254 / 430
第二一九話 シャルロッタ 一六歳 煉獄 〇九
しおりを挟む
「ギョエアアアアアッ!」
「男爵! コカトリスは凶暴で石化能力があるが、それ以外はさほど強力じゃない、とにかく攻撃に当たらないように動き続けるんだ」
リオンはコカトリスの攻撃を避けながらビョーン・ソイルワーク男爵へと声をかける……元冒険者であるリオンの経験値は高く、これまでも守備隊の一部が助言を受けながら護衛任務などに従事したことがあると聞いている。
コカトリスはその強靭な鋭い爪を持つ脚を振り上げ、リオンを踏み潰そうとするがその攻撃を軽く躱した彼は、手に持った偃月刀を使って怪物の胴体を切り付ける。
鋭い斬撃によりコカトリスの肉体が切り裂かれるが、少し踏み込みが甘いのかそれほど大きな裂傷となっていない……だが、その攻撃で怒り狂ったコカトリスは大きく翼を広げると、ターゲットを変えて男爵に向かって鋭い嘴を突いてくる。
「この攻撃は危ない!」
「わかっている!」
鋭い嘴の一撃だったが、男爵はその攻撃をギリギリで避けると彼もまた剣を振るって怪物の体へと切り付ける……だが、思っていたよりもコカトリスの表皮が固く刃先が滑っていく。
先ほどリオンは易々とこの外皮を切り裂いてのけたのか……と感嘆しつつも反撃を防ぐために大きく飛び退くと、それまで男爵のいた場所を蛇のような形をした尻尾がズシン! という重い音と共に叩きつけられた。
破壊力は凄まじい、今の一撃で地面が陥没してしまっている……人間が食らえば一撃で即死することすらあるだろう、だが当たらなければどうということはない。
「おおおっ!」
「ギョアアアアアッ!」
攻撃を避けられたコカトリスは怒りのままに何度も嘴による突きを繰り出すが、その攻撃は直線的で出所がわかりやすいものだ。
凶暴さという点ではかなり危険な魔獣ではあるが、知能としてはそれほど高くなくその異様な声や畳み掛けてくるような攻撃、そして石化ブレスに注意して立ち回れば倒しやすい。
冒険者組合が発行している図鑑にもそう書かれている通りの動きだな、と男爵は以前読んだことのある書物の内容が正しいことに感心しつつも、剣を振るっていく。
剣が当たるたびにかなりの硬さを持つ外皮が次第に傷つき、血を流し始めると同時にコカトリスの動きが鈍くなっていく。
「行けるぞ!」
「今だ畳みかけろ!」
コカトリスへと二人の戦士が切り掛かる……だがコカトリスも満身創痍ながら叫び声をあげながら反撃を試みる。
石化ブレスを再びリオンへ向かって吐き出すとそれまで以上の勢いで、彼に向かって地面を石化させていく……パキパキという音を立てながら変色し、朽ち果てていくのを見て慌てて大きくリオンが飛び退く……あれに当たったらひとたまりもないだろう。
ブレスを吐き終わったコカトリスには隙が生まれる……その隙を逃さず男爵は剣を怪物の肉体へと突き立てた。
「くたばれえっ!」
「ギャアアアッ!」
男爵の剣はその硬い表皮を貫き肉体へとめり込んでいく……コカトリスの青色にも見える血液が吹き出すが、あまりの激臭に彼は大きく咳き込んだ。
コカトリスが痛みで大きく暴れたたことで、男爵は剣を手放してしまいそのまま大きく空中に投げ出された……視界の外に怪物が怒りに満ちた目で彼をじっと睨みつけているのが見える。
まるで永遠かと思えるくらいにゆっくりとした時間の流れの中、コカトリスは再び石化ブレスを吐き出すために大きく息を吸い込む。
だが……その思い切り胸を張ったその瞬間にリオンの一撃が叩き込まれると、その一撃でコカトリスはビクビクッと体を震わせてゆっくりと地面へと倒れ伏す。
「……素晴らしい太刀筋だったな、さすが元冒険者」
「いや、もう引退してから長いですからね……さすがに厳しいですよ」
「そうか? 今でも現役で通用しそうなものだが」
「自分が見た理想の剣には程遠いですね」
「そうか……」
男爵はリオンの言葉に頷くものの、彼の実力は相当に高く最終的な等級が銀級冒険者であったことが信じられないくらいである。
銀級冒険者は非常に数が多くその実力も非常に幅が広いと言われているが……リオンの剣技は十分の銀級上位に匹敵するものと感じられた。
ホッとする間もなく、怒りに満ちた咆哮と共にオーガがその太い腕に無骨な棍棒を振り翳しつつこちらへと迫ってくるのが見える。
男爵とリオンは顔を見合わせて黙って頷くと、迫ってくるオーガへと切り掛かっていく……今はこの凄まじい波状攻撃をどうにかして乗り切る。
「いくぞっ! この街を守り切るんだ!」
「……ねー、まーだー? 全然変わり映えしない風景で飽きてきましたわよ」
「ちっ……飽きっぽい女だな……全く、我慢ということを知らんのか?」
前を歩くシェルヴェンに向かって問いかけるも、彼は舌打ちと共に憎々しげな視線を向けてくるが……しょうがないじゃん。
人間であるわたくしからすると、この異様な世界をずっと見せられているのはしんどいし、正直風景がずっと変わらないという違和感が拭いきれないのだ。
なんというか出来の悪い絵画の中を歩かされているような、そんな気持ち悪さがずっと付き纏っている……その気持ち悪さはわたくしの感覚をずっとおかしくしている気がする。
「そういやアンタいつからここいるのよ?」
「……ずっとだ」
「へー……その門番ってやつは永遠にここを守るもんなの?」
「外に出る、という感覚がわからん。お前は自分の世界の外を想像できるか?」
シェルヴェンの答えにわたくしはグッと言葉に詰まる……そりゃそうだ、私だって自分がいるマルヴァースや以前いたレーヴェンティオラ以外の世界なんか想像がつかなかった。
二つの世界は風俗や様式がかなり似通っていたからあんまり違和感を持たなかったけど、日本からレーヴェンティオラへ転生した時はかなり違和感を感じたものだ。
それと似てるというか同じってことか、まあなんとなくだけど理由というか感覚は理解できる。
「ま、そういうもんかもね……」
「そもそもお前のような人間がこの煉獄へ堕ちてくるのは珍しい、虫を殺そうが動物を殺そうが、同族殺しをしたところでここへは来ないはずだからな」
「どういうやつが堕ちてくるのよ」
「数億の同族を皆殺しにしたり、お前のように神を殺したもの、定められた摂理を破る行為などが該当する」
うーん、まあ神殺しってのはそのくらいの罪になるのか……とはいえ、あのまま放置していればかなりの数の犠牲が出たはずだし、そこまで悪いことをしたとは思えない。
そもそも暴風の邪神は邪神なんだから、倒したっていいじゃねえか! という個人的にはものすごい不満があるわけだけど。
そんなことを考えながら歩いていると、いきなりシェルヴェンが立ち止まったことでわたくしは思い切り彼の体にぶつかってしまう。
「わぷ……! な、何……?」
「ついたぞもう一人の門番の元へ」
シェルヴェンが微妙に緊張気味の顔で話すのを見て、私は眉を顰めるが……彼の前には大きな広場が広がっており、そこは人だけではないが様々な動物の頭蓋骨が小さな塔のように積み重ねられた悪趣味な光景が見える。
異様な匂いが立ち込め、まるで命がないその頭蓋骨が歌うように呻き声を上げている……そのリズムや音程は讃美歌のようにすら聞こえてくるのだ。
趣味が悪いな……あの頭蓋骨には命などなく、ただ単に演出されているかのように動いているだけにも見える。
「……珍しいこともあるものだ」
地獄の底から響くような声があたりに響き渡る……その声は人間であるわたくしの奥底から恐怖心を湧き立たせるような、本能的な恐怖を感じさせるものだ。
つまり……ここにいる門番とやらは確実に強者であるということだろう……その証拠にわたくしの背中の毛が逆立ったまま治る気配を見せない。
だが人間としての本能はどうあれわたくし自身の闘争本能には火がついている……身体は硬く、そして細かく震えているにもかかわらず芯の部分が熱を帯びている気もするのだ。
「おい……なぜ笑う」
「は……? ああ……気にしないで」
口元をそっと撫でると確かにわたくしは今笑っている気がする……指で軽く抑えてその笑みがわからないように覆い隠す。
シェルヴェンは不審げな顔をしてわたくしを見ていたが、それ以上はツッコミを入れずにすぐに広場の中心へと視線を戻す……ずしん、という重量のあるものが動いた音がするとともにその怪物が姿を現した。
なんという醜悪さか……死んでから何ヶ月も放置されたように萎れた肌、象のような鼻を持ったその頭は山羊か何かのような顔にすら見える不気味さがある。
身体は大きく四メートルを超えているだろうか? 人間のように二足歩行ができるような体型をしているが、滑り気のある軟体動物のような胴体から伸びる脚は甲虫のようにすら見える独特の形状を持っている。
さらにその胴体からは複数の器官が伸びており、それは体を支えるために地面へと接触していて、この奇怪な怪物が直立しているのを支えている。
さらにその腕は細く、だがまるで甲殻類のような鋏状の爪が手の代わりに生えていた。
「……人間の女? なんだこの煉獄に似つかわしくない生き物は……」
「大罪を犯したそうだ、贖罪のために火口へ案内している」
「大罪……ふむ……シャルロッタ・インテリペリ……グハハッ! 神殺し!」
怪物は鼻の下に見える牙だらけの口を大きく開いて笑い出す……異様な声だ、人間の魂を直接揺さぶり恐怖心を感じさせる。
だが……わたくしはシェルヴェンの前へと歩み出ると胸を張って怪物へと指を突きつけると、その様子に笑うことをやめて興味深そうにその濁った白い瞳でわたくしを見つめる。
悪臭がする気がする、まるで死体が腐って放置されたかのような耐え難い悪臭だ……ほんの少しだけ眉を顰めたわたくしだったが、そのまま一度息を大きく吐くと怪物に向かって話しかけた。
「……そうわたくしはシャルロッタ・インテリペリ、この煉獄から出るために火口の位置を教えなさい、怪物!」
「男爵! コカトリスは凶暴で石化能力があるが、それ以外はさほど強力じゃない、とにかく攻撃に当たらないように動き続けるんだ」
リオンはコカトリスの攻撃を避けながらビョーン・ソイルワーク男爵へと声をかける……元冒険者であるリオンの経験値は高く、これまでも守備隊の一部が助言を受けながら護衛任務などに従事したことがあると聞いている。
コカトリスはその強靭な鋭い爪を持つ脚を振り上げ、リオンを踏み潰そうとするがその攻撃を軽く躱した彼は、手に持った偃月刀を使って怪物の胴体を切り付ける。
鋭い斬撃によりコカトリスの肉体が切り裂かれるが、少し踏み込みが甘いのかそれほど大きな裂傷となっていない……だが、その攻撃で怒り狂ったコカトリスは大きく翼を広げると、ターゲットを変えて男爵に向かって鋭い嘴を突いてくる。
「この攻撃は危ない!」
「わかっている!」
鋭い嘴の一撃だったが、男爵はその攻撃をギリギリで避けると彼もまた剣を振るって怪物の体へと切り付ける……だが、思っていたよりもコカトリスの表皮が固く刃先が滑っていく。
先ほどリオンは易々とこの外皮を切り裂いてのけたのか……と感嘆しつつも反撃を防ぐために大きく飛び退くと、それまで男爵のいた場所を蛇のような形をした尻尾がズシン! という重い音と共に叩きつけられた。
破壊力は凄まじい、今の一撃で地面が陥没してしまっている……人間が食らえば一撃で即死することすらあるだろう、だが当たらなければどうということはない。
「おおおっ!」
「ギョアアアアアッ!」
攻撃を避けられたコカトリスは怒りのままに何度も嘴による突きを繰り出すが、その攻撃は直線的で出所がわかりやすいものだ。
凶暴さという点ではかなり危険な魔獣ではあるが、知能としてはそれほど高くなくその異様な声や畳み掛けてくるような攻撃、そして石化ブレスに注意して立ち回れば倒しやすい。
冒険者組合が発行している図鑑にもそう書かれている通りの動きだな、と男爵は以前読んだことのある書物の内容が正しいことに感心しつつも、剣を振るっていく。
剣が当たるたびにかなりの硬さを持つ外皮が次第に傷つき、血を流し始めると同時にコカトリスの動きが鈍くなっていく。
「行けるぞ!」
「今だ畳みかけろ!」
コカトリスへと二人の戦士が切り掛かる……だがコカトリスも満身創痍ながら叫び声をあげながら反撃を試みる。
石化ブレスを再びリオンへ向かって吐き出すとそれまで以上の勢いで、彼に向かって地面を石化させていく……パキパキという音を立てながら変色し、朽ち果てていくのを見て慌てて大きくリオンが飛び退く……あれに当たったらひとたまりもないだろう。
ブレスを吐き終わったコカトリスには隙が生まれる……その隙を逃さず男爵は剣を怪物の肉体へと突き立てた。
「くたばれえっ!」
「ギャアアアッ!」
男爵の剣はその硬い表皮を貫き肉体へとめり込んでいく……コカトリスの青色にも見える血液が吹き出すが、あまりの激臭に彼は大きく咳き込んだ。
コカトリスが痛みで大きく暴れたたことで、男爵は剣を手放してしまいそのまま大きく空中に投げ出された……視界の外に怪物が怒りに満ちた目で彼をじっと睨みつけているのが見える。
まるで永遠かと思えるくらいにゆっくりとした時間の流れの中、コカトリスは再び石化ブレスを吐き出すために大きく息を吸い込む。
だが……その思い切り胸を張ったその瞬間にリオンの一撃が叩き込まれると、その一撃でコカトリスはビクビクッと体を震わせてゆっくりと地面へと倒れ伏す。
「……素晴らしい太刀筋だったな、さすが元冒険者」
「いや、もう引退してから長いですからね……さすがに厳しいですよ」
「そうか? 今でも現役で通用しそうなものだが」
「自分が見た理想の剣には程遠いですね」
「そうか……」
男爵はリオンの言葉に頷くものの、彼の実力は相当に高く最終的な等級が銀級冒険者であったことが信じられないくらいである。
銀級冒険者は非常に数が多くその実力も非常に幅が広いと言われているが……リオンの剣技は十分の銀級上位に匹敵するものと感じられた。
ホッとする間もなく、怒りに満ちた咆哮と共にオーガがその太い腕に無骨な棍棒を振り翳しつつこちらへと迫ってくるのが見える。
男爵とリオンは顔を見合わせて黙って頷くと、迫ってくるオーガへと切り掛かっていく……今はこの凄まじい波状攻撃をどうにかして乗り切る。
「いくぞっ! この街を守り切るんだ!」
「……ねー、まーだー? 全然変わり映えしない風景で飽きてきましたわよ」
「ちっ……飽きっぽい女だな……全く、我慢ということを知らんのか?」
前を歩くシェルヴェンに向かって問いかけるも、彼は舌打ちと共に憎々しげな視線を向けてくるが……しょうがないじゃん。
人間であるわたくしからすると、この異様な世界をずっと見せられているのはしんどいし、正直風景がずっと変わらないという違和感が拭いきれないのだ。
なんというか出来の悪い絵画の中を歩かされているような、そんな気持ち悪さがずっと付き纏っている……その気持ち悪さはわたくしの感覚をずっとおかしくしている気がする。
「そういやアンタいつからここいるのよ?」
「……ずっとだ」
「へー……その門番ってやつは永遠にここを守るもんなの?」
「外に出る、という感覚がわからん。お前は自分の世界の外を想像できるか?」
シェルヴェンの答えにわたくしはグッと言葉に詰まる……そりゃそうだ、私だって自分がいるマルヴァースや以前いたレーヴェンティオラ以外の世界なんか想像がつかなかった。
二つの世界は風俗や様式がかなり似通っていたからあんまり違和感を持たなかったけど、日本からレーヴェンティオラへ転生した時はかなり違和感を感じたものだ。
それと似てるというか同じってことか、まあなんとなくだけど理由というか感覚は理解できる。
「ま、そういうもんかもね……」
「そもそもお前のような人間がこの煉獄へ堕ちてくるのは珍しい、虫を殺そうが動物を殺そうが、同族殺しをしたところでここへは来ないはずだからな」
「どういうやつが堕ちてくるのよ」
「数億の同族を皆殺しにしたり、お前のように神を殺したもの、定められた摂理を破る行為などが該当する」
うーん、まあ神殺しってのはそのくらいの罪になるのか……とはいえ、あのまま放置していればかなりの数の犠牲が出たはずだし、そこまで悪いことをしたとは思えない。
そもそも暴風の邪神は邪神なんだから、倒したっていいじゃねえか! という個人的にはものすごい不満があるわけだけど。
そんなことを考えながら歩いていると、いきなりシェルヴェンが立ち止まったことでわたくしは思い切り彼の体にぶつかってしまう。
「わぷ……! な、何……?」
「ついたぞもう一人の門番の元へ」
シェルヴェンが微妙に緊張気味の顔で話すのを見て、私は眉を顰めるが……彼の前には大きな広場が広がっており、そこは人だけではないが様々な動物の頭蓋骨が小さな塔のように積み重ねられた悪趣味な光景が見える。
異様な匂いが立ち込め、まるで命がないその頭蓋骨が歌うように呻き声を上げている……そのリズムや音程は讃美歌のようにすら聞こえてくるのだ。
趣味が悪いな……あの頭蓋骨には命などなく、ただ単に演出されているかのように動いているだけにも見える。
「……珍しいこともあるものだ」
地獄の底から響くような声があたりに響き渡る……その声は人間であるわたくしの奥底から恐怖心を湧き立たせるような、本能的な恐怖を感じさせるものだ。
つまり……ここにいる門番とやらは確実に強者であるということだろう……その証拠にわたくしの背中の毛が逆立ったまま治る気配を見せない。
だが人間としての本能はどうあれわたくし自身の闘争本能には火がついている……身体は硬く、そして細かく震えているにもかかわらず芯の部分が熱を帯びている気もするのだ。
「おい……なぜ笑う」
「は……? ああ……気にしないで」
口元をそっと撫でると確かにわたくしは今笑っている気がする……指で軽く抑えてその笑みがわからないように覆い隠す。
シェルヴェンは不審げな顔をしてわたくしを見ていたが、それ以上はツッコミを入れずにすぐに広場の中心へと視線を戻す……ずしん、という重量のあるものが動いた音がするとともにその怪物が姿を現した。
なんという醜悪さか……死んでから何ヶ月も放置されたように萎れた肌、象のような鼻を持ったその頭は山羊か何かのような顔にすら見える不気味さがある。
身体は大きく四メートルを超えているだろうか? 人間のように二足歩行ができるような体型をしているが、滑り気のある軟体動物のような胴体から伸びる脚は甲虫のようにすら見える独特の形状を持っている。
さらにその胴体からは複数の器官が伸びており、それは体を支えるために地面へと接触していて、この奇怪な怪物が直立しているのを支えている。
さらにその腕は細く、だがまるで甲殻類のような鋏状の爪が手の代わりに生えていた。
「……人間の女? なんだこの煉獄に似つかわしくない生き物は……」
「大罪を犯したそうだ、贖罪のために火口へ案内している」
「大罪……ふむ……シャルロッタ・インテリペリ……グハハッ! 神殺し!」
怪物は鼻の下に見える牙だらけの口を大きく開いて笑い出す……異様な声だ、人間の魂を直接揺さぶり恐怖心を感じさせる。
だが……わたくしはシェルヴェンの前へと歩み出ると胸を張って怪物へと指を突きつけると、その様子に笑うことをやめて興味深そうにその濁った白い瞳でわたくしを見つめる。
悪臭がする気がする、まるで死体が腐って放置されたかのような耐え難い悪臭だ……ほんの少しだけ眉を顰めたわたくしだったが、そのまま一度息を大きく吐くと怪物に向かって話しかけた。
「……そうわたくしはシャルロッタ・インテリペリ、この煉獄から出るために火口の位置を教えなさい、怪物!」
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる