70 / 88
第3章2部【ソルクユポ編】
第67話【再び訪れる手紙〜お呼び出し〜】
しおりを挟む
エスタリを殺した変異種サラマンダー討伐から数日後、俺たち4人は冒険者ギルドに呼ばれ、訪れていた。
とりあえず、この間に起こった出来事を簡単に紹介して行く事にするか。
まず、俺たちと共に変異種サラマンダーを討伐したオネメルとヒルデベルトは冒険者を辞める事にしたらしい。
---サラマンダー討伐後の宴会中---
「――いやぁ、ほんとに勝てて良かったわ!今日は飲むわよぉ!」
「みさと随分テンション上がってるな。ってかお前まだ未成年じゃ――」
「そんなのはこの世界じゃ決まってないでしょ?適材適所よ!」
「いや、その使い方絶対ちげぇだろ」
この時、冒険者ギルドは俺たちのサラマンダー討伐を祝福して軽い宴会を開いてくれた。
現在は中心の机に俺、みさと、ちなつ、くるみ、オネメル、ヒルデベルトで楽しく談笑中だ。
するとその時だった、オネメルがその話題を出したのは。
「そういえば、そこの4人には言っていなかったのだけど、私とヒルデベルトは今回のサラマンダー討伐を最後に冒険者を辞めることにしたわ。」
「え?マジか?その話」
俺は一瞬オネメルが酔ってこんな事を言っているのかと思い、ヒルデベルトの方を向いて確認を取るが、ヒルデベルトもそれに頷いた。
「正直なところ、エスの居ない私たちが冒険者を続ける未来なんて見えないもの」
「そうですな」
「なるほどな、って事は、もう戦ったりはしないのか?」
「ん?いや、私から戦いを取ったら何が残るって言うのよ。冒険者を止めたら中央大陸に渡って、どこかの街で憲兵団にでも入ろうと思ってるわ。」
「あぁ!そういう事か。ヒルデベルトは?」
「我はこの大陸に残ろうと思っていますぞ。」
「なるほど」
確か、こいつらは中央大陸に行く事を目標にしてたもんな。だからエスタリ亡き今、形は変われどその目標を果たしに行くって訳か。
「ま、ちゃんと考えた事なんなら良いんじゃないか?」
「うんうん!さぁ、もっと飲むよぉ!」
「おいお姉さん!酒もっと持って来てくれ!」
「お前らなぁ……」
---
――とまぁ、こんな感じだった。
あの時も言ったが、俺はオネメルやヒルデベルトがちゃんと考えて選んだ道なんならそれが正解なんだと思うぜ。
後は正直そこまでラペルに変化は無い。
強いて言うなら、サラマンダーが討伐された事により、再び冒険者ギルドに活気が戻って来てるって事か。
そのおかげで俺たちは今やラペルの英雄だ。
ま、どの道そう言われて悪い気がするやつは居ねぇわな。――っと、まぁこんな感じだ。じゃ、話を進めて行くかね。
「――で?なんなんだよ話ってのは。」
改めて言うが、今日俺たちは自ら冒険者ギルドに来たのではなく、呼ばれたのだ。
大体、今は特に危険なモンスターも出現していない今、俺たちが無理に討伐に行く必要も無いしな。
生活費の大半はウェーナに払ってもらってるし。
(そりゃお金は渡してるぜ?)
だから今日の朝もいつも通りに中庭で各自トレーニングをしていたんだ。
そんな時にウェーナから「冒険者ギルドに呼ばれてますよ」って言われたもんだから驚いたぜ。
すると、そんな俺のセリフに対して、お姉さんはふぅっと息を吐くとこう言い、1枚の紙を俺たちの方に差し出してきた。
「実は今朝、帝都ティルトルの冒険者ギルドから皆様宛に手紙が送られてきたんです。」
「……ッ!!」
帝都ティルトル。忘れるはずもないその単語をお姉さんの口から聞いた俺は、すぐに差し出された紙を手に取る。
するとそこにはこう書かれていた。
『お前らがファスティ大陸に戻ってからまた季節外れの、それも変異種モンスターがサラマンダーと同じくチュロント森で出現した。討伐は既に複数人の冒険者により完了したのだが、どうやら発見した冒険者曰く、そのモンスターのすぐ隣に白いローブを纏い、丸い赤色の宝石の様な物を手に持った人物がいたらしい。とにかく、まずは中央大陸まで来てくれ。』
「手紙を書いたのは――スザクか。」
あいつがこの手紙を書いたのなら、内容の信憑性は高そうだ。
そしてその手紙には「中央大陸まで来てくれ」しっかりとそう書かれていた。
「で、なんて書かれてたの?」
「俺もまだ詳しい事はよく分からないが、またサラマンダーみたいに季節外れの、それも変異種のモンスターが現れたらしい。」
「それで?」
「討伐は完了したが、とりあえず中央大陸まだ来て欲しいんだってよ。」
「なるほどな」
「じゃあ私たちまた中央大陸に行くのー?」
「あぁ、そうだな。――すまんお姉さん。俺たちこれから中央大陸に行ってくる。」
「……ッ!――わ、分かりました!ではこれから港に行く為の馬車を手配します!」
「おう、ありがとうな。」
こうして俺たちはラペルで変異種サラマンダーを討伐してから数日後、再び中央大陸の帝都ティルトルへ向かう事になった。
---
それから数時間後、俺たちは帝都ティルトルまで行き、以前来た時もずっと利用していた冒険者ギルドに入った。
扉を開け、中に入ると、俺は相変わらずラペルの冒険者ギルドとは違い過ぎる建物の規模に驚きながらも手紙の差し出し主であるスザクを探す。
するとしばらく奥に歩いたところで、
「――あ!」
俺は壁際にある縦長の机に座り、何やら話をしているスザク、ミラボレア、そしてレザリオの姿を見つけた。
とりあえず、この間に起こった出来事を簡単に紹介して行く事にするか。
まず、俺たちと共に変異種サラマンダーを討伐したオネメルとヒルデベルトは冒険者を辞める事にしたらしい。
---サラマンダー討伐後の宴会中---
「――いやぁ、ほんとに勝てて良かったわ!今日は飲むわよぉ!」
「みさと随分テンション上がってるな。ってかお前まだ未成年じゃ――」
「そんなのはこの世界じゃ決まってないでしょ?適材適所よ!」
「いや、その使い方絶対ちげぇだろ」
この時、冒険者ギルドは俺たちのサラマンダー討伐を祝福して軽い宴会を開いてくれた。
現在は中心の机に俺、みさと、ちなつ、くるみ、オネメル、ヒルデベルトで楽しく談笑中だ。
するとその時だった、オネメルがその話題を出したのは。
「そういえば、そこの4人には言っていなかったのだけど、私とヒルデベルトは今回のサラマンダー討伐を最後に冒険者を辞めることにしたわ。」
「え?マジか?その話」
俺は一瞬オネメルが酔ってこんな事を言っているのかと思い、ヒルデベルトの方を向いて確認を取るが、ヒルデベルトもそれに頷いた。
「正直なところ、エスの居ない私たちが冒険者を続ける未来なんて見えないもの」
「そうですな」
「なるほどな、って事は、もう戦ったりはしないのか?」
「ん?いや、私から戦いを取ったら何が残るって言うのよ。冒険者を止めたら中央大陸に渡って、どこかの街で憲兵団にでも入ろうと思ってるわ。」
「あぁ!そういう事か。ヒルデベルトは?」
「我はこの大陸に残ろうと思っていますぞ。」
「なるほど」
確か、こいつらは中央大陸に行く事を目標にしてたもんな。だからエスタリ亡き今、形は変われどその目標を果たしに行くって訳か。
「ま、ちゃんと考えた事なんなら良いんじゃないか?」
「うんうん!さぁ、もっと飲むよぉ!」
「おいお姉さん!酒もっと持って来てくれ!」
「お前らなぁ……」
---
――とまぁ、こんな感じだった。
あの時も言ったが、俺はオネメルやヒルデベルトがちゃんと考えて選んだ道なんならそれが正解なんだと思うぜ。
後は正直そこまでラペルに変化は無い。
強いて言うなら、サラマンダーが討伐された事により、再び冒険者ギルドに活気が戻って来てるって事か。
そのおかげで俺たちは今やラペルの英雄だ。
ま、どの道そう言われて悪い気がするやつは居ねぇわな。――っと、まぁこんな感じだ。じゃ、話を進めて行くかね。
「――で?なんなんだよ話ってのは。」
改めて言うが、今日俺たちは自ら冒険者ギルドに来たのではなく、呼ばれたのだ。
大体、今は特に危険なモンスターも出現していない今、俺たちが無理に討伐に行く必要も無いしな。
生活費の大半はウェーナに払ってもらってるし。
(そりゃお金は渡してるぜ?)
だから今日の朝もいつも通りに中庭で各自トレーニングをしていたんだ。
そんな時にウェーナから「冒険者ギルドに呼ばれてますよ」って言われたもんだから驚いたぜ。
すると、そんな俺のセリフに対して、お姉さんはふぅっと息を吐くとこう言い、1枚の紙を俺たちの方に差し出してきた。
「実は今朝、帝都ティルトルの冒険者ギルドから皆様宛に手紙が送られてきたんです。」
「……ッ!!」
帝都ティルトル。忘れるはずもないその単語をお姉さんの口から聞いた俺は、すぐに差し出された紙を手に取る。
するとそこにはこう書かれていた。
『お前らがファスティ大陸に戻ってからまた季節外れの、それも変異種モンスターがサラマンダーと同じくチュロント森で出現した。討伐は既に複数人の冒険者により完了したのだが、どうやら発見した冒険者曰く、そのモンスターのすぐ隣に白いローブを纏い、丸い赤色の宝石の様な物を手に持った人物がいたらしい。とにかく、まずは中央大陸まで来てくれ。』
「手紙を書いたのは――スザクか。」
あいつがこの手紙を書いたのなら、内容の信憑性は高そうだ。
そしてその手紙には「中央大陸まで来てくれ」しっかりとそう書かれていた。
「で、なんて書かれてたの?」
「俺もまだ詳しい事はよく分からないが、またサラマンダーみたいに季節外れの、それも変異種のモンスターが現れたらしい。」
「それで?」
「討伐は完了したが、とりあえず中央大陸まだ来て欲しいんだってよ。」
「なるほどな」
「じゃあ私たちまた中央大陸に行くのー?」
「あぁ、そうだな。――すまんお姉さん。俺たちこれから中央大陸に行ってくる。」
「……ッ!――わ、分かりました!ではこれから港に行く為の馬車を手配します!」
「おう、ありがとうな。」
こうして俺たちはラペルで変異種サラマンダーを討伐してから数日後、再び中央大陸の帝都ティルトルへ向かう事になった。
---
それから数時間後、俺たちは帝都ティルトルまで行き、以前来た時もずっと利用していた冒険者ギルドに入った。
扉を開け、中に入ると、俺は相変わらずラペルの冒険者ギルドとは違い過ぎる建物の規模に驚きながらも手紙の差し出し主であるスザクを探す。
するとしばらく奥に歩いたところで、
「――あ!」
俺は壁際にある縦長の机に座り、何やら話をしているスザク、ミラボレア、そしてレザリオの姿を見つけた。
1
あなたにおすすめの小説
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~
ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」
魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。
本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。
ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。
スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる