クソつよ性欲隠して結婚したら草食系旦那が巨根で絶倫だった

山吹花月

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 湖の周りを散策途中、雑貨屋を見つけた。

 看板には小さな花があしらわれておりかわいらしい印象だ。

「かわいい雰囲気ね」

「そうだね。入ってみようか」

 アンティーク調のドアノブを引くと、カラン、と木のベルがふたりの入店を知らせる。

「いらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ」

 カウンターからは白髪を後頭部で上品にまとめた女性が顔を出した。

 軽く会釈をして店内を見回る。

 置物や食器が並ぶ中、クレオがひときわ目を惹く一角があった。

「レース?」

 クレオの視線に気付いたロキが問う。

「うん、すごく綺麗」

 細い金銀糸で繊細に編みこまれたレース。

 角度によって輝きが変わり見ていて飽きない。

「花嫁のベールに使われることもあるんですよ」

 店員の女性がおだやかに言う。

「近くに教会がありましてね」

「教会……」

 クレオの瞳が輝く。

 ふたりは入籍の手続きをしただけで結婚式は挙げていなかった。

「どこにあるか詳しく教えてもらってもいいですか」

 ロキが女性に聞き返す。

「一本道でしてね」

 女性は手元のメモにさらさらとなにかを書き始める。

「はい、いってらっしゃい」

 手渡された紙には、この短時間で書き上げたとは思えないほど丁寧な道順が描かれていた。

「助かります」

 ロキが紙を受け取り店員へ会釈する。

「折角だから行ってみようか」

 ロキに促され店を出た。

「ありがとうございました」

 店員の声を背に、もらった地図を頼りに教会へ向かう。

 幸いにも一本道でわかりやすく迷うことなく辿り着けた。

 大きな規模ではないが、趣のある親しみ深い教会がふたりの目の前に現れる。

 入り口は解放されており、子供たちが無邪気に走り回っていた。

「よろしければどうぞ」

 老齢のシスターに促され中へ足を踏み入れた。

 厳かでありながら温かみのある雰囲気。

 内装に見惚れていると、突然クレオの服の裾が引っ張られた。

 見ると幼い女の子がふたりを見上げていた。

「おねえさんたち、ここでけっこんしきするの?」

「わあ! けっこんしきだあ!」

 クレオの返事を待たず、女の子の言葉を聞きつけた他の子供たちがわらわらとふたりを取り囲む。

「こらこら、みんな落ち着いて」

 シスターが子供たちをたしなめる。

「正式な挙式となると事前に相談が必要ですが……」

 シスターがおだやかな笑みのままふたりに語りかける。

「互いに愛を誓い合うだけでしたら、今すぐにでも」

「やったあ! けっこんしきだ!」

 ふたりの返事よりも先に子供たちがはしゃぎ始める。

 正直クレオは胸が高鳴っていた。

 慎ましやかに始まった結婚生活も気に入っていたが、やはり神の前で愛を誓い合う儀式には多少なりとも憧れはある。

 窺うようにロキを見ると柔らかく微笑んでいた。

「しちゃおうか。結婚式」

「えっでも、こんな普通の格好じゃ……」

「じゃあ、これ」

 ふわりと頭上になにかが乗せられる。

「これって……」

「さっきのお店でね」

 それはクレオが気に入っていた金銀糸のベール。

「はなよめさんきれい!」

 女の子たちはさらにはしゃいで黄色い歓声を上げた。

「行こう」

 促されるまま祭壇へ立つ。

「難しい形式はわからないけど」

 ロキが前置きをしてクレオの手を取る。

 左手の薬指に指輪がはめられた。

「ッ、これ……!」

「結婚指輪」

 なめらかな曲線を描いた銀に輝く指輪。

「準備はしてたんだけど、いつ渡そうかなって」

 指輪をはめた薬指にロキの唇が触れる。

「ずっとずっと大切にします。クレオちゃん、大好きです」

 ロキの柔らかな微笑みは滲んだ涙でぼやけてしまった。

「私、も……。ロキ、大好き……」

 溢れる涙を拭ったロキに抱き締められた。

「一緒に幸せな人生を送ろうね」

「うん、うんっ……」

 ぽろぽろと零れ続ける涙で頷くだけで精いっぱいだった。

 子供たちとシスターの祝福を受けながら、これからも彼と人生を歩んでいくんだと決意を新たにした。




「あっという間だったね」

 宿に戻り夕食を終えたひと時、ゆっくりと茶を飲みながらロキが呟く。

 旅行最後の夜、明日には自宅へ帰ることになっていた。

「楽しかったなあ」

 しみじみと呟くロキ。

 目を細め遠くを見つめているような瞳、おそらくこの旅行の思い出を振り返っているのだろう。

「うん、楽しかった」

 クレオも幸せな気持ちを噛みしめながら頷く。

「結婚式、嬉しかった」

「僕も」

 ゆっくりとロキが近付くき唇が触れ合う。

 鼻先が触れ合いそうな距離で見つめ合い、どちらからともなく笑った。

「……あ」

 急にロキが間抜けな声を出す。

「なに?」

「あ、いや、なんでも……」

 歯切れが悪いところを見るに、場違いな話か気まずい内容なのだろう。

「気になる」

 クレオは慣れっこなので気にせず追及する。

「……えっと」

 観念したのかロキはしぶしぶ口を開いた。

「結婚式の後ってことは、今日が初夜か、って、ふと……思っちゃって……」

 気まずそうにロキが俯く。

「良い雰囲気なのになに考えてんだろ僕って思って……」

「いいんじゃない、初夜」

「え?」

「今日が私たちの初夜で」

「クレオちゃん……」

 ロキの手が頬に触れ唇が重なる。

「うんと優しくするから」

 
 
 
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