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人を武器に変えて戦う世界

秘密主義

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「うわ!」
 2階に上がるといきなり銃撃を受けたが、狙いは粗いようで命中することなく物陰に隠れることができた。

「やっぱり待ち伏せされてましたね」
「1階に誰もいなかったから予想はしていたけど、ここまで熱烈な挨拶とは思わなかった」
「それよりもあの命中精度の悪い銃を分解して整備したい!」
「それは帰ってからねー」
 悶々としているサヨの頭を撫でて抑える。

 近くにあった瓦礫を掴んで通路に投げ込むとその瓦礫目掛けて銃が乱射される、やはり命中精度は悪いようで5秒ほど撃ち続けた後にようやく命中して銃撃が止んだ。
「ちょっと1階いってくる、すぐ戻ってくるよ」
「お、おう」

 サヨと1階に降りる、この階は何も無かったのでゆっくりできる。
「この世界はもしかしたら人が武器になる世界っぽい」
「みたいだね」
 人が武器になって戦う世界は前世の日本でもいくつか作品として存在していたため理解がある、それにサヨに対する反応とヒロインのコがナイフに変身したことからその解釈で間違いないだろう。
「だから次は武器に変身したように見せてほしいけどできるかな?」
「なんとかそれっぽくやってみるよ」
「そしてそんな話をしている内に目的の物発見」
 到着した場所はトイレと思われる場所だ。
「もう機能してなさそうだけど?」
「いや用を足しに来たんじゃなくてコレ」
「それだったらいくつか機能としてあるけど?」
「そういうのは奥の手ってことで出さない方向でいこう、なんか長くなる気がするからあまり能力を出さないようにして、この世界では盾になる能力しかないって事にしておこう」
「うーん、わかった」
 すでに銃撃を行っているがなんとかなるだろう。


「ただいま」
「お帰りって何してきたんだ?」
「コレで向こうの様子を伺おうと思ってな」
「なるほど」
 持ってきた物は手のひらサイズの鏡だ、コレの反射を使って向こうの様子を伺う。
「どう?」
「無人だね」
「どゆこと?」
 鏡に映った様子では台座に銃が固定されていた。

「サヨさん、盾を貸してくれないだろうか?」
「どうして?」
「人がいないのならこの手の障害は簡単に解除できるし早く救出したい」
「分かった僕も行こう、サヨいいよね」
「うん」
 サヨの本体が弾薬などの収納スペースに収まり、自分の手に収まるように盾を出現させる、どうやら偽装は上手くいったようだ、と思いたい。
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