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結
しおりを挟むそっと唇に触れる熱。至近距離で息を吐かれると、熱い息が交じりあい体を高めていく。もうすでに何度も触れ合っている唇は、パズルのピースがぴたりとはまるように僕に溶け込んでいる。それでも嬉しさに早まる鼓動は抑えられない。
慣れるようで、なかなか慣れない心地よさ。
「ん…はぁ…」
ゆっくりと離れていく唇を感じ、うっすらと瞼を上げる。美しい緑色の瞳が情欲の色に濡れていて、その表情を僕がさせているのだと思うと、嬉しさから胸が高鳴る。青嵐はそのまま視線を合わせながらも、手早く衣服を取り去ると、鍛え上げられた美しい体が目に入る。それから青嵐の立派なものが目に入り、力の入らない体が少し後ずさった。
「な、なに…それ…」
「なにって、お前が欲しいって言ったんだろ?」
青嵐は口の端を吊り上げて僕の後ろに触れる。ゆっくりと縁を撫でられるとその先を期待してぴくぴくと体が震える。高められた身体は、疼きを強く意識させる。
「んぅっ……む、無理、そんなの……」
「選択肢は欲しいか、欲しくないかだ、緑雨」
欲しいけど、無理。そんな答えは認められないらしい。どうすればいいかわからなくて涙がにじむ。こんなに涙腺緩かったっけ?僕。
小さい頃は青嵐とよくお風呂に入っていたが、いつからか青嵐の体に欲情してしまう自分が恥ずかしくて避けるようになった。あの時見たものより数段立派になっている。確かにこんなに臨戦態勢のものを見たことがないし、比較対象といえば僕の小さなソレくらいでしかないのだけど。青嵐を縋るように見つめ、にじんだ涙は玉となってこぼれ落ちる。
「ぅ…だって……」
「泣くなよ。お前の泣き顔には弱いんだ」
青嵐もつらいだろうにそんな素振りも見せず、優しく目元をぬぐい頬を撫でてくれる。大きな暖かい手のひらの温もりに存分に甘えて、不安を払拭する。大丈夫。青嵐なら、大丈夫だ。小さく青嵐の名を呼び、優しく返ってきた声にまた泣きそうなくらいの愛しさがあふれ出す。
「ぼ、僕……は…はじめてなんだ……」
青嵐は目を丸くしてから、小さくふっと笑った。なにその顔ずるい。
「あぁ、知ってる。優しくするから」
「ん…その…じゃあ……よろしくお願いしマス…」
しりすぼみになっていく言葉にどうしようもないくらい恥ずかしくなるが、羞恥心を抑えて足を少し開いた。青嵐はくくっと小さく笑って優しく僕のおでこにキスをした。
「ほんと、可愛いな」
素早くゴムを取り付けた大きな手のひらは太ももに乗せられ、優しく開かれる。ぴと…と、確かな存在感がそこに触れると、無意識にひくりと反応する。それからゆっくりと開かれ、決して小さくない異物感と苦しさが混じり合う。薄目を開けると優しく見守る緑の瞳が見えて大きく息を吐きだした。その隙を逃すはずもなく、緩んだ場所に少しずつ入っていく。
「ぅ…はっ……はぁ……」
「はぁっ……大丈夫か?」
赤く染まった目元と辛そうに寄った眉。それでも焦れったいほどゆっくり入ってくる。そんな姿勢に感じて無意識にナカが締まる。うっ…っと小さく声を漏らしてそれでも動かない青嵐を見てふっと笑みがこぼれた。
「だいじょ…ぶ、だから…はや…く…」
「あんま、煽んな…」
またゆっくりと進みだすソレにこちらの方が苦しくなってくる。もっと…早く。もっと、奥まで。下腹の奥が熱くなり、まるで女性のようだと恥ずかしくなる。それでもその欲は止まらず、ゆっくりと入ってくる青嵐のモノをねだるように締め付ける。
「あ…ひ……うぅ……」
締め付けると青嵐のものの形を強く意識してしまう。触れた箇所から信じられないくらいの快感が湧き上がり、少しずつ反れる背に動きそうになる身体は、大きな両手でしっかりと腰を掴まれて固定されている。そのせいで逃がせない快感は静かに、だが確かに、僕を追い詰めるように蓄積していく。否応なく高められる体に涙がこぼれ落ち、抑えきれない声が噛みしめた歯の隙間から漏れ出る。
「ん……ふっ……」
ずっ…ずっ……
「ん、ふっ…ぅ…まっ……まだ……?」
ぼやけた視界では青嵐の表情を捉えることができない。どうしても締め付けそうになるナカを必死で息を吐いて緩める。そこへ確かな存在感がずるりと入ってくる。決して勢いがあるわけではないのだが、圧迫感に苦しさが消えない。それでもかつてないほど敏感に高められた体は健気に快感を拾い続けた。
「も…はぁ……ぅ…」
ずりゅ…ずっ……とんっ
「んひっ…ぅ…ぁ?!」
「っはぁ……。とりあえずここまでか」
奥に軽くこつんと当たっただけで意識がぱちぱちとはじけた。必死で力を抜いていたナカを強く締め付けてしまってあまりの快感に緩い絶頂が止まらない。そこで自分の異変に気付いた。
「ぁ…ひっ……ぅ…」
「くっ……入れただけだぜ?」
「まっ…!!せい、らんぅっ…!!」
僕の静止なんて聞かず、緩く腰を揺らして奥を軽く叩きつつ、僕の中心を優しく握りこむ。ゆっくりと撫で上げ、先程散々いじられて暴かれた僕の感じるところを余すことなく触れていく。ただ先程と違うのは取り付けられたリングのようなものが僕の射精をしっかりと阻止しているということ。それでも変わらず流し込まれる快感の強さに引けそうになる腰は青嵐の右手にしっかりと抑えられ、逃げようともがいた分、強く押し込まれてお仕置きとばかりに奥をごりっと擦られる。
「…ひぁあっ!!…いっしょ、だ、め…」
「なんで?きもちいいだろ?」
「き…もち……からぁあん!!!」
強く先端を擦られて、奥にこつんと当たるとそれだけで達してしまった。しかし僕の欲は堰き止められ、腹の奥で逆流する。その苦しさに涙がにじみ、形にならない言葉が零れ落ちる。
「ぅ……ぁ…」
「苦しいか?緑雨」
「んっ…ぁあっ!!や、もう…やぁ…」
必死に頷いたけど、救われることもなく無情にも青嵐の手はもう一度僕のそこに伸びてきて、限界のその先まで、僕を押し上げる。どうしても力の入る手足に締まるナカ。トんでく意識。ぼやける視界で青嵐の緑はキラキラと輝いていた。
「ぁ…はっ…はぁー…はぁ…」
「お仕置きだから、俺がイくまではこのまま。イくときは…」
一緒にイこうな?耳元で囁かれた言葉を合図にゆっくりと腰が引かれ、圧迫感は抜けていくが排泄するときのような得も言われぬ快感が僕を襲う。感じたことも無いような快感の中で抜け出ていくときに先程見つけられたどうしようもなく気持ちいい場所を強く擦った。びくびくと震える体に青嵐が気付かないわけもなく。もう一度入ってきたときには、憎らしいほどにしっかりと強くそこを擦り上げた。
「ぅあぁああん!!」
「すげー締め付け。気持ちい?」
ずるるっ…と抜けて、ごりごりと、入って。
「っ…!!きもち……イきたぁっ…!!」
苦しい屹立が悲鳴を上げる。お尻がばかになったみたいに気持ちがよくて、でも気持ちがよすぎて、つらい。涙はにじみ、シーツを強く握りしめる。何度もイっているのだ。でも吐き出せない欲がたまり続け、おかしくなっていく頭。
「上手にナカでいけてるじゃん」
「んぁあっ!!?」
無情な言葉とともに止まらない責め苦に何度も引き上げられる体は、もう何度目かわからない絶頂へと誘われる。ふわりと体が揺蕩い、また強い快感に引き戻される。
「……ーっ!ぅはぁー…はぁ…!!」
ぼやけた視界の中で捉えた青嵐が、温もりがなんだかとても恋しくなってナカを締め付け、青嵐に向かって手を伸ばす。気づいた青嵐は動きを緩めて少し身をかがめ、僕の好きにさせてくれた。力の入らない手を何とか持ち上げて青嵐の頭の後ろへと持っていく。全く思い通りに動かない体のせいでうまく抱き着けないんだけど。
「はっ…んぅ……せいらん…」
「緑雨…?」
「はぁ……すき………きす…ほしっ…?っ…!おっきく…?!」
「今のはお前が悪い」
無視できないほどの圧迫感とそれに伴って感じる体に驚く間もなく、強く唇を奪われた。
「んぅーーっ?ん゛んぅ!」
どれだけ声を上げても唇は離れることなく舌を絡ませ、無論勢いも止まることなく、感じるところを確実についてくる。もう何度イったのか、今イっているのかいないのか。それともずっとイっているのか、なにも、わからない。ただ狂おしいほどの気持ちよさが押し寄せ、出せない苦しみも快感に上塗りされていく。
「んっ?!ん゛ん゛ん゛ーっ!」
――――――ごりゅっ。
ぼんやりしてきた頭は青嵐が体勢を変えたことではっきりと覚醒する。抱きしめられて胸が高鳴ったのもつかの間、ぐいっと起き上がらせられてそれから強く押し込まれ、押し上げられる。明らかに入ってきてはいけないところへ青嵐が入ってきて快感ともいえぬ強い刺激に跳ねる体は大きな手に阻まれる。息が苦しくて離れそうになる唇は追いかけられ、塞がれる。酸素の足りない頭は働くことを放棄した。
「はっ…んっ!!」
「んっ……」
強く締め付けたナカに苦しい声を出した青嵐はそれでも勢いをとめず、むしろ先程より早く、強く奥へと入り込んでくる。震える体は敏感にナカの様子を拾い上げ、どくどくと熱を持ち大きさを増す青嵐のものを感じ取る。
「んぃ…ー!!」
不意にパチンッと外されたリングに今までため込まれていたものがはじけ飛んだ。ぱちぱちと明滅する視界。それから息も忘れるほどの快感が襲い掛かる。粘性の少ないさらさらとしたものが流れていき、その刺激にも感じてしまっていた。身じろぐと多少硬度は下がったものの、青嵐のモノはそれでも奥の入り口に緩くはまり、腰に甘い痺れをもたらした。
「はぁっ……よく我慢したな」
「ぅ…青嵐……きもち、かった?」
「っ!お前はほんとに…。あぁ。よかったから今日はもう寝ろ」
「んぅっ……」
ずるりと抜けた青嵐の欲望はいまだ高く上を向いていたが、申し訳なく思いつつも緩やかな眠気とゆっくりと頭を撫でられる感覚がして温かなぬくもりを最後に意識が途切れた。
それから目が覚めた時にはもう昼を過ぎていて、親兄姉に呆れられながらも祝福をされて、そして、青嵐にもう一度好きだといった。緑の瞳は優しく細められ、青嵐からは愛してると告げられた。
幸せ絶頂の僕は街を出ることをためらっていたが、どうやら僕が首都へ行くのは親から青嵐へ筒抜けだったようで、一緒に街を出ることになった。出立する準備はすでにできていたようで用意周到な青嵐に静かに舌を巻いた。
「新婚旅行だな、緑雨?」
そんな言葉に赤くなって怒りつつも同じことを思っていたのは僕だけの秘密だ。
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