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悪役令嬢を乗せて

シナリオのススメ

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 仕事も終わったので帰還しようと端末を操作してみると、まだ仕事中の表示がされておりまだ帰還ができないようになっていた。
「あれ、まだ完了していない」
「あれ、そうなの?」
 慌てて近くにいつ彼女の元に向かう。

「ちょ、ちょっとまって」
「あら、どうしたの?」
「まだ仕事が終わってないっぽい」
 それを聞いた彼女が足をとめて門へ向かう道から逸れる。

「詳しく教えてくれないかしら?」
「いや、詳しくって言ってもさっきので全部ですよ」
「そうなの……、じゃああの国にもいかない方がいいかな、いとまず近くの森で一晩明かしましょう」
 今立っている場所は門番から見えるのでそのまままっすぐ森に入ってしまうと怪しまれてしまう可能性があるので一度引き返してから森へ向かう。

「さて、今回の事態はもしかして特殊なのではないかしら?」
「察しがよくて助かります」
 森に入ってからしばらく歩き、開けた場所で休むことにした。
「たぶんアレね、これ設定がぶっ飛んだやつね」
「……どういう事でしょうか?」
「たぶんこの世界の舞台はただの異世界じゃないのよ」
「ただの異世界ではないとは?」
 むしろ普通の異世界とはなんなのか……。
「たぶんここは誰かに作られた箱庭みたいなところね」
「つまり逃げ場はない感じですかね?」
「そうね、こんなことな資料集付きの特典版を買っておくべきだったわ……」
「そんなことは予想できるものじゃないですよ」
「とにかくこのまま……、難しい話になったわ」
「どうしたんですか?」
「私の知っている話では、私が私情で処刑されてそれから親が暴走して敵を呼び出してしまって、主人公の保護者はその敵から主人公と攻略対象を守るためにこの世界を作ったのよ……」
「つまりあなたがこのまま逃げていてもいづれ親が暴走してしまうと?」
「そういうこと、つまり私の親を私が倒して主人公側の見方だということを証明しないといけないのよ」
「つまり元の町に戻る必要がありますね」
「そうね、それからてっとり早く私が処刑される必要がある、でもそれはそちらの仕事でできないのでしょう?」
「そうですね」
「私を蘇生か無敵状態にできたりしないの、それか仮死状態にしてやり過ごすとか?」
「すいません、自分たちはどっちかというと戦闘系メインでして……」
「それはごめんね、変なこと聞いて」
「いえ、こっちこそ役に立てなくて申し訳ないです」
「暗い話はやめましょう、ねぇ回復魔法とかはどれくらいまで対応してる?」
「そこまで強くなければ、すいません、この世界の毒にどれだけ対応しているかわからないです」
「それは困ったわね」
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