一人旅日記

赤羽律紀

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2015年 富山市

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 2015年3月14日に北陸新幹線が開業した。それに乗りたいとつくづく思っていた。そして、4ヶ月後にそれが実現した。夏から秋の変わり目に富山市に行ったのだ。
 初日の8月29日。9時台出発の新幹線で富山に行った。これまで富山や金沢に向かうときは上越新幹線で越後湯沢まで、その後ほくほく線経由の特急に乗るのが定番だった。それが長野経由で真っ直ぐ行けるとあって、富山が近くなったことを実感した。私が乗ったのは「はくたか」号で、途中上越妙高で後続の「かがやき」号に追い抜きされたものの、12時過ぎに富山駅に着いた。
 これまで富山駅に降りたことはあったが、外観はもちろん中もガラッと変わり、新幹線の開業で変化したことを改めて思い知った。早速宿の富山地鉄ホテルに荷物を預けて、路面電車で目的地の広貫堂前へ向かった。広貫堂本社の資料館で富山の薬の歴史に触れて薬文化の奥深さを改めて知り、見学記念のドリンクをもらった。そして、同じ薬問屋の池田屋安兵衛商店に赴き、胃薬を購入した。
 その後に知事公舎を再利用した古志の国文学館を訪れた。藤子不二雄など富山には多くの文人が育ってきた。その世界観に触れた後に演出家の久世光彦氏の企画展を勧められて観賞した。「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」など多くのテレビドラマを作ってきた鬼才の作品の足跡に触れた。
 ちょうどこの日は越中八尾のおわら風の盆の前夜祭があるとのことで夕食後に八尾地区に行くことにした。夕食は富山のブラックラーメン。駅ビルの中にある西町大喜でいただくことにした。ラーメンはご飯と共に頂くのが美味しいと聞き、早速試してみた。噂通りの味に私も思わず箸が止まらなかった。
 その後、高山本線で越中八尾駅に向かい、バスで会場の東町に赴いた。高橋治さんの小説や、石川さゆりさんの歌にも歌われた幻想的な舞う姿に私も酔いしれた。この祭りを通して富山に秋の訪れを感じる祭りの良さを実感した。私もおわら風の盆を見ただけでなく、踊りにも参加した。そして、興奮が冷めぬ中、富山駅に舞い戻った。
 2日目の8月30日。10時にホテルを出て、路面電車に乗って富山城址公園へ。この日はあいにくの天気で、雨が降っていた。その中をくぐって、資料館がある天守閣に登った。変わる街並みの中で、天守閣から見る景色は絶景の一言だった。その後に、ライトレール(現在は富山地鉄)に乗って東岩瀬駅に降り、東家へ。再び北前船で栄えた港町の歴史に触れた後に、富岩運河環水公園を訪れた。そして、チケットを手に鱒の寿司を食べに向かった。しかし、どこも開いているところは少なかった。その中で川上寿司店さんが開いているのを知り、早速いただいてみた。駅弁フェアで食べるよりも現地で食べるのが嬉しい。これが本当に美味しかった。
 夕食は、富山湾の鮨を回転寿司で頂いた。そして、夕方6時半の新幹線で富山駅を後にした。ちょうどその時間にアニメ「サザエさん」のオープニングが放送されており、富山県が紹介されたのを見た。富山が近くなったのを実感し、富山の良さを改めて思い知った2日間だった。
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