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第二四六話 シャルロッタ 一六歳 大感染の悪魔 〇六
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「……そうか、僕は戻って……え?」
次第に色を取り戻していく世界の中、手の中にある蜻蛉が鈍く震えた気がしてクリストフェルは気を取り直して武器を構える。
永遠のようにすら感じられた女神との邂逅だが、彼女は戻ったら一秒も経過していないと話していた……だから次に動かなければいけないことはわかっている。
よく見ればクーランの目は自分をじっと見つめていた……クリストフェルが切り掛かった瞬間に反撃を行えるように、蜘蛛の足が彼の視界の外から伸びているのが今更ながらに分かってしまい、思わず苦笑いを浮かべてしまう。
だから時が止まる瞬間にマリアンはあんなに心配そうな表情を浮かべて……ヴィクターも叫んでたのか、と納得しながら次の行動を考えていく。
「普通に斬りかかったら死んでたんだな……」
時が戻る瞬間……彼は一気に前に出る、自分だけがその瞬間に動けるということを頭の片隅で意識していたからできたほんの一瞬の行動は、クーランの視界から自らの姿を消すことに成功した。
悪魔の顔にギョッとしたような焦りや困惑の表情が浮かぶ……まるで超加速したかのようにクーランの背後へと回り込んだクリストフェルが、その蜘蛛の胴体に見える腹部へと剣を突き立てるその瞬間まで、悪魔は姿を捉えることができていなかった。
「え? な……こ、これは……?!」
「少しだけズルをしたね……だけどここに君の核があるんだってなぜだかわかったよ」
クリストフェルがグイッと手をひねると同時に、クーランの顔に恐怖と絶望の色が浮かぶ……ガラスか何かを割ったかのような甲高い音が響き、暴力の悪魔の体がビクン! と飛び跳ねるような痙攣を見せる。
ゆっくりと震えながら振り返ったクーランの瞳と、クリストフェルの青い瞳が交差する……それまで深い青い色だったはずの彼の瞳にはほのかな魔力が灯っており、悪魔はほんの一瞬の間に彼が変わったことにその時初めて気がついた。
クーランは自らをこの世界に縛り付けるための核が完全に崩壊しつつあることに気がついた……体が重く、動かせなくなっていくのがわかる……強制進化に必要な魂が足りない、それほど殺せていないからだ。
「ば、バカな……お前は勇者の器であって、勇者ではなかったはず……」
「……目覚めたのさ、真の愛と勇気にね」
「これは美しくない暴力……なんて酷い結末を……これはクソゲーだ……」
まるで汚泥に戻るかのようにクーランの体がドロッとした液体となって溶け出していくのを見て、全員が顔を顰める……この世に存在する悪臭の中でも飛び抜けて不快感をもたらすような黒い煙を上げながら暴力の悪魔の肉体が崩壊していった。
あの一瞬の攻防で何が起きたのか、とヴィクターやマリアンは驚きを隠せない……まるで瞬間移動のようにクリストフェルは悪魔の背後へと回って剣を突き立てていた。
ユルはその動きを空中から見ていたため、一連の動きを見ることができていたが……その動き出しの速さと、無慈悲に剣を突き立てた姿に背筋にゾクリとしたものが走る。
「シャルと同じ……」
そう常人の動きではない、あんな速度で動き出せるような人類などいない。
シャルロッタもそこまで自分のことを話す人間ではないが、ユルは契約したことによってある程度彼女の保有している知識の一部を共有しているため、勇者がなんであるのか? を理解している。
勇者とは絶対的な戦闘兵器であり、女神により選ばれた最強の存在である……彼らは人の姿を取っているが、本質的には人とは違うものとして扱われる。
契約者であるシャルロッタが打ち砕く者との戦いで、肉体の一部を欠損した状態でも戦闘能力を失うことはなかった。
あの戦いにおいて彼女が本質的に人間とは違う存在なのだ、ということに気がついたものもいるだろう。
クリストフェルの手前それを口に出すことはないだろうが……怪我人の肉体を一瞬にして修復する魔力や、圧倒的な魔法行使能力を見ればそれが人ではないとどこかで思うものだ。
そして……目の前で冷たい表情で崩れ落ちていく暴力の悪魔を見つめるクリストフェルの姿にもどこか彼女と似たような雰囲気を感じる。
「こ、婚約者どの……」
「ユル、周囲の探索をしてくれ……まだ戦場に変な空気が流れているよ」
「は、はい……承知しました……」
「ヴィクター、マリアン……周囲の怪我人を探して保護するんだ、助けられるものは全て助けないと」
一度蜻蛉を振って刀身についた悪魔の体液を払ったクリストフェルは、鞘に剣を納めると呆然と自分を見ている侍従二人に微笑む。
その言葉に慌てて頷くと、二人は周りの状況を確認するために走り出す……それを見て満足そうな微笑みを見せると、クリストフェルはじっと第一王子派の軍が集結しているであろう方向へを目を凝らす。
深い青色の瞳にはほのかな魔力が宿っており、ぼんやりとした光を帯びている……彼の目にはずっと遠くにいるはずの複数の魔力が映っていた。
さっきまでこんな能力は自分には備わっていなかった、だが女神との邂逅で何かが目覚めたのだろうか? だがこれは便利だな、と素直に思った。
「シャルはどこにいるかな……」
第一王子派の軍に複数の赤く光る魔力が見えるのは、おそらく何か危険な存在が紛れ込んでいるのだろうとは予測できる。
視界を調節しながら辺りを観察していると一際強く光る緑の光のようなものが見える……その光は温かく懐かしいもののように感じるが、その前にいるのは強く輝く赤い光だ。
シャルロッタは今強力な敵と戦っている……強く光る赤い光は遠くからそれを見ているクリストフェルから見ても恐ろしく強大で恐ろしい相手のように思える。
だが……確信がある、シャルロッタであればそれすらも問題ないのだと、自分が選んだ婚約者はとんでもない能力を秘めた存在なのだと、改めて確信させれられた。
「……そっか、本当に僕は運がいいんだな……シャルがこんなに強い光を放っているなんて……」
今シャルロッタの前にいる赤い光……その敵を自分が倒せるのか? と考えてみるものの、今の自分では絶対に倒せないことだけがわかる。
これまで自分が剣の訓練などで圧倒的な実力差を感じさせれたことは何度かあるが、今目の前にその強大な敵が出現したとして相手の強さがある程度推し量れるようになっているのであれば、彼は素直に逃走することを選ぶかもしれない。
それが決して恥などではないことはエルネットのような冒険者からよく聞いて学んでいた……死に急ぐものは愚かであり、最終的に勝利を掴むためにどれだけ逃げ続けても構わない。
ただ勝負どころでは絶対に逃げず、立ち向かう必要があるのだと……クリストフェル自身は冒険者ではないが、そういった先人からよく学ぶことができていた。
「……だけど、いつか必ず……僕は実力を持ってシャルの隣に立って見せる」
「……悪魔が死んだ? 嘘でしょ?!」
聖女ソフィーヤ・ハルフォードは神聖騎士団の陣営の中を歩きながら眉を顰めた。
彼女の魔力探知に捉えていたはずのクーランの魔力が消失したことで、ソフィーヤは呼び出した悪魔が倒されたことを理解した。
暴力の悪魔を倒せるような人物がそうそういては困るのだ、「赤竜の息吹」のエルネット・ファイアーハウスならいざ知らず、それ以外の人物で悪魔が倒せるわけがない。
シャルロッタが出てきたのか? とは思ったが訓戒者がどうにかすると考えていたのだが、どうもその辺りはうまく実行できていないらしい。
「もし殿下が成長して……いやいや、そんなことは……」
クリストフェル・マルムスティーンが勇者としての道を歩み始めるのは、本音としては嬉しい……自分が慕う存在が世界にとって役に立つ人間へと成長していくのであれば、素晴らしいことだと思う。
ただ……それはソフィーヤにとっては自らが導いた結果であるべきだと考えている、シャルロッタ・インテリペリが導いたり、それ以外のものが彼を成長させてしまうなどあり得ない話なのだ。
彼を優しく、そして公私共に導くために彼女は聖女という役目を受けることを決意したのだから。
「殿下……ダメですよ、私が貴方を導き愛するのですから……」
ソフィーヤは自身では全く気がついていなかったが、少し歪んだ笑みとも嫉妬に駆られた顔とも思える複雑な表情を浮かべながら一際大きな天幕へと足を踏み入れる。
ここには神聖騎士団が連れてきていた数人の囚人たちが檻の中に閉じ込められている……ソフィーヤという美しい貴族令嬢がその場に入ってきてもまるでそれには関心がないように、虚空を見つめて何事か呟いている。
口元には笑みが浮かび、まるで恍惚とした表情にも見えるが……それはソフィーヤが介抱していたあの兵士にも似た、どことなく空虚な色が浮かんでいる。
「……さあ生贄たちよ……お前たちの出番が来たわ」
「ああああ、せいじょさまぁ……おれたちはどうすればいいですかぁ?」
「皆の心に語りかける存在へと、身をゆだねさない……女神様は全てをお許しになるわ」
ソフィーヤが彼らの前でひざまづき、まるで敬虔な使徒のように祈りを捧げると囚人たちの身体がボコン! という異音を立てて風船のように膨らんでいく。
恍惚とした表情と、歓喜の嬌声を上げつつ囚人たちの姿が次第に変化していくのが見える……軽く目を開けたソフィーヤの前で囚人たちはその体を破裂させ、まるで内臓や骨、そして肉が生きているように別の存在へと作り替えられていった。
赤黒い内臓と血液、そして砕けた骨は次第に一つの形を作り上げていく……囚人たちの肉体を再構成したその肉体はグラマラスで美しい女性の姿へと変化していく。
全身を覆う血液が怪しく輝く……女性としての素晴らしい肉体を持ちながらも股間には男性の象徴が複数隆起し、背中には美しい白亜の六つの翼が広がっていく。
美しくも不気味な人形の悪魔は、乳房を伝う血液を幾重にも分かれた舌を使って舐めとると怪しく微笑む。
「ああ、甘美なるかな……聖女の求めに応じて妾はここへ現れたり……六情の悪魔フェリピニアーダがマルヴァースへと顕現せしめる……」
次第に色を取り戻していく世界の中、手の中にある蜻蛉が鈍く震えた気がしてクリストフェルは気を取り直して武器を構える。
永遠のようにすら感じられた女神との邂逅だが、彼女は戻ったら一秒も経過していないと話していた……だから次に動かなければいけないことはわかっている。
よく見ればクーランの目は自分をじっと見つめていた……クリストフェルが切り掛かった瞬間に反撃を行えるように、蜘蛛の足が彼の視界の外から伸びているのが今更ながらに分かってしまい、思わず苦笑いを浮かべてしまう。
だから時が止まる瞬間にマリアンはあんなに心配そうな表情を浮かべて……ヴィクターも叫んでたのか、と納得しながら次の行動を考えていく。
「普通に斬りかかったら死んでたんだな……」
時が戻る瞬間……彼は一気に前に出る、自分だけがその瞬間に動けるということを頭の片隅で意識していたからできたほんの一瞬の行動は、クーランの視界から自らの姿を消すことに成功した。
悪魔の顔にギョッとしたような焦りや困惑の表情が浮かぶ……まるで超加速したかのようにクーランの背後へと回り込んだクリストフェルが、その蜘蛛の胴体に見える腹部へと剣を突き立てるその瞬間まで、悪魔は姿を捉えることができていなかった。
「え? な……こ、これは……?!」
「少しだけズルをしたね……だけどここに君の核があるんだってなぜだかわかったよ」
クリストフェルがグイッと手をひねると同時に、クーランの顔に恐怖と絶望の色が浮かぶ……ガラスか何かを割ったかのような甲高い音が響き、暴力の悪魔の体がビクン! と飛び跳ねるような痙攣を見せる。
ゆっくりと震えながら振り返ったクーランの瞳と、クリストフェルの青い瞳が交差する……それまで深い青い色だったはずの彼の瞳にはほのかな魔力が灯っており、悪魔はほんの一瞬の間に彼が変わったことにその時初めて気がついた。
クーランは自らをこの世界に縛り付けるための核が完全に崩壊しつつあることに気がついた……体が重く、動かせなくなっていくのがわかる……強制進化に必要な魂が足りない、それほど殺せていないからだ。
「ば、バカな……お前は勇者の器であって、勇者ではなかったはず……」
「……目覚めたのさ、真の愛と勇気にね」
「これは美しくない暴力……なんて酷い結末を……これはクソゲーだ……」
まるで汚泥に戻るかのようにクーランの体がドロッとした液体となって溶け出していくのを見て、全員が顔を顰める……この世に存在する悪臭の中でも飛び抜けて不快感をもたらすような黒い煙を上げながら暴力の悪魔の肉体が崩壊していった。
あの一瞬の攻防で何が起きたのか、とヴィクターやマリアンは驚きを隠せない……まるで瞬間移動のようにクリストフェルは悪魔の背後へと回って剣を突き立てていた。
ユルはその動きを空中から見ていたため、一連の動きを見ることができていたが……その動き出しの速さと、無慈悲に剣を突き立てた姿に背筋にゾクリとしたものが走る。
「シャルと同じ……」
そう常人の動きではない、あんな速度で動き出せるような人類などいない。
シャルロッタもそこまで自分のことを話す人間ではないが、ユルは契約したことによってある程度彼女の保有している知識の一部を共有しているため、勇者がなんであるのか? を理解している。
勇者とは絶対的な戦闘兵器であり、女神により選ばれた最強の存在である……彼らは人の姿を取っているが、本質的には人とは違うものとして扱われる。
契約者であるシャルロッタが打ち砕く者との戦いで、肉体の一部を欠損した状態でも戦闘能力を失うことはなかった。
あの戦いにおいて彼女が本質的に人間とは違う存在なのだ、ということに気がついたものもいるだろう。
クリストフェルの手前それを口に出すことはないだろうが……怪我人の肉体を一瞬にして修復する魔力や、圧倒的な魔法行使能力を見ればそれが人ではないとどこかで思うものだ。
そして……目の前で冷たい表情で崩れ落ちていく暴力の悪魔を見つめるクリストフェルの姿にもどこか彼女と似たような雰囲気を感じる。
「こ、婚約者どの……」
「ユル、周囲の探索をしてくれ……まだ戦場に変な空気が流れているよ」
「は、はい……承知しました……」
「ヴィクター、マリアン……周囲の怪我人を探して保護するんだ、助けられるものは全て助けないと」
一度蜻蛉を振って刀身についた悪魔の体液を払ったクリストフェルは、鞘に剣を納めると呆然と自分を見ている侍従二人に微笑む。
その言葉に慌てて頷くと、二人は周りの状況を確認するために走り出す……それを見て満足そうな微笑みを見せると、クリストフェルはじっと第一王子派の軍が集結しているであろう方向へを目を凝らす。
深い青色の瞳にはほのかな魔力が宿っており、ぼんやりとした光を帯びている……彼の目にはずっと遠くにいるはずの複数の魔力が映っていた。
さっきまでこんな能力は自分には備わっていなかった、だが女神との邂逅で何かが目覚めたのだろうか? だがこれは便利だな、と素直に思った。
「シャルはどこにいるかな……」
第一王子派の軍に複数の赤く光る魔力が見えるのは、おそらく何か危険な存在が紛れ込んでいるのだろうとは予測できる。
視界を調節しながら辺りを観察していると一際強く光る緑の光のようなものが見える……その光は温かく懐かしいもののように感じるが、その前にいるのは強く輝く赤い光だ。
シャルロッタは今強力な敵と戦っている……強く光る赤い光は遠くからそれを見ているクリストフェルから見ても恐ろしく強大で恐ろしい相手のように思える。
だが……確信がある、シャルロッタであればそれすらも問題ないのだと、自分が選んだ婚約者はとんでもない能力を秘めた存在なのだと、改めて確信させれられた。
「……そっか、本当に僕は運がいいんだな……シャルがこんなに強い光を放っているなんて……」
今シャルロッタの前にいる赤い光……その敵を自分が倒せるのか? と考えてみるものの、今の自分では絶対に倒せないことだけがわかる。
これまで自分が剣の訓練などで圧倒的な実力差を感じさせれたことは何度かあるが、今目の前にその強大な敵が出現したとして相手の強さがある程度推し量れるようになっているのであれば、彼は素直に逃走することを選ぶかもしれない。
それが決して恥などではないことはエルネットのような冒険者からよく聞いて学んでいた……死に急ぐものは愚かであり、最終的に勝利を掴むためにどれだけ逃げ続けても構わない。
ただ勝負どころでは絶対に逃げず、立ち向かう必要があるのだと……クリストフェル自身は冒険者ではないが、そういった先人からよく学ぶことができていた。
「……だけど、いつか必ず……僕は実力を持ってシャルの隣に立って見せる」
「……悪魔が死んだ? 嘘でしょ?!」
聖女ソフィーヤ・ハルフォードは神聖騎士団の陣営の中を歩きながら眉を顰めた。
彼女の魔力探知に捉えていたはずのクーランの魔力が消失したことで、ソフィーヤは呼び出した悪魔が倒されたことを理解した。
暴力の悪魔を倒せるような人物がそうそういては困るのだ、「赤竜の息吹」のエルネット・ファイアーハウスならいざ知らず、それ以外の人物で悪魔が倒せるわけがない。
シャルロッタが出てきたのか? とは思ったが訓戒者がどうにかすると考えていたのだが、どうもその辺りはうまく実行できていないらしい。
「もし殿下が成長して……いやいや、そんなことは……」
クリストフェル・マルムスティーンが勇者としての道を歩み始めるのは、本音としては嬉しい……自分が慕う存在が世界にとって役に立つ人間へと成長していくのであれば、素晴らしいことだと思う。
ただ……それはソフィーヤにとっては自らが導いた結果であるべきだと考えている、シャルロッタ・インテリペリが導いたり、それ以外のものが彼を成長させてしまうなどあり得ない話なのだ。
彼を優しく、そして公私共に導くために彼女は聖女という役目を受けることを決意したのだから。
「殿下……ダメですよ、私が貴方を導き愛するのですから……」
ソフィーヤは自身では全く気がついていなかったが、少し歪んだ笑みとも嫉妬に駆られた顔とも思える複雑な表情を浮かべながら一際大きな天幕へと足を踏み入れる。
ここには神聖騎士団が連れてきていた数人の囚人たちが檻の中に閉じ込められている……ソフィーヤという美しい貴族令嬢がその場に入ってきてもまるでそれには関心がないように、虚空を見つめて何事か呟いている。
口元には笑みが浮かび、まるで恍惚とした表情にも見えるが……それはソフィーヤが介抱していたあの兵士にも似た、どことなく空虚な色が浮かんでいる。
「……さあ生贄たちよ……お前たちの出番が来たわ」
「ああああ、せいじょさまぁ……おれたちはどうすればいいですかぁ?」
「皆の心に語りかける存在へと、身をゆだねさない……女神様は全てをお許しになるわ」
ソフィーヤが彼らの前でひざまづき、まるで敬虔な使徒のように祈りを捧げると囚人たちの身体がボコン! という異音を立てて風船のように膨らんでいく。
恍惚とした表情と、歓喜の嬌声を上げつつ囚人たちの姿が次第に変化していくのが見える……軽く目を開けたソフィーヤの前で囚人たちはその体を破裂させ、まるで内臓や骨、そして肉が生きているように別の存在へと作り替えられていった。
赤黒い内臓と血液、そして砕けた骨は次第に一つの形を作り上げていく……囚人たちの肉体を再構成したその肉体はグラマラスで美しい女性の姿へと変化していく。
全身を覆う血液が怪しく輝く……女性としての素晴らしい肉体を持ちながらも股間には男性の象徴が複数隆起し、背中には美しい白亜の六つの翼が広がっていく。
美しくも不気味な人形の悪魔は、乳房を伝う血液を幾重にも分かれた舌を使って舐めとると怪しく微笑む。
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