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3章 生死の淵
九十七、転魂
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──あの日、3人で誓いを立ててから、何年すぎたか分からない。
だが、確実に強くはなっている。
既に生も死も扱えるようになった。
だが、それでも尚、冥界への扉は開けなかった。
『──ガラハド、大丈夫か?』
「ああ、もう何年待たせてるかは分からない。
だが、あいつなら待ってくれていると信じるさ」
『彼奴は死んでも生き返る!
…だが、冥界は…』
「ああ、人間にとっては毒だ。それも、箱庭ですら防げない、環境の設定だからな…
ハデスが止めてくれているとは言え、それがいつまでかは分からない。
それに…朝陽は、俺に託してくれたんだ。
だから、期待に応えないと」
『…ガラハドよ、今から死の超越に集中しろ』
「はぁ?確かに、生の方が上達はしているが…」
『違う。こちらへの扉は、我とイフリートで開くという意味だ』
「なっ…そ、それは…」
『うむ、神の座を剥奪されるであろうな…
だが、我は元は人間、自力で不老不死となり、神との交渉で一時的に武神となっていただけだ。
それが人間に戻り、再び世を旅するというだけだ。
心配はせずとも、死にはしない』
「…分かった。…今から、死の扉に集中する」
──ガラハドよ、一つ言っていないことが我にはある。
冥界の扉を開けるには──生の力とは別に、冥界側の者がお主を招かねばならない。
あの瞬間、朝陽はガラハドがこちらに来ると分かっていたからこそ、扉を開けた。
だが、それが開かないとなれば──朝陽はもう…
「──ハデス、そろそろ時間みたいだ」
『うむ、実に楽しい時間だった。
お主がここに来て、もう数百年は経ったか…
今では、死者の国ではなく、妖怪の国として繁栄も、光すらも取り戻しておる。
だが…だからこそ、お主の居場所はここではなく、あやつらの場所であると再認識した。
そろそろ、迎えに行ってやれ』
「ああ──それに、向こうからも…扉への干渉が来ている。それも、無理やりこじ開けているぞ?あれは」
『ハッハッハッ!お主が来た時も、扉は壊れておった。
恐らく、お主のその箱庭…いや、希望の箱庭といった方が良いか…
その生と死、両方に干渉する力によって壊れたのだろう。
それ、壊さぬ内に戻りたまえ』
「なぁ、ハデス。お前も一緒に来てくれないか?」
『…我には無理だ。ここを治めなければ──』
「…ハデス様!私たちはもう、全員が希望を持って暮らしております!
これ以上、ハデス様の自由を奪うわけにはいきません!」
『お前たち…』
「ハデス様、時折り寂しそうな目で彼を見ていましたよね…
多分、昔のように仲間と幸せな生活をしたかったんじゃないんですか?」
『…だが、それも昔のことだ。
今となっては、ここに封じられただけの存在だ』
「…そこで、ハデスに朗報だ。
俺とガラハド、そして…俺の意思を託した、俺の最初の精霊であるイフリートと、武神、この4人で転魂を発動させる。
輪廻に干渉し──次の人生で、家族になる約束だ。
ハデス、今の地位を捨てて、俺たちに着いてくるか…
それとも、自分の気持ちを押し込めて、ここに残るか──
選んでくれ」
『…だ、だが…』
「──朝陽っ!」
その瞬間、あの時と同じように、光の道が現れた。俺はそれに乗り、ハデスの方へ手を伸ばした。
「さぁ、俺の手を掴め、ハデス」
『…すまぬ、我にはもう…』
その言葉を言い切る前に、ハデスは後ろから誰かに背中を押され、光の道へ入り込んだ。
「──ハデス様、ハデス様には隠しておりましたが、ここにも既に、死の概念が存在しております。
妖怪となった第2の人生でも、またいつか、転生してハデス様にお会いすることもあるでしょう。
その時は、再び我らを導いて下さい。
…朝陽様、ハデス様を…お願い致します」
『お、お前たち…待て!我だけがこのような…』
「…お前の幸せを願ってるんだ、これだけの命が。
期待に応えろ、ハデス」
『…そうだな。お主ら、来世で会った時は、覚悟しておけ。
借りは必ず返す』
そう言って、俺たちは光の道へ走り出した。
「『──ガラハド!こちらからも扉を開ける、踏ん張れ!』」
「おう!」
だが、確実に強くはなっている。
既に生も死も扱えるようになった。
だが、それでも尚、冥界への扉は開けなかった。
『──ガラハド、大丈夫か?』
「ああ、もう何年待たせてるかは分からない。
だが、あいつなら待ってくれていると信じるさ」
『彼奴は死んでも生き返る!
…だが、冥界は…』
「ああ、人間にとっては毒だ。それも、箱庭ですら防げない、環境の設定だからな…
ハデスが止めてくれているとは言え、それがいつまでかは分からない。
それに…朝陽は、俺に託してくれたんだ。
だから、期待に応えないと」
『…ガラハドよ、今から死の超越に集中しろ』
「はぁ?確かに、生の方が上達はしているが…」
『違う。こちらへの扉は、我とイフリートで開くという意味だ』
「なっ…そ、それは…」
『うむ、神の座を剥奪されるであろうな…
だが、我は元は人間、自力で不老不死となり、神との交渉で一時的に武神となっていただけだ。
それが人間に戻り、再び世を旅するというだけだ。
心配はせずとも、死にはしない』
「…分かった。…今から、死の扉に集中する」
──ガラハドよ、一つ言っていないことが我にはある。
冥界の扉を開けるには──生の力とは別に、冥界側の者がお主を招かねばならない。
あの瞬間、朝陽はガラハドがこちらに来ると分かっていたからこそ、扉を開けた。
だが、それが開かないとなれば──朝陽はもう…
「──ハデス、そろそろ時間みたいだ」
『うむ、実に楽しい時間だった。
お主がここに来て、もう数百年は経ったか…
今では、死者の国ではなく、妖怪の国として繁栄も、光すらも取り戻しておる。
だが…だからこそ、お主の居場所はここではなく、あやつらの場所であると再認識した。
そろそろ、迎えに行ってやれ』
「ああ──それに、向こうからも…扉への干渉が来ている。それも、無理やりこじ開けているぞ?あれは」
『ハッハッハッ!お主が来た時も、扉は壊れておった。
恐らく、お主のその箱庭…いや、希望の箱庭といった方が良いか…
その生と死、両方に干渉する力によって壊れたのだろう。
それ、壊さぬ内に戻りたまえ』
「なぁ、ハデス。お前も一緒に来てくれないか?」
『…我には無理だ。ここを治めなければ──』
「…ハデス様!私たちはもう、全員が希望を持って暮らしております!
これ以上、ハデス様の自由を奪うわけにはいきません!」
『お前たち…』
「ハデス様、時折り寂しそうな目で彼を見ていましたよね…
多分、昔のように仲間と幸せな生活をしたかったんじゃないんですか?」
『…だが、それも昔のことだ。
今となっては、ここに封じられただけの存在だ』
「…そこで、ハデスに朗報だ。
俺とガラハド、そして…俺の意思を託した、俺の最初の精霊であるイフリートと、武神、この4人で転魂を発動させる。
輪廻に干渉し──次の人生で、家族になる約束だ。
ハデス、今の地位を捨てて、俺たちに着いてくるか…
それとも、自分の気持ちを押し込めて、ここに残るか──
選んでくれ」
『…だ、だが…』
「──朝陽っ!」
その瞬間、あの時と同じように、光の道が現れた。俺はそれに乗り、ハデスの方へ手を伸ばした。
「さぁ、俺の手を掴め、ハデス」
『…すまぬ、我にはもう…』
その言葉を言い切る前に、ハデスは後ろから誰かに背中を押され、光の道へ入り込んだ。
「──ハデス様、ハデス様には隠しておりましたが、ここにも既に、死の概念が存在しております。
妖怪となった第2の人生でも、またいつか、転生してハデス様にお会いすることもあるでしょう。
その時は、再び我らを導いて下さい。
…朝陽様、ハデス様を…お願い致します」
『お、お前たち…待て!我だけがこのような…』
「…お前の幸せを願ってるんだ、これだけの命が。
期待に応えろ、ハデス」
『…そうだな。お主ら、来世で会った時は、覚悟しておけ。
借りは必ず返す』
そう言って、俺たちは光の道へ走り出した。
「『──ガラハド!こちらからも扉を開ける、踏ん張れ!』」
「おう!」
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