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空の旅

デザートレース

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 見渡す限り岩しか見当たらない所に飛ばされ、どこに進もうか悩んでいる遠くの方からエンジン音が迫ってくる。
「避けてくれぇぇええええ!」
 大きな球体から悲鳴が真っ直ぐこちらに向かってくる。
「防いで!」
 咄嗟の叫びにサヨが反応し大きな盾を召喚し地面突き刺す、それからすぐに盾の向こうから衝撃と共に衝突音が聞こえる……、しまった魔法を使ってしまった。

「君たち大丈夫か?」
 サヨの盾の横から青年が出てきた、どうやら心配して様子を見に来たようだ。
「はい、大丈夫です」
「よかったぁ、それにしてもすごく丈夫な実態盾だね、自分のにも衝突防止機能があるけどさすがにさっきの速度は確実に防ぎきれると思っていなかったよ」
「それはどうも」
「というか君たちはこんなところでどうしたんだ?」
「いや、その気がついたらココにいて……」
「記憶喪失か、うーんここに居たら危ないしとにかく乗ってくれ、ひとまず安全地帯まで運ぶよ」
「ありがとうございます」

 サヨが盾を消して青年の乗り物を見てみると飛行機についているようなエンジンが2つとむき出しの座席がつながった乗り物があった。
「これは?」
「こいつはデザートレース用のマシンさ、しかも自分で作ったんだぜ」
「それはすごいですね」
「でしょー」
 もともと1人用の乗り物のため無理やり乗り込むことになるがなんとか乗り込むことに成功しサヨとガッツリくっつきなかなか苦しい思いをしながら青年の倉庫に到着した。
「ありがとうございます」
「いいってことよ、ところでさ君たちはこれからする事はないよね?」
「まぁそうですね」
「はい…」
 本当はこの世界の転生者を探さないといけないがまだこの世界に来たばかりで手掛かりなどがないのでしばらくは無いということにしておこう。
「いやー、ちょうど助手というかサポーターが欲しかったんだよねぇ……」
「自分達には技術てきな物は無いかと……」
「そんなの後から身に着ければいいんだよ、それに今はいくつか自動化されているから、モードの切り替えとかまだ完全に自動化できていない所をやってほしんよね」
「そのよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「よっしゃあ、じゃあ泊まる所もないだろうしここの2階がまだ使用してないから好きに使ってくれ、寝具は予備を渡しておくよ」
「ありがとうございます」
「それじゃあ自己紹介からだね、俺はジャン・フリンクだ」
「タチバナ・シュウです」
「タチバナ・サヨです」
「苗字が先にくるタイプの出身かぁ、2人は兄弟かな?」
「夫婦です」
 サヨが即答する。
「そうかわかった短い期間かもしれないけどよろしく」
「よろしくお願いします」

 話が終わると既に夜になっており、ジャンから寝具を受け取り2階で眠ることにする、寝具を2つもらったハズだが1つの寝具でくっついて寝ている、ここの空調がなければ追い出していたが温度が最適だったためそのまま抱き枕にして眠りにつく。
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