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第二章[グーネウム帝国編]
罠
しおりを挟む門の爆発により巻き起こった砂煙の中を走り抜けると、そこは紛れも無い、俺が一度入った事のあるリッチゾーンだった。
よっしゃ!何とか入れたみたいだな!
「「ウォォォォ!!」」
初めてリッチゾーンに入った冒険者たちは、そう歓声を上げた。
「よし!侵入成功だ!今からあの城を目指して走るぞ!」
しかし、俺たち全員がリッチゾーンに入ったことを確認したラークは、同じ様に歓声を上げることは無く、遠くに見える巨大な城を指さしながらそう言い、すぐに前を向くと走り始める。
そう、ここで止まっては行けないのだ。
俺たちにとって、こうやって大人数でリッチゾーンに入れた事もすごいことだが、目的地はラークが指さしたあの城だからな。
それに――おそらくさっきの爆発音を聞いた幻影の騎士団たちがこちらへ向かって来ている頃だろう。
そしてここに居る全員、そんなことは重々承知だ。
だから俺たちは、すぐに気持ちを入れ替えると、ラークを追うように走り始めた。
「なかなか現れないな。」
「あぁ、これは予想外だぞ……」
そこから5分程走り続けた辺りで、俺とラークはそう会話を交わす。
今のセリフ通り、俺たちはリッチゾーンに堂々と侵入したはずだが、一向に幻影の騎士団が現れる気配は無かった。
まぁだが、現れないなら現れないでそっちの方が好都合だからな。俺は後ろを向き、みんなの士気を高める為、
「よし!城までもう少しだ!スピード上げ――」
そうセリフを放とうとする。
するとそれを遮るようにラークが突然――
「止まれッ!!」
身体に急ブレーキを掛けながらそう言った。
ん?なんで今止まるんだよ?幻影の騎士団が一向に現れないのは確かにおかしいとおもうが、逆に考えれば想定より戦闘が少ないってことだぞ?
だから早く城に向かった方が――
俺はそう言う為、後ろに向いていた身体を前に戻して、ラークの方を見る。
するとラークは、背中にさしていた剣を抜き、いつ襲いかかられても対応出来るよう、構えていた。――って、まさか……
俺はすぐに杖を構え、周りを見渡す。
すると次の瞬間――
「今だ!かかれッ!!」
周りの家の影や、屋根の上から一斉に黒いローブを身にまとった武装集団が襲いかかって来た。
「……ッ!お前ら!戦闘態勢ッ!!」
それを見たラークは、すぐにそう指示を出す。
そう、その集団こそが、今まで出てくる気配の無かった幻影の騎士団だった。
クッ……コイツらの態度を見る限り、今まで出てこなかったのはわざとだったってことか……?
更に、今俺たちが幻影の騎士団に囲まれている場所は、道が狭く、二階建ての家がびっしりと並ぶ住宅街の様な場所で、ここでファイアボールを撃ちでもしたら、爆発が俺たちにも被害が出そうだった。
しかも、まるでそれが分かっているかのように、ここにいる幻影の騎士団は、全員剣を武装していた。
……俺たちはここに誘い込まれていたみたいだな……
「やるしかないみたいだな……!」
「久しぶりに暴れてやるよ!」
だが、こっちも負けてはいなかった。
ギルとジェイドはそう言いながら剣を構え、
「「はぁぁぁぁ!!」」
襲いかかって来る幻影の騎士団たちを迎え撃つ。
そしてそれを見た他の冒険者たちも、続くように戦いを開始した。
「おいセリヤ、俺たちは作戦通り先に行くぞ!」
俺たちも課せられた役割を果たさなければならない。だから俺はセリヤにそう声を掛ける。
しかしセリヤは、ここに来て、
「私、やっぱりみんなと戦うわ!」
そう言い始めた。――って!?
「作戦と違ぇじゃねぇか!?」
俺はセリヤにそう叫ぶ。確かにコイツらが心配ってのは分かるけどよ……!
「だ、だって!このままじゃみんなが――」
「何言ってるんだッ!」
そこで、そんなセリヤにローズオーラがビンタをした。
「……ッ!?」
いきなりの出来事に驚きながら打たれたところを触るセリヤ。しかし、そんなセリヤにお構い無しで、ローズオーラは、
「ここに居るみんな、そんなこと望んでないに決まってるだろ!みんなお前らを信じてるんだよ!」
「確かにコイツらは死ぬかもしれない……でもな、それでもお前らならやってくれるって……そう信じてるからこうやって懸命に戦ってるんだ!それを裏切る様なことを言うな!!」
力強くそう言った。
するとそれを聞いたセリヤは、力強く剣を握り、
「はぁッ!」
城への道に立ち塞がっている幻影の騎士団の足を浅く切り、地面にひれ伏せさせると、
「ありがとうオーラ……よし!2人とも行くわよ!!」
こっちを振り向き、そう言った。
……お前はそれでこそだ。
「おう!」「我に任せておけ!」
それに対して俺とローズオーラはそう強く返事をすると、
「先に行く!絶対に死ぬなよ!」
そう言い残し、3人でもう目の前まで来ている城の方へと走り始めた。
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