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始まり
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雨の日、私は歩道の真ん中で倒れていた。
雨の音も車の音も何も聞こえない。
ただ激しく降る雨が私の肌にあたる。
体はまるで押さえつけられているかのように動かない。
私の周りに人が集まってくる。
今日は大切な初めてのデートの日。
どうして私は雨にうたれているのだろうか。
私の人生はこれで終わりか…。
そう考え、目を閉じた
「アユ何しょん?」
目を開けると首を傾げているハルカがいた。
雨は降っていない。
というより、周りが道路ではなくて教室に変わっている。
しかも、目の前にいるハルカの姿はまるで12年前の小学2年生の頃と全く同じだ。
「アユーもう帰らんと先生に怒られるで?」
ハルカはランドセルを背負っている。
「ハルカどうしてその姿なの?」
「何言っとん?小学生なんだから当たり前じゃん。」
おかしい、ありえない。
私は確かあの日に、雨の日に交通事故にあって死んだはずだ。
「アユ変よ?てか、今日宿題結構出たからはよ帰って勉強しよーや。」
ハルカは私のであろうランドセルわ持って教室から出ようとした。
「まってハルカ!1つ聞かせて…。」
私はゆっくりとハルカに言った。
「今何年?」
ハルカは不思議そうに私を見つめながら言った。
「2004年10月1日だけど。」
私は愕然とした。
交通事故にあったのは、2016年11月20日。
そう、ここは12年前の世界だったのだ。
周りにある懐かしい木の机や窓から見える広い運動場が私を更に動揺させる。
どうしてここにいるのだろう。
不思議そうに私を見るハルカの姿があった。
「アユー。はよ帰ろ。」
ハルカは教室から出た。
「ちょっ…まってよ!」
私はハルカを追いかけた。
ハルカを追いかけ、教室から出るとハルカが木下先生と話をしていた。
「木下先生!?」
私は驚き、叫んだ。
「え、どうしたの山口さん?」
木下先生は私の声に驚いていた。
驚くのは私の方だ。
だって、先生は去年胃がんで亡くなったからだ。
「先生ー。アユ今日変なの。」
ハルカは私を指差し、言った。
「変?先生は別にそう思わないけどなぁ。2人共早く帰って宿題しなさい。」
先生はハルカから私のランドセルをとると、私に渡した。
「あ、ありがとうございます。」
私は今の状況に驚きながらランドセルを受け取り、背負った。
「先生さようなら!」
ハルカは木下先生にそう言うと私の手を引っ張り、靴箱の方へ歩いた。
「アユー今日あの道通って帰ろ。」
「え…?あの道?」
「猫ちゃん道!」
ハルカは木下先生に聞こえないように少し大きな声で言った。
「あ…あの猫ちゃん道か…。」
私は思い出した。
猫ちゃん道とは、親友の広中ハルカと6月中旬頃に学校から帰宅中、いつもと違う道を通って帰ろうと家と家の間にある細い道を歩いていると、そこにはたくさんの猫がいたのだ。
私とハルカは無類の猫好きで、その日から猫に会いたくなるとその道を通って帰るようになった。
「…いいよ。」
私はふと考えた。
私とハルカはある雨の日のあの事件により猫ちゃん道を12年間通っていない。
確か、ある日とは
「ハルカ今日って何日って言ったかな?。」
私は靴箱から靴をとり、履き替えようとしているハルカに聞いた。
「もー今日で2回目だよ?10月1日!」
そう…10月1日。
あの事件は10月1日に起こったんだ。
「アユー置いて行くよー。」
ハルカは校門付近まで歩いていた。
「あ、まってよハルカ。」
私は置いて行かれないように、靴を急いで履き替えた。
あの事件とは、12年前の10月1日。
私とハルカは猫ちゃん道を通りに行った。
いつもの細い道で私達は猫と戯れていた。
そんな幸せな時間に突然事件は起こった。
猫と戯れていると小雨が降りだし、私とハルカは家に帰ろうと細い道を抜けようとした。
すると、子猫の鳴き声が聞こえ、ハルカは鳴き声をもとに子猫を探しだした。
「雨にうたれて風邪ひいちゃうかもしれんから、屋根のあるところに避難させてあげよ。」
と、ハルカは言った。
雨はだんだん強くなり、そろそろ帰らないとお母さんに怒られると思った私は
「ハルカ、そろそろ帰ろ。」
と言い、細い道を抜けようとした。
「んー…わかった。」
ハルカは周りをキョロキョロと見渡しながら私の後ろを歩いた。
「あっ!!」
「どうしたの?」
ハルカは立ち止まった。
右側にある家の庭を見て。
私はハルカが見ている方を見た。
「え…。」
そこには子猫の死骸が沢山あり、今まさに子猫を殺そうとしている女の人の姿があった。
「何てことを!」
ハルカはそう言うと、近くにあった小石を庭へ投げた。
すると、女の人は私達の方を見た。
怖い、逃げたい。
私は恐怖でその場から走って逃げた。
逃げて逃げて、もう細い道が見えなくなるほど走った。
「ハルカ!」
私はハルカの名前を呼び、振り返った。
そこにハルカはいなかった。
私はハルカに何かあったと思い、すぐに近所の家へ助けを求め、大人と一緒に細い道に行った。
細い道では、ハルカが女の人に一方的に殴られていた。
傷だらけになったハルカはすぐに救急車で病院に運ばれ、女の人は警察に捕まった。
次の日、私はハルカに会いに病院へ行った。
病室に入ると、手首や頭を包帯で巻いている痛々しい姿のハルカがいた。
病室に入ってきた私に、ハルカは言った。
「おはようアユ。アユは怪我なかった?大丈夫だった?」
私が逃げた後、ハルカは勇敢にも殺されかけていた子猫を助けた。
女の人はハルカを殴り子猫を奪おうとしたが、ハルカは子猫を抱きかかえ、守ったのだ。
その日から私は、ハルカをおいて逃げてしまった自分の弱さを責めた。
そして、ハルカにはその時できた傷が今も、12年後も残っている。
私があの時逃げずに一緒に立ち向かっていれば、何かが変われたはず…。
「アユー?」
ハルカは私の名前を呼ぶ。
呼ばれて顔を上げると、そこにはあの細い道があった。
雨の音も車の音も何も聞こえない。
ただ激しく降る雨が私の肌にあたる。
体はまるで押さえつけられているかのように動かない。
私の周りに人が集まってくる。
今日は大切な初めてのデートの日。
どうして私は雨にうたれているのだろうか。
私の人生はこれで終わりか…。
そう考え、目を閉じた
「アユ何しょん?」
目を開けると首を傾げているハルカがいた。
雨は降っていない。
というより、周りが道路ではなくて教室に変わっている。
しかも、目の前にいるハルカの姿はまるで12年前の小学2年生の頃と全く同じだ。
「アユーもう帰らんと先生に怒られるで?」
ハルカはランドセルを背負っている。
「ハルカどうしてその姿なの?」
「何言っとん?小学生なんだから当たり前じゃん。」
おかしい、ありえない。
私は確かあの日に、雨の日に交通事故にあって死んだはずだ。
「アユ変よ?てか、今日宿題結構出たからはよ帰って勉強しよーや。」
ハルカは私のであろうランドセルわ持って教室から出ようとした。
「まってハルカ!1つ聞かせて…。」
私はゆっくりとハルカに言った。
「今何年?」
ハルカは不思議そうに私を見つめながら言った。
「2004年10月1日だけど。」
私は愕然とした。
交通事故にあったのは、2016年11月20日。
そう、ここは12年前の世界だったのだ。
周りにある懐かしい木の机や窓から見える広い運動場が私を更に動揺させる。
どうしてここにいるのだろう。
不思議そうに私を見るハルカの姿があった。
「アユー。はよ帰ろ。」
ハルカは教室から出た。
「ちょっ…まってよ!」
私はハルカを追いかけた。
ハルカを追いかけ、教室から出るとハルカが木下先生と話をしていた。
「木下先生!?」
私は驚き、叫んだ。
「え、どうしたの山口さん?」
木下先生は私の声に驚いていた。
驚くのは私の方だ。
だって、先生は去年胃がんで亡くなったからだ。
「先生ー。アユ今日変なの。」
ハルカは私を指差し、言った。
「変?先生は別にそう思わないけどなぁ。2人共早く帰って宿題しなさい。」
先生はハルカから私のランドセルをとると、私に渡した。
「あ、ありがとうございます。」
私は今の状況に驚きながらランドセルを受け取り、背負った。
「先生さようなら!」
ハルカは木下先生にそう言うと私の手を引っ張り、靴箱の方へ歩いた。
「アユー今日あの道通って帰ろ。」
「え…?あの道?」
「猫ちゃん道!」
ハルカは木下先生に聞こえないように少し大きな声で言った。
「あ…あの猫ちゃん道か…。」
私は思い出した。
猫ちゃん道とは、親友の広中ハルカと6月中旬頃に学校から帰宅中、いつもと違う道を通って帰ろうと家と家の間にある細い道を歩いていると、そこにはたくさんの猫がいたのだ。
私とハルカは無類の猫好きで、その日から猫に会いたくなるとその道を通って帰るようになった。
「…いいよ。」
私はふと考えた。
私とハルカはある雨の日のあの事件により猫ちゃん道を12年間通っていない。
確か、ある日とは
「ハルカ今日って何日って言ったかな?。」
私は靴箱から靴をとり、履き替えようとしているハルカに聞いた。
「もー今日で2回目だよ?10月1日!」
そう…10月1日。
あの事件は10月1日に起こったんだ。
「アユー置いて行くよー。」
ハルカは校門付近まで歩いていた。
「あ、まってよハルカ。」
私は置いて行かれないように、靴を急いで履き替えた。
あの事件とは、12年前の10月1日。
私とハルカは猫ちゃん道を通りに行った。
いつもの細い道で私達は猫と戯れていた。
そんな幸せな時間に突然事件は起こった。
猫と戯れていると小雨が降りだし、私とハルカは家に帰ろうと細い道を抜けようとした。
すると、子猫の鳴き声が聞こえ、ハルカは鳴き声をもとに子猫を探しだした。
「雨にうたれて風邪ひいちゃうかもしれんから、屋根のあるところに避難させてあげよ。」
と、ハルカは言った。
雨はだんだん強くなり、そろそろ帰らないとお母さんに怒られると思った私は
「ハルカ、そろそろ帰ろ。」
と言い、細い道を抜けようとした。
「んー…わかった。」
ハルカは周りをキョロキョロと見渡しながら私の後ろを歩いた。
「あっ!!」
「どうしたの?」
ハルカは立ち止まった。
右側にある家の庭を見て。
私はハルカが見ている方を見た。
「え…。」
そこには子猫の死骸が沢山あり、今まさに子猫を殺そうとしている女の人の姿があった。
「何てことを!」
ハルカはそう言うと、近くにあった小石を庭へ投げた。
すると、女の人は私達の方を見た。
怖い、逃げたい。
私は恐怖でその場から走って逃げた。
逃げて逃げて、もう細い道が見えなくなるほど走った。
「ハルカ!」
私はハルカの名前を呼び、振り返った。
そこにハルカはいなかった。
私はハルカに何かあったと思い、すぐに近所の家へ助けを求め、大人と一緒に細い道に行った。
細い道では、ハルカが女の人に一方的に殴られていた。
傷だらけになったハルカはすぐに救急車で病院に運ばれ、女の人は警察に捕まった。
次の日、私はハルカに会いに病院へ行った。
病室に入ると、手首や頭を包帯で巻いている痛々しい姿のハルカがいた。
病室に入ってきた私に、ハルカは言った。
「おはようアユ。アユは怪我なかった?大丈夫だった?」
私が逃げた後、ハルカは勇敢にも殺されかけていた子猫を助けた。
女の人はハルカを殴り子猫を奪おうとしたが、ハルカは子猫を抱きかかえ、守ったのだ。
その日から私は、ハルカをおいて逃げてしまった自分の弱さを責めた。
そして、ハルカにはその時できた傷が今も、12年後も残っている。
私があの時逃げずに一緒に立ち向かっていれば、何かが変われたはず…。
「アユー?」
ハルカは私の名前を呼ぶ。
呼ばれて顔を上げると、そこにはあの細い道があった。
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