな」
青嵐に胸をつままれた瞬間先程よりも明らかに強い快感が僕の体を駆け巡った。そこでぐりっと強く擦られればひとたまりもなかった。このクリームとやらのせいだ。絶対にそうだ。大きく深く息を取り込みながらうっすらと笑う青嵐を恨めし気に見つめる。青嵐は僕の視線もびくびくと震える体も、どちらも気にも留めずにへそのあたりに手を置いてゆっくりと動き始める。
「ひっ…んぅ…ちょ、まっ!」
「はは、ただ腹を撫でてるだけだぜ?それとも…」
ここも感じる?と耳元で囁かれる。恥ずかしさに答えられずに目をつむると、青嵐の手の動きをより意識してしまって下腹の奥がうずく気がする。
「…必死になってかわいいな」
不意に僕の耳になにか暖かいものが触れる。それはしっとりとふちを辿るとそのあとを濡らして何とも言えない感覚を残していった。背筋に走る快楽ともいえぬ微弱な気配にたまらず僕は目を開いて耳を抑えようとした。捉えたのは、青嵐の頭。
「はは、熱烈だな」
「まっ…そんなとこっ…んんぃっ…?!」
あろうことか先程のは青嵐の舌であることが分かった。急いで引きはがそうとするも、力のはいらない手は青嵐の額に手を置いて抵抗とは到底かけ離れた動きをしただけだった。耳元で微かに笑う声が聞こえる。吐息が僕の鼓膜を揺らし、心臓の音と混ざり合う。また耐えられなくなって目をつむるとすぐに耳の中まで入ってくる舌に確かに快感を拾ってしまっていた。
ぴちゃ…くちゅ……
「んぅ…もっ、やめ………」
くちゅ、くちゅ……じゅるるっ…
「ぁ…ひっ………ゃ…ぅあっん!」
片耳を塞がれ、同時に優しく胸をさすられる。頭に鳴り響く卑猥な音に頭がくらくらする。もう胸が気持ちいのか、耳が気持ちいのかもわからず、先程まで抑えていた青嵐の頭に手を乗せ、耐えるように力を込める。それが自分を追い詰めるものだとも気づかずに。じわじわと追い詰められ、体に快感が蓄積される。
「ゃ…せいら、ん……なんか…く、る……!」
「イけよ」
「っひぅ…ん!!」
目の前が真っ白になり、快感が脳裏をかすめる。弱弱しく震えるからだに、下腹のぬれる気配を遠くの方で感じる。耳が、こんなに気持ちいいだなんて知らなかった…荒い息は落ち着かず、ぼんやりと起き上がった青嵐を見つめる。
「思ったより効いてんな…こりゃ長い反省時間になりそうだな?」
「んぇ…?」
"反省時間"…完全に忘却の彼方へと飛んで行ったその言葉は理解するのに少しの時間を要した。
「忘れてただろ、お前」
ずばりと当てられて目を泳がせつつも、小さく頷いた。呆れ顔の青嵐に責めるような視線をよこされ、いたたまれずに視線から逃れる。
「ごめ…ん……ひっ?!」
「どうやらよぉく分からせてもらいたいみたいだな?」
突然急所を強く掴まれてあまりの快感と、それから握りつぶされるのではないかという恐怖が駆け巡る。それから乱暴に擦られて、大きな快感の波に流されるのであったが。
「まっ…んぁっ?!!いま…イっ、て…ぇうんっ!」
それから冒頭に戻る。何度もイかされた僕はまさに満身創痍である。いまだに謝罪の言葉は言えていない。というのも僕の反省度が足りないのではなく、絶対に青嵐のせいであると断言できる。じわりじわりと高められ、最後の一文字を言い終わろうという矢先に責め手を激しくされると、言えるものも言えなくなるのだ。
「も…、っむり…手…ひぅ…とめてぇ」
散々擦られたナカはあまりにも熱く火照っていて、それでも足りないと青嵐の指を締め付ける。全身に塗りたくられた特製クリームは僕の体を否応なく高め、その刺激にも小さくイってしまう。
「大丈夫か?もう全身塗終わっちまたしなぁ」
青嵐の声が遠く聞こえる。それならばなぜあんなにも長いことナカを擦り続けたのか。明らかにナカを塗る時間だけ異様に長かった。いや、今はそんなことどうでもいいんだ。初めから少しずつ燻りだした疼きはすでに我慢の限界を超えていて、恥をかき捨てて青嵐を見やる。
「せいら、ん……ナカが……」
「ん?ここがどうした?」
「ぁ…んぅぅうっ!!…っは、ぁ……ぅ…いじわ…る……」
突如動かされ、強く擦られる。ぱちぱちと弾ける視界の中で、もどかしさに溢れ出る涙は止められず、その刺激で下腹の奥が強く疼きだす。
「わかったわかった。そんじゃまず、言えなかったお仕置きはこれ」
そう言って小さなリングのようなものを二つ出す。指にはめるには大きくて、腕や足にはめるには小さい。迷うことなくそれは、イきすぎてくたびれた僕の屹立につけられた。亀頭の下あたりと、根本。少し触られることでまた高度を取り戻すしなやかさにひっそりと舌を巻く。二つのリングは、ぴたりとはまり、二点を少し窮屈にした。
「ぅ…なに……?」
「ま、じきにわかるだろ。で?ナカがどうしたの?」
再度問われると恥ずかしい「お願い」だということを意識してしまって、口を開くことができない。声を出さずに口を開いたり閉じたりしていると、青嵐の手が下腹に置かれる。それだけで細やかな快感を拾い、ぴくぴくと震える体。青嵐の体温がじんわりと伝わり奥がねだるようにきゅっと閉まる感覚がした。火照りだす体に朦朧とする意識。そんな中、ただ頭に浮かんだ言葉が口から零れ落ちた。
「は、ぁ…せいらんが…欲しい」
「あぁ。よく言えたな」
ゆっくりと下腹を撫でられて、ほめられたことの嬉しさにさえ感じてしまい、自然と小さく笑みがこぼれた。
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