ヤンチャな鍛冶師はソロプレイ希望―フルダイブ型MMORPG―

UNKNOWN

文字の大きさ
27 / 167
1章 始まり

26.

しおりを挟む
「お、夜になった…それじゃ、平原でレベル上げをしに行こうか」

 俺は再びゲームにログインし、夜の平原で黒狼を探した。

 «ガウっ»
「いや、お前じゃなくて…」
 «グルル»
「いや、お前ボスモンスターじゃん。流石に覇者も倒せていないのにお前を倒すってのは無理だって」
 «ガルル»
「負けてもいいから戦え?やだよ、時間の無駄じゃん」
 «グルル…»
「素材か…うーん…皮、はダメだよな…」
 «グル?グルルゥ…»
「えっ、黒王狼ってお前の他にも居たのか?なるほど、そいつらの素材を…うーん…分かった。だが、1回だけな。
 流石に俺も死にたくはない」

 あ、てか黒王狼の毛皮は覇者と合わせた方が良いよな…素材分解…も錬金術にあったはずだし、今後は皮を使った装備がメインになりそうだな…

「…じゃ、行くぞ」

 俺は黒王狼に瞬時に蹴りを入れた。

 «グルッ…»
「フゥッ…集中が切れるまで、できる限り避けながら攻撃を続ける…!」

 黒王狼は知能が異様に高く、他の狼と違ってフェイントなども沢山攻撃に混ぜてきた。

「これは…フェイント、こっちが本命…大振りから1秒の差が…攻撃を…」

 彼は集中力を極限まで高め、黒王狼の行動1つから最適な行動を考え、常に最善の行動で相手に攻撃を加えていった。

 «グルルルッ…アォォォォン!»
「ビクッ…威圧スキル!くぅっ…」
 «ガルルルル!»
「…2、1…狼の方に滑り込んで回避ッ…!そのまま停止して…手で身体を持ち上げながら蹴りを1発入れて体を浮かせたら…〔黒影:牙狼〕〔瞬間硬化〕」

 黒王狼の身体で月明かりを遮り、その場で最も濃い影を作った瞬間、俺は影を狼の形に変えて攻撃した。

「残り…6割!」
 «アォォォォン!»
「なっ…月が消えた!?」

 黒王狼が遠吠えをした瞬間、黒い影が月を隠し、辺り一面が真っ暗に染まった。

「チッ…能力による隠密か…影渡りか…右!」

 くっ…カスっただけで2割も…だが、攻撃の瞬間、影から出てくる音がする…やり方は風魔法と同じ対処だ…焦るな、落ち着け…

「…〔黒影:縛〕」
 «グルッ!?»
「見えてなくても音で分かんだよ」

 影から出てきた後、黒影で縛り上げたとしても、ここは今黒王狼のフィールドだった。
 なんせ、俺の武器はあれの下位互換である黒狼の力だからだ…
 だが、その数秒でいい。

「数発クリティカル撃ち込むには、十分すぎる程の無防備状態だ」

 いくら肉体が大きくとも弱点は変わらない。
 首、四肢、脳天、雄なら金的も弱点になるし、心臓を狙えば直線当たらずとも衝撃でダメージは入る。

「残り、3割…ふぅぅ…」

『格闘術のレベルが5に上がりました。
 技術スキル〔幻衝〕を獲得しました。
 技術スキルの開発が可能になりました』

「〔黒影:牙狼装〕〔幻衝〕」

 彼は自身の肉体を黒影で、まるで獣人のような狼の姿に変化させ、格闘スキルで連撃を加えた。

「スゥゥッ…あと、1割」
 «ガフッ…ガッ…»
「画竜点睛、魅られば其方、我一遍の光を得たり」

 打ち上げられた黒王狼が月明かりに照らされ、その瞬間を迎えた。
 俺は月明かりで空に現れたその字を読み上げ、最後の一撃を狼に加えた。

「…ぶはっ…し、死ぬ…集中力がもうねぇわ…キツすぎる…時間にして5分…ゲームシステムに助けられたな…黒影の技術スキルも格闘術の技術スキルもなければ、多分残り2割の発狂モード…覇者が光なら、あいつは闇か…はぁぁ…絶対負けてた…同じことしろって言われても出来んぞこれは…
 だが…黒王狼、討伐完了だ」

『ワールドアナウンス
夜の平原エリアのボス:黒王狼が初討伐されました。
貢献者:UNKNOWN
ただし、エリアボスはその希少性から数日置きに再び復活致します』
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~

如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う 稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが… だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた… そんな時に生まれたシャルロッテ 全属性の加護を持つ少女 いったいこれからどうなるのか…

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

迷宮遊戯

ヘロー天気
ファンタジー
ダンジョンマスターに選ばれた魂が生前の渇望を満たすべく、迷宮構築のシステムを使って街づくりに没頭する。 「別に地下迷宮である必要はないのでは?」

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

滅ぶ予定の魔王国ルミナ、実は全員が将軍級でした ~常識人の魔王アルト、血に飢えた国民に担がれて帝国を返り討ちにする~

雪野湯
ファンタジー
三百年続いた和平が終わり、魔族の小国ルミナは滅亡の時を迎えようとしていた。 人口五千、兵士百。相手は大陸最大の魔族帝国ヴォルガ。 魔王アルトは「降伏こそ最善」と覚悟していた――はずだった。 だが、民の反応は予想外だった。 「帝国ぶっ潰す!」「KO・RO・SE!!」 国民は全員、血に飢えた狂戦士。 老人も若者も、獣人もエルフもドワーフも、全員が将軍級の化け物揃いだったのだ!!  彼らの熱意を受け取り戦いを決断するアルトだが、いざ砦を攻めてみれば――帝国最強の五龍将すら一閃で両断。 帝国側は大混乱に陥り、ルミナの名は恐怖とともに広まっていく。 弱小国と侮られたルミナの反撃が、ここから始まる。 そしてアルトは知らない。 自分が率いる国が、世界最強の“狂戦士国家”だということを。

森の中の憩いの場〜薬屋食堂へようこそ〜

斗成
ファンタジー
 人里遠く離れた森の中、植物の力を見せつけるような、居心地の良いと評判の店があった。どんな薬も取り揃えており、お茶を飲ませてくれる薬屋だ。そんな薬屋には、妖精族、エルフ族、ドワーフ族、狼族、犬人族、龍族、小人族…etcなど、多様な種族が姿を見せる。  冒険心や退屈心を全く感じない、未知に一切興味がない薬屋の主人がのんびりと店を経営していく中で、店に集まる魔物や動物たちと平和に和やかに過ごしていく。

処理中です...